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ランズリード侯爵
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馬車は、ランズリード侯爵領の真ん中を突っ切る街道を走り、領都ランズリードにある侯爵の居城に着いた。
俺達は、アンテローヌに導かれて城内に入り、俺1人だけが侯爵の待つ応接室に通された。
アンテローヌに続いて部屋に入ると、
「座るがよい。この度は、大層な活躍だったようだな」
既にソファに座っていた大柄な男が、俺に座るように手で合図する。体だけでなく、顔の造作も身振りも、全てが大きい。
「ええ~と」俺が戸惑っていると、
「ダブリン殿、こちらがランズリード侯爵閣下であられます。ご挨拶を」とアンテローヌに促される。
「始めまして、ダブリンです。え~と、貴族の作法を知りませんので、無作法があればお許し下さい」と自己紹介すると、
「まあ、座ってくれ。アンテローヌも座れ」
その言葉に、アンテローヌが俺に座るように手で合図をし、自分も俺の隣に座る。
「そなたのことは、あの方から聞いている。命の恩人だと言っていたぞ。それにしても、あの方に、そこまで感謝されるとはな。嫉妬に狂っておる貴族が何人もおるぞ」
テレナリーサのことを言っているらしいが、話が脱線しているような気がしている。すると、
「侯爵閣下」とアンテローヌが窘めた。
「むむ、話が逸れた。まずは、大勢の子供を救い出したそうだな。かの伯爵家は、今まで尻尾を掴ませなかったが、今回は大手柄だ。子供達が囚われていたのはどのような場所で、どのように助け出したのか、詳しく聞かせてくれ」
「カスタリング鉱山の坑道の3層まで潜ったところで、子供達を見つけました」
「あの坑道には、奴らの守護者がおると言われておったぞ?あそこには、何度か人を送り込んだが、戻って来た者は誰もおらぬ。かの伯爵家は、あの坑道には守護者がおって、伯爵家以外の者は入れぬと豪語しておる」
「守護者かどうか分かりませんが、リッチがいました」
「何と、リッチがおったのか。それでよく、子供を助け出せたな。というより、よく命があったな」
そのとき、この話は警戒しないといけないという気がしたので、リッチを倒したことは伏せることにした。
「実は、リッチは、話が通じたのです」
「話が通じただと?」
侯爵は大きな目をギョロリとさせて、俺を睨んだ。疑っているようだ。
「リッチは、何百年も前からここにいるが、人間が勝手に子供を生贄と言って連れて来ると言ってました。そして、自分には生贄は必要ないとも言っていました。それで、子供を連れ出す時も無関心でした」
「するとリッチは、伯爵家が召喚したものではないのじゃな?」
「リッチは、あの人間どもとは関係ないと、言ってましたが」
「う~ん、信じがたい話じゃが、そなたの王都での噂を考えると、信じても良いか」
「俺、いや、私の噂ですか?」
「何じゃ、知らぬのか?そなたは、死者と話が出来ると噂されておる」
「私が死者と話が出来る?何故、そのように噂されているのでしょうか?」
「囚人船の王がそのようなことを語ったと、出所が分からぬ噂が流れておる。かの方も、そのことについては言を左右にしておられたしな。とはいえ、今までは、ただの眉唾な噂と思っておったが、囚人船の王に続いてリッチとも話をしたとなると、その噂は、真実味を帯びてくるのう」
「相手は死者ではなく魔物ですよ。死者と話なんか出来ませんよ」
と俺は、噂を否定した。ルージュは怨霊とはいえ、死者というより魔物の類だろう。普通の死者と話なんか出来ないことは嘘じゃない。
「まあ、かの方が、あれほど肩入れしておるそなたの言葉を疑う気はないがの。とにかく、今の話こそ、儂が聞きたかった話だ。これで、かの伯爵家に一泡吹かせてやることが出来る。数日中にも伯爵領に攻め込むとしよう」
「攻め込むんですか?」
「忌々しいトラディション伯爵めが力を持っておるのは、数世代前にリッチの召喚に成功したからだとされておる。そのリッチに、高純度の魔鉱石が出るカスタリング鉱山を守らせていると吹聴していたのじゃ。今まで、色んな勢力が、あの鉱山の秘密を暴こうとしてきたが、みな失敗しておる。辛うじて生きて逃げ帰った者の証言から、リッチらしきものがいるのは間違いないと考えられてきたのじゃ」
