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刺客 3
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「それで、グラップは死んだのか?」
「首を刎ねられても生きていられるのでなければ」
「ふん、くだらない言い回しをするな。確か、12人で襲った筈だな。それが、たった1人に返り討ちか?」
「いえ、3人です」
「3人?女達も強いのか?」
「いえ、馬車の中に大男が2人隠れていまして。グラップも、その1人にやられました」
「大男が2人も隠れていた?」
「はい。1人は、夜になると見張りに出て来ましたが、もう1人は最後まで馬車の中に隠れていまして、グラップが馬車に飛び乗ろうとした時に、馬車から飛び出してきて、グラップを地面に叩きつけました」
「あのグラップが力負けしたのか?」
「はい、その後のグラップはフラフラで、片膝を着いたところを、あの女の色男に殺されました」
夜の闇の中で、遠くから見張っていた監視役には、そのように見えたらしい。
「大男は、どんな奴等だ?」
「頭巾を被っていて、顔は見えませんでした」
「頭巾で顔を隠していたか。名のある冒険者か、それとも・・」
「それとも?」
「いや、何でもない。それより、ベナントを呼べ。あいつでなければ手に負えないかも知れないからな」
「承知しました」
その男が部屋を出て暫くすると、再びドアが開いて、背の高い男が入って来た。
「ナンバーフォーがやられたって?それで、ナンバースリーでもナンバーツーでもなく、ナンバーワンの俺様を呼んだってか?」
「そう尖るな。今度の相手は、正体不明の奴等だ。そいつらに、グラップが捻られたというからな」
「グラップぐらい。俺だって捻り潰せるぜ」
「だから、ナンバーワンの出番なわけだ。そうだろうアドリア・ベナント」
「フルネームで呼ぶんじゃんねえよ。くそ親父を思い出すからな」
「お前の家庭環境には興味がない。それより、あの女が持っている陶器の欠片だ。それを手に入れろ」
「陶器の破片だと?何だ、それは?」
「聞きたいのか?」
「聞くとヤバいのか?」
「お前も命を狙われることになるぞ。この先ずっとな」
「命なんざ、ずっと狙われてるさ」
「王都の本部からも狙われるかも知れんぞ」
「俺様を、脅してるのか?」
「いや、現実を指摘しただけだ」
「それほど、やばいものか?それは、どんな形でどんな色だ?それに、あの女が、なんで、そんなものを持っている」
「形も色も分からん。しかし、大事に隠しているはずだ。それを探し出せ」
「謎解きだな、まったく」
「大男の護衛が2人、あの女を護っているそうだ。腕が立つそうだから気を付けろ」
「そいつらは、何者だ?」
「わからん」
「へっ、あんたにも分からないことがあるのかよ?」
からかうベナントに、その男は答えない。
「そうかい、そうかい。分かったよ。さっさと仕事に行くとするか」
「そうだ、さっさと行け」
ペナントという長身の男が、アンデオンの街を出た頃、俺達は既に野営地を出発していた。
パティは、御者をしている俺の横に座っていたが、
「ねえ、この破片なんだけど」と、窯の中から取り出した、不思議な色合いの陶器の破片を眺めながら
「これ、何の破片か分からない」と不思議そうな声を出す。
「どうしたんだ?」と聞くと、
「私が窯に入れた焼き物じゃないかもしれない」と、意外なことを言ってくる。
「どういうことだ?」
「私が窯に入れていたのは深皿と壺だけど、この破片は、深皿の破片でもないし、壺の破片でもない」
「なら、何の破片だ?」
「たぶん、少し深い皿の破片だと思う」
「その違いに何の意味があるんだ?」
「私が入れてないんだから、誰かが入れたのかもしれない」
