ダブリン。進化者は無双する。8歳だけど身体は大人。

肩ぐるま

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フレイラという女騎士

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アンデオンの闇ギルドは撃退できたが、今後のことを考えると、戦力アップが必要なので、奴隷商館に行くことにした。
同行しているのは、値切り役として有能そうなオーリアだ。
すると、奴隷商館に行く途中の人通りの少ない道で、道の端に倒れている女を見つけた。
女は、うつ伏せに倒れていて、腹の下に大きな血だまりが出来ている。服は、ほとんどボロ布でしかない。
駆け寄ると、微かに背中が上下しているので、まだ息があるようだ。
身体を上向けにすると、顔が、青黒く腫れ上がっている。元がどんな顔なのか分からないほどだ。そして、腹の辺りが血で真っ赤に染まっている。
鑑定してみると、そのステータスに驚いた。

名前 フレイラ・ローゼネンタール
種族 人間
性別 女
年齢 26
ジョブ 騎士

筋力 N(A+)
耐久 N(A-)
俊敏 N(A++)
魔力 N(A++)
抵抗 N(A--)

スキル 剣術0(28)、短剣術0(25).盾術0(15)、弓術0(18)、飛斬0(13)、蹴り0(18)、頭突き0(9)、.怪力0(12)、身体強化0(11)、火魔法0(22)、俊敏0(22)、気配察知o(18)

状態 瀕死、毒

『むっ、こんな、高いステータスは初めて見た』
もっとも、テレナ達には鑑定を使っていないので、騎士ジョブのステータスを見たのは、これが初めてなんだが。
『状態が瀕死と毒になっている。瀕死の原因が腹からの出血なら、その血を止めないといけない』
俺は、直ぐに、ナイフで右の掌を切って、ブラッドスライムを創ると、女の腹の傷に押し当てた。
傷はかなり深い刺し傷で、ブラッドスライムを傷の中に潜り込ませて体内で増殖させ、傷ついた部分を全てブラッドスライムで覆った。医学の知識はないが、これで出血は止まるような感じがしたので、傷口に掌を当てて、癒しのスキルを発動させた。
さて、出血は止めたが、まだ、毒の状態は治っていない。
オーリアが周囲を警戒しながら俺を見守っているので、
「毒を消すには、どうしたらいい?」と聞くと、
「毒消しは道具屋で売っている」と答えたので、
「買って来てくれるか?」と頼む。
「分かった。その間、ここで待っているかい?それとも、そこの宿屋で待つかい?」と少し先にある宿屋の看板を指さす。
「あの宿屋で待っているよ」と答えると、オーリアは、「直ぐに戻って来る」と言って、駆け出した。
俺は、女を抱き上げて、宿屋に入ろうとしたが、女の顔を見た親父に止められた。
「そんな死にかけ、宿で死なれたら困るんだよ。出て行ってくれ」と追い出されたので、仕方なく、宿から少し離れた道端で、女を寝かせて、オーリアが戻るのを待った。
暫くすると、オーリアが毒消し薬の入った壺と、薬酒を入れた壺を持って戻って来たので、女の口を開けて、毒消し薬を飲ませようしたが飲まないので、口移しで飲ませようとすると、
「あんたまで毒にやられるから、止めな」とオーリアに止められたので、新しいブラッドスライムを創り、俺の唇を覆ってから口移しをした。
続けて、薬種も、口移しで飲ませた。
暫くすると、女は「ん~ん」と、唸って意識を取り戻した。
そして、俺たちを見て、上半身を少しだけ起こして、
「だ、誰だ?」と誰何した。
「あんたは行き倒れていたんだよ。それを助けたっていうのに、『誰だ』はないだろう」
と、オーリアが冷たい口調で返す。
「いや、そんなつもりは」と女は言い掛けて、周囲を見回し、
「私は行き倒れていたのか?」と呟く。
「これは薬酒だ。もう少し飲んでおけ」と言って、薬酒の残りが入った器を手渡す。
女はそれを受け取ったが飲もうとしないので、
「安心しな、毒は入っていないよ。さっき、あんたに飲ませたものだ」とオーリアがきつい口調で言う。
「私に飲ませた?」
「気を失っていたから、この男が無理矢理に飲ませたのさ」
女は、「そ、そうなのか?かたじけない。それならば」と言って、残りの薬酒をグッと飲み込んだ。
顔は相変わらず青黒く腫れ上がっており、唇は3倍以上に膨れて引きつれ、瞼は両方とも目を覆うように膨れ上がっている。さらに、頬や顎も、首筋も膨れ上がっていて、話をするのも辛そうだ。
「オーリア、悪いが、宿舎から馬車を持って来てくれ」
オーリアが走り去ったので、馬車に乗って戻って来るまで、女の傷に手を当てて、癒しのスキルを使い続けた。
暫くして、オーリアが馬車で戻って来たので、この女を馬車に乗せた。
「もう話が出来るなら、何処の誰で、何故ここで死にかけていたか話してくれ」と俺が言うと、
「むっ、命を助けてくれたのには感謝するが、何処の誰か分からないのは、そっちも同じでではないか」と突っ込まれた。
「俺は、ダブリンという冒険者だ。俺が信用できないなら、王都騎士団に伝手があるから、そちらに連絡しようか?」
「何、王都騎士団か?いや、それはダメだ。それより、どこかの宿屋でもいいから休ませて欲しい」と辛そうに言う。
宿屋の方がいいと言うので、先ほど入るのを断られた宿屋とは違う宿屋を探し、女の顔を頭巾で隠して3人部屋を取った。
部屋に入ると、女は緊張が解けたのか、すぐに眠り込んだ。
女の腹に手を当てて、癒しのスキルを使っていると、
「こうやって、行く先々で、困った女を見つけては拾っていると、この先、どうなることになるやらね」
オーリアが、ニヤニヤしながら揶揄ってくる。
「いや、好きでやってるのじゃないぞ。倒れていたから助けただけだ」
「ど~だかね。しかし、そうやって助けるから、女が離れなくなる」
「それは、俺が仕向けた訳じゃない」
「まっ、そんなことは、どうでもいいのさ。それより、珍しく2人きりになったんだから、ねっ」と言って、俺を隣のベッドに誘った。
翌朝、女の腹の傷は峠を通り越したようで、腫れが引き始めた顔に色が戻っている。
暫らくして、女が目を覚ましたので、
「何も食べていないようだが、食べられそうか?」と聞くと頷いたので、オーリアが先ほど持って来てくれたスープを器に移して差し出すと、受け取って飲み始めた。
「もう話が出来るなら、そろそろ話してくれないか?」
「私を助けたら、そなたも命を狙われるぞ」
「あんたを助けて命を狙われるんなら、俺も事情を知っておく必要がある」
「事情を知ると、後戻りが出来なくなるぞ」
「どういう意味だ?」と問いかけたとき
そのとき、頭の中で、
『フレイラが眷属になりましたと』いう声が聞こえ、女の体が一瞬、光った。
『何が起こった』と驚いてステータスボードを見ると、鑑定を使わなくても、この女のステータスが見えるようになっていた。