「リッチに話しかけた者はいなかったのですか?」
侯爵は、ギョッとした顔をして。
「誰が、リッチに話し掛かるなんてことを考えるものか。リッチの姿を見た者は、逃げるか、攻撃するか、どちらかしか考えはせぬわい」
「なるほど、それでは伯爵家は、リッチの存在を上手く利用してきたということですか?」
「そなたの話だとそうなるのう」
「それで、リッチが伯爵家の味方でないと分かったから、攻め込むというのですか?」
「その通りじゃ。トラディションの屑共は、リッチに生贄を差し出さなくてはならないと言って、魔鉱石を買っている貴族家から、生贄用の子供を供出させてきたのじゃ。もちろん、我がランズリード家は断って来たがな。しかし、それが全て嘘だったということになると、生贄を差し出して来た貴族家は多いから、伯爵家は窮地に陥るじゃろう。それだけに、そなたのもたらした情報は、貴重極まるものじゃわい。そなたには、儂からの感謝の証として、アンテローヌを贈ろう。床の相手とするがいい」
いきなり、思いもよらない話を切り出してきた。
「えっ、いやそれは」と断ろうとすると、
「これは、断ることが許されぬよ。アンテローヌをそなたの妻として差し出すのは、我が侯爵家が、そなたの後ろ盾になったと宣言することじゃ。本来ならば、貴族ではないそなたの証言など、貴族家は相手にはせぬ。しかし、そなたが我が侯爵家の身内になってしまえば、今回のそなたの証言は、他の貴族家も考慮しなければならなくなる。それは、伯爵家に対する有効な打撃になる。黙って、受け取ってくれたまえ。アンテローヌ、今すぐダブリン殿と寝室に向かいなさい」
そう言って席を立った侯爵は、そのまま後も見ずに部屋を出て行った。
唖然としている俺の手をアンテローヌが握ってきた。その握り方には強い力が籠っていて、俺を安心させるために握ったのではなく、俺を逃がさない為に握ってきたように思えた。
「お父様の命です。今すぐ、寝室へ向かいましょうと」とアンテローヌが俺を促す。
「俺は、こんな風に政治的に利用されるのは好きじゃない」と言うと、
「今更何を言っておられるのです。もう利用される、されないという段階は、とっくに過ぎておりますよ。特に、今回の伯爵領でのお働きで、伯爵家はダブリン様を完全に目の敵と致しましょう」
「そうなのか?」
「ですから、味方は味方同士で結束を固めなければなりません。さあ、参りましょう」
よく分からない説得のされ方をして、俺はアンテローヌに手を引かれて寝室に向かった。
「これで、私はテレナリーサ様と同じ夫を持つ身になりました。末永く可愛がってくださいませ、旦那様」と、俺のことを旦那様と呼ぶようになったアンテローヌは、ベッドの上で俺に頭を下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」と答えたが、俺自身の身の上の急激な展開に頭がついていかない。
「何か、飲み物を持って来させましょう」
アンテローヌは枕元に合ったハンドベルを鳴らして、
「果実酒とワインを」と侍女に言いつけている。
「なあ、オーリア達も、俺の女なんだが」と言いかけると、
「知っておりますよ」とアンテローヌ。
「夜は、彼女達の相手もしないといけないんだが」
「それでは、後で順番を決めておきます」
「俺が王都に戻るときは、アンテローヌも来るのか?」
「旦那様の行くところには、どこへでも参ります」
申し分のない美女だが、少し重たい女なのかもしれないと思った。というより、『流されて♡してしまったが、大丈夫なのか?』と不安になった。
その後、アンテローヌに案内されて、晩餐の席に出た。
細長いテーブルに、大勢の者が着席している。俺は、ランズリード侯爵のすぐ横の席に座らされた。その隣には、アンテローヌ、クレライン、オーリア、ルビーの順で俺の嫁たちが座っている。
「これが皆、儂の娘と息子たちだ。娘が27人、息子が33人おる。今ここにいるのは、その半数足らずだがな」
と侯爵が教えてくれる。
給仕が全員のグラスに食前酒を注ぎ終わると、侯爵は立ち上がって、食前酒のグラスを右手に持ち、
「今宵は、皆に、アンテローヌの婿殿を紹介する。ダブリン殿だ。王国の至宝と謳われるテレナリーサ様の婿殿でもある」
その言葉を聞いて、どよめきが起こる。