「誰かが入れた?」
その言葉の意味に気付いた俺は、
「何で、そんな大事なことに、今まで気が付かなかったんだ?」
「ごめんよ。だって、私の窯だよ。私以外の誰かが開けるなんて思いもしなかったのよ。それが、昨日、あんな風に襲われたから、もしや、と思って今、見てみたのさ」
俺は、片手を上げて、後ろの馬車に泊まる合図を出しながら、自分の操る馬車も止める。
「謎が解けたぞ。一旦作戦会議だ。パティも一緒に来てくれ」
と言いながら俺は馬車を降り、パティを連れてクレライン達の馬車に近づく。クレラインが御者席から降りようとするので、手で止めて
「クレライン、オーリア、闇ギルドが何故襲ってくるのか分かったぞ」
「何が分かったんだい?」とオーリアが、クレラインの肩越しに覗き込んで聞いてくる。
「パティの店に火をつけた奴の本当の目的は、これを創る為だったようだ。パティ、あの破片を見せてやってくれ」
パティが手に持った陶器の破片をクレライン達に見せると
「へ~、綺麗だね」と、オーリア。
「綺麗だけど、これがどうしたのよ」とクレライン。
「この破片、というか元は焼き物だったと思うけど、これは、誰かが、パティの窯に入れたものだ」
「えっ、誰かって、パティさんじゃなくて?」
「そうだ。多分、火をつけた奴が入れたんだと思う」
「「「何故」」」と、パティもクレライン達と声を揃える。
「火をつけた奴の本当の狙いは、パティの店を燃やすことじゃなかった」
「「燃やすことじゃなかった?」」
「なら、何で燃やしたの?」
「俺の推測だが、この不思議な色合いの焼き物は、物凄い高温が無ければ出来ないんだろうと思う。そこで目を付けられたのが、センネンブナを大量に仕入れたパティの工房だった。この色合いを出すには、焼き物の窯に入れた後で、普通の火では温度が足りなくて、窯ごと高温で蒸し焼きにする必要があったんだと思う。犯人はそれが狙いで、俺とパティが飯を食べに店を出た後、店に入って来て、まず窯に焼き物を入れてから、その後で窯を蒸し焼きにするために、パテイの店のセンネンブナに火を点けたんだと思う」
「そんな、酷いことを?」
「それじゃ、陶芸組合の仕業ということ?」
「組合の仕業なのか?畜生、あの組合の奴等、今から戻ってとっちめてやる」とパティが興奮する。
「それどころじゃないから落ち着け。これを仕組んだ奴は、後から出来上がった焼き物をこっそり取り出すつもりだったんだろうが、パティが火事場泥棒を見張ると言って、俺と一緒に焼け跡を見張っていたから、取り出せなかった。そうこうするうちに、パティが窯を開けて取り出してしまった。割れて欠片になったのは、犯人にも予想外のことだったんだろう。だけど、破片だけでも取り返すために殺し屋を送って来たんだと思う」
「じゃあ、あの殺し屋は、金目当てじゃなかったのかい」とパティ。
「金も狙っていただろうけど、本当の狙いは、この破片だと思う。相手も、砕けて欠片しかないとは思っていないかも知れないけどな」
「あっ、この欠片を見つけた時、騒いでしまったから、聞かれていたかもしれない」とパティ。
「あの夜の俺達は、見張られていたと考えた方がいいだろうな」
「それで闇ギルドは、幹部を送り込んできたわけか」とオーリア。
「オーリア、闇ギルドは、この後、どうすると思う」
「ヘルファイブとか言う幹部が居ると言っていたね。たぶん、その中で一番強い奴を送り込んで来るだろね」
「一番強い奴を送り込んで来るのか。逃げ切れるか?」
「馬車じゃ無理だね」
「どこかで追いつかれるか?それなら配置を変えよう。オーリアが前の馬車、クレラインが後ろの馬車で、それぞれ御者を頼む。パティとアルミはアレックスを護衛にして前の馬車に乗れ。俺とバートが後ろの馬車に乗り、追いかけてくる奴を、矢と魔法で削っていく。追いつかれたら、俺が迎え撃つ」