名前 フレイラ・ローゼネンタール
種族 人間+ダブリン・ブラッド(侵食中 8/100)
性別 女
年齢 26
ジョブ 騎士

筋力 D(A+)
耐久 D(A-)
俊敏 D(A++)
魔力 D(A++)
抵抗 D(A--)

スキル 剣術1(28)、短剣術1(25).盾術1(15)、弓術1(18)、飛斬1(13)、蹴り1(18)、頭突き1(9)、.怪力1(12)、身体強化1(11)、火魔法1(22)、俊敏1(22)、気配察知1(18)、特殊鑑定1

状態 衰弱、腫れ、ダブリンの眷属

『これは、どういうことだ?俺のブラッドが、この女を侵食しているのか?ブラッドスライムで傷口を治療したからか?その為に、俺の眷属になったのか?』
戸惑う俺を置いて、と女は意識をはっきりさせるかのように頭を少し振った後で、口を開いた。
「私は元、トラディション伯爵家の騎士団に属する騎士で、名前はフレイラ・ローゼネンタールという。ある日、伯爵家のご令嬢が誘拐されたのだ。そのとき、ご令嬢は、母方の里である隣街から領都までの移動の途中で、私は護衛の一員だった。しかし、護衛の中に裏切り者がいて、盗賊を装った何者かと組んで我々を襲い、護衛は全滅した。恐らく、食事や飲み水に毒を盛られたのだろう。私も体が動かなくなり、捕らえられた。その後、森の中で純潔を奪われた上、長い間、囚われたまま、男どもに弄ばれ続けた。舌を噛み切って死のうにも、ずっと猿轡を噛まされ、目隠しをされ、手足も縛られたままで、何一つ出来ずに毎日が過ぎていった。そして、ある時、私を弄んでいた男の1人から、ある事を聞かされた。私達を襲ったのは、実は、私が仕えるトラディション伯爵自身だと言うのだ」
「その伯爵は、自分の娘を襲ったのか?何故だ?」
「その理由というのが驚きだった。実は、トラディション伯爵には、裏の顔があり、子供の誘拐で儲けているというのだ。しかも、王国内での最近の子供の誘拐事件に伯爵が関わっているのではないかという噂が立ち、その噂を打ち消す為に、自分の娘の誘拐を自作自演したというのだ。しかし、その話よりもっと打ちのめされたことがあった」
「もっと、打ちのめされたこと?」
「私がその男の話を、嘘に違いないと考えていると、証拠になることを教えてやろうと言われた。その男が言うには、私を弄んでいる男の中に、伯爵もいる。注意していれば分かる筈だと言って、私を嘲笑ったのだ。ずっと敬愛してきた伯爵様がそんなことをするはずがないと思ったが、一方で、思い当たることもあった。それは匂いだった。トラディション伯爵は、いつも独自に調合させた香水を使っていて、その香りに似た匂いが微かにする男がいたのだ。それまでは、私は自暴自棄になっていたから、私を弄んでいる男達が誰かということなど考えもしなかったのだが、その男の言葉を聞いてから冷静になって、男たちを観察するようになった。そうすると、確かに、微かに伯爵の香水と同じ匂いがする男が1人いたのだ。しかも、3日に1度は来て、他の者達よりかなり長く私を弄んでいく。これが、本当に伯爵なのかどうか、本当のことが知りたくて、私は気が狂いそうになった。そして、あるとき、私に新しいスキルが芽生たのだ」
「新しいスキル?」
「交わった相手のことが分かる、鑑定のようなスキルだ。そして、そのスキルが、その男が伯爵本人であると教えてくれた。しかも、伯爵の3人の息子も私を弄んでいることも分かった。私はまたも気が狂いそうになったが、同時に、心の底で、必ず、伯爵に復讐をすると誓いを立てた」
と言いながら、女は目に大粒の涙を浮かべたと思うと、泣き始めた。