「大丈夫かい?」とオーリア。
「やるしかないだろう」と俺。
「首を刎ねられても生きていられるのでなければ」
「ふん、くだらない言い回しをするな。確か、12人で襲った筈だな。それが、たった1人に返り討ちか?」
「いえ、3人です」
「3人?女達も強いのか?」
「いえ、馬車の中に大男が2人隠れていまして。グラップも、その1人にやられました」
「大男が2人も隠れていた?」
「はい。1人は、夜になると見張りに出て来ましたが、もう1人は最後まで馬車の中に隠れていまして、グラップが馬車に飛び乗ろうとした時に、馬車から飛び出してきて、グラップを地面に叩きつけました」
「あのグラップが力負けしたのか?」
「はい、その後のグラップはフラフラで、片膝を着いたところを、あの女の色男に殺されました」
夜の闇の中で、遠くから見張っていた監視役には、そのように見えたらしい。
「大男は、どんな奴等だ?」
「頭巾を被っていて、顔は見えませんでした」
「頭巾で顔を隠していたか。名のある冒険者か、それとも・・」
「それとも?」
「いや、何でもない。それより、ベナントを呼べ。あいつでなければ手に負えないかも知れないからな」
「承知しました」
その男が部屋を出て暫くすると、再びドアが開いて、背の高い男が入って来た。
「ナンバーフォーがやられたって?それで、ナンバースリーでもナンバーツーでもなく、ナンバーワンの俺様を呼んだってか?」
「そう尖るな。今度の相手は、正体不明の奴等だ。そいつらに、グラップが捻られたというからな」
「グラップぐらい。俺だって捻り潰せるぜ」
「だから、ナンバーワンの出番なわけだ。そうだろうアドリア・ベナント」
「フルネームで呼ぶんじゃんねえよ。くそ親父を思い出すからな」
「お前の家庭環境には興味がない。それより、あの女が持っている陶器の欠片だ。それを手に入れろ」
「陶器の破片だと?何だ、それは?」
「聞きたいのか?」
「聞くとヤバいのか?」
「お前も命を狙われることになるぞ。この先ずっとな」
「命なんざ、ずっと狙われてるさ」
「王都の本部からも狙われるかも知れんぞ」
「俺様を、脅してるのか?」
「いや、現実を指摘しただけだ」
「それほど、やばいものか?それは、どんな形でどんな色だ?それに、あの女が、なんで、そんなものを持っている」
「形も色も分からん。しかし、大事に隠しているはずだ。それを探し出せ」
「謎解きだな、まったく」
「大男の護衛が2人、あの女を護っているそうだ。腕が立つそうだから気を付けろ」
「そいつらは、何者だ?」
「わからん」
「へっ、あんたにも分からないことがあるのかよ?」
からかうベナントに、その男は答えない。
「そうかい、そうかい。分かったよ。さっさと仕事に行くとするか」
「そうだ、さっさと行け」
ペナントという長身の男が、アンデオンの街を出た頃、俺達は既に野営地を出発していた。
パティは、御者をしている俺の横に座っていたが、
「ねえ、この破片なんだけど」と、窯の中から取り出した、不思議な色合いの陶器の破片を眺めながら
「これ、何の破片か分からない」と不思議そうな声を出す。
「どうしたんだ?」と聞くと、
「私が窯に入れた焼き物じゃないかもしれない」と、意外なことを言ってくる。
「どういうことだ?」
「私が窯に入れていたのは深皿と壺だけど、この破片は、深皿の破片でもないし、壺の破片でもない」
「なら、何の破片だ?」
「たぶん、少し深い皿の破片だと思う」
「その違いに何の意味があるんだ?」
「私が入れてないんだから、誰かが入れたのかもしれない」
「誰かが入れた?」
その言葉の意味に気付いた俺は、
「何で、そんな大事なことに、今まで気が付かなかったんだ?」
「ごめんよ。だって、私の窯だよ。私以外の誰かが開けるなんて思いもしなかったのよ。それが、昨日、あんな風に襲われたから、もしや、と思って今、見てみたのさ」
俺は、片手を上げて、後ろの馬車に泊まる合図を出しながら、自分の操る馬車も止める。
「謎が解けたぞ。一旦作戦会議だ。パティも一緒に来てくれ」
と言いながら俺は馬車を降り、パティを連れてクレライン達の馬車に近づく。クレラインが御者席から降りようとするので、手で止めて
「クレライン、オーリア、闇ギルドが何故襲ってくるのか分かったぞ」
「何が分かったんだい?」とオーリアが、クレラインの肩越しに覗き込んで聞いてくる。
「パティの店に火をつけた奴の本当の目的は、これを創る為だったようだ。パティ、あの破片を見せてやってくれ」
パティが手に持った陶器の破片をクレライン達に見せると
「へ~、綺麗だね」と、オーリア。
「綺麗だけど、これがどうしたのよ」とクレライン。
「この破片、というか元は焼き物だったと思うけど、これは、誰かが、パティの窯に入れたものだ」
「えっ、誰かって、パティさんじゃなくて?」
「そうだ。多分、火をつけた奴が入れたんだと思う」
「「「何故」」」と、パティもクレライン達と声を揃える。
「火をつけた奴の本当の狙いは、パティの店を燃やすことじゃなかった」
「「燃やすことじゃなかった?」」
「なら、何で燃やしたの?」
「俺の推測だが、この不思議な色合いの焼き物は、物凄い高温が無ければ出来ないんだろうと思う。そこで目を付けられたのが、センネンブナを大量に仕入れたパティの工房だった。この色合いを出すには、焼き物の窯に入れた後で、普通の火では温度が足りなくて、窯ごと高温で蒸し焼きにする必要があったんだと思う。犯人はそれが狙いで、俺とパティが飯を食べに店を出た後、店に入って来て、まず窯に焼き物を入れてから、その後で窯を蒸し焼きにするために、パテイの店のセンネンブナに火を点けたんだと思う」
「そんな、酷いことを?」
「それじゃ、陶芸組合の仕業ということ?」
「組合の仕業なのか?畜生、あの組合の奴等、今から戻ってとっちめてやる」とパティが興奮する。
「それどころじゃないから落ち着け。これを仕組んだ奴は、後から出来上がった焼き物をこっそり取り出すつもりだったんだろうが、パティが火事場泥棒を見張ると言って、俺と一緒に焼け跡を見張っていたから、取り出せなかった。そうこうするうちに、パティが窯を開けて取り出してしまった。割れて欠片になったのは、犯人にも予想外のことだったんだろう。だけど、破片だけでも取り返すために殺し屋を送って来たんだと思う」
「じゃあ、あの殺し屋は、金目当てじゃなかったのかい」とパティ。
「金も狙っていただろうけど、本当の狙いは、この破片だと思う。相手も、砕けて欠片しかないとは思っていないかも知れないけどな」
「あっ、この欠片を見つけた時、騒いでしまったから、聞かれていたかもしれない」とパティ。
「あの夜の俺達は、見張られていたと考えた方がいいだろうな」
「それで闇ギルドは、幹部を送り込んできたわけか」とオーリア。
「オーリア、闇ギルドは、この後、どうすると思う」
「ヘルファイブとか言う幹部が居ると言っていたね。たぶん、その中で一番強い奴を送り込んで来るだろね」
「一番強い奴を送り込んで来るのか。逃げ切れるか?」
「馬車じゃ無理だね」
「どこかで追いつかれるか?それなら配置を変えよう。オーリアが前の馬車、クレラインが後ろの馬車で、それぞれ御者を頼む。パティとアルミはアレックスを護衛にして前の馬車に乗れ。俺とバートが後ろの馬車に乗り、追いかけてくる奴を、矢と魔法で削っていく。追いつかれたら、俺が迎え撃つ」
「大丈夫かい?」とオーリア。
「やるしかないだろう」と俺。
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