「俺に出来ることがあれば力を貸してやるから、安心しろ」と言って慰めたが、なかなか泣き止まなかった。
そして、一頻り泣いた後、頭を起こして、
「助けてくれただけのあなたに、頼むのは筋違いだが、私の復讐に手を貸してくれないだろうか?」と頼んで来た。
「その前にさっきの続きを話せ」
「そうだな。いきなりで悪かった。逃げる機会を伺っていたところ、あの情報を教えてくれた男が、私が逃げられるような隙を、わざと作ったようだった。罠かと疑ったが、その機会を活かすしかなく、逃げ出した」
女は、ここで一息ついて、また話しを続けた。
「長い間、食べ物をロクに与えられていなかったので、体力がなく、裸のままだったが、森に隠れながら移動し、村を見つけて服を盗んだり、魔物を殺し食べたりして体力を戻し、何とか伯爵領を出た。そして、王都まで来たとき、王都に運ばれる荷馬車の列を見つけたので後を付け、夜間に荷台に隠れて王都に入ったのだ。この王都には私の知っている騎士がいるので、尋ねていこうしたところに、何者かに顔に黒い水をかけられて、目眩しをされたところを腹を刺されて倒れてしまった」
「お前ほどの凄腕が、何故、そんな簡単に腹を刺されたんだ?」
「私より腕の立つ者の仕業だろう。気配を感じることができなかった」
「それほど腕が立つなら、伯爵家の影か、王都の影のどちらかだろう」とオーリアが感想を挟んだ。
「それで、王都の知り合いの騎士というのは誰だ?」
「テレナリーサ様だ」
俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。
「ちょっと待て。それなら、最初に王都騎士団のところへ連れて行こうかと聞いたとき、何故、ダメだと言った?」
「最初は、藁にも縋る思いで王都まで来たのだが、よく考えると、テレナリーサ様に、この話をするわけにはいかない。だから、王都騎士団の名前を聞いたときに、慌てたのだ」
「何故、テレナリーサには話せないんだ?」
「そなたは、テレナリーサ様を知っているのか?」
「テレナリーサは、俺の、いや、俺は今、テレナリーサのところにいる」
フレイラは、目を大きく開いて
「それは、まさか、そなたはテレナリーサ様と、どういう関係なのだ?」
「王都に来た時に助けてもらった。それからずっと、彼女のところに居る」
俺が答えると、フレイラは天を仰いで
「何ということだ?私のことは、テレナリーサ様には秘密にしてくれ。私が男に弄ばれたことをテレナリーサ様に知られたら、もう生きていけない。首を切って、死んだ方がましだ」
「お前とテレナリーサはどういう関係なのだ?」
「私にとって、テレナリーサ様は、憧れそのもの。非の打ち所がない女性がいるとしたら、正にテレナリーサ様が、その人なので」
「非の打ち所がないというのは、その通りだと思うが、それだけで、そこまで言うか?」
「どうしても言わなければならないのか?」
「ああ、聞いておきたい」
「私は、テレナリーサ様に道ならぬ恋心を抱いている。テレナリーサ様に身も心も捧げたい。それがテレナリーサ様に、ずっと抱いてきた、そして、今も抱いている思いだ。しかし、この身は、男に弄ばれてきた体だ。こんなに汚れた私を、テレナリーサ様に知られたくない」
『こんなところで百合展開かよ』と思ったが、
「お前が汚されたのは、お前のせいじゃない。それに、お前が嫌がっても、今度のことは、テレナリーサに報告しないといけない」と伝えた。
この後、フレイラは、自分の心の底に秘めていた思いを話して燃え尽きたのか、完全に黙り込んでしまった。
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