侯爵は俺に立つように促して
「婿殿、挨拶を頼む」と言ってくる。
いつの間にか、婿呼びになっている。完全に、侯爵の手の内に取り込まれてしまった形だ。それに、テレナリーサとの関係まで持ち出された。っていうか、俺は貴族から、テレナリーサの婿と、ちゃんと認識されていたのか?そんな考えが頭を占めて、まごまごしていると、俺の戸惑いを察したアンテローヌがすかさず立ち上がって、
「ランズリード家の皆の者、聞きなさい。このお方が、かの悪名高い伯爵家と戦っておられる、王都で名高いダブリン殿です。今日、私はダブリン殿に嫁ぎました。皆も、ダブリン殿を兄と敬い、お慕いしなさい。それでは、ダブリン殿、乾杯の音頭をお願い致します」と、アンテローヌはニッコリ笑い、グラスを上げて乾杯の音頭を取るように促してくれた。
俺は、右手に持った食前酒の入ったグラスを突き上げ「乾杯」と声を上げた。
食卓に着いている者が、全員「乾杯」と唱和し、俺は席に着くことが出来た。早くも内助の功を発揮してくれたアンテローヌに、
「すまない」と声を掛けると、「夫を支えるのは妻の務め。お気になさらずに」と微笑まれた。
俺達は、アンテローヌに導かれて城内に入り、俺1人だけが侯爵の待つ応接室に通された。
アンテローヌに続いて部屋に入ると、
「座るがよい。この度は、大層な活躍だったようだな」
既にソファに座っていた大柄な男が、俺に座るように手で合図する。体だけでなく、顔の造作も身振りも、全てが大きい。
「ええ~と」俺が戸惑っていると、
「ダブリン殿、こちらがランズリード侯爵閣下であられます。ご挨拶を」とアンテローヌに促される。
「始めまして、ダブリンです。え~と、貴族の作法を知りませんので、無作法があればお許し下さい」と自己紹介すると、
「まあ、座ってくれ。アンテローヌも座れ」
その言葉に、アンテローヌが俺に座るように手で合図をし、自分も俺の隣に座る。
「そなたのことは、あの方から聞いている。命の恩人だと言っていたぞ。それにしても、あの方に、そこまで感謝されるとはな。嫉妬に狂っておる貴族が何人もおるぞ」
テレナリーサのことを言っているらしいが、話が脱線しているような気がしている。すると、
「侯爵閣下」とアンテローヌが窘めた。
「むむ、話が逸れた。まずは、大勢の子供を救い出したそうだな。かの伯爵家は、今まで尻尾を掴ませなかったが、今回は大手柄だ。子供達が囚われていたのはどのような場所で、どのように助け出したのか、詳しく聞かせてくれ」
「カスタリング鉱山の坑道の3層まで潜ったところで、子供達を見つけました」
「あの坑道には、奴らの守護者がおると言われておったぞ?あそこには、何度か人を送り込んだが、戻って来た者は誰もおらぬ。かの伯爵家は、あの坑道には守護者がおって、伯爵家以外の者は入れぬと豪語しておる」
「守護者かどうか分かりませんが、リッチがいました」
「何と、リッチがおったのか。それでよく、子供を助け出せたな。というより、よく命があったな」
そのとき、この話は警戒しないといけないという気がしたので、リッチを倒したことは伏せることにした。
「実は、リッチは、話が通じたのです」
「話が通じただと?」
侯爵は大きな目をギョロリとさせて、俺を睨んだ。疑っているようだ。
「リッチは、何百年も前からここにいるが、人間が勝手に子供を生贄と言って連れて来ると言ってました。そして、自分には生贄は必要ないとも言っていました。それで、子供を連れ出す時も無関心でした」
「するとリッチは、伯爵家が召喚したものではないのじゃな?」
「リッチは、あの人間どもとは関係ないと、言ってましたが」
「う~ん、信じがたい話じゃが、そなたの王都での噂を考えると、信じても良いか」
「俺、いや、私の噂ですか?」
「何じゃ、知らぬのか?そなたは、死者と話が出来ると噂されておる」
「私が死者と話が出来る?何故、そのように噂されているのでしょうか?」
「囚人船の王がそのようなことを語ったと、出所が分からぬ噂が流れておる。かの方も、そのことについては言を左右にしておられたしな。とはいえ、今までは、ただの眉唾な噂と思っておったが、囚人船の王に続いてリッチとも話をしたとなると、その噂は、真実味を帯びてくるのう」
「相手は死者ではなく魔物ですよ。死者と話なんか出来ませんよ」
と俺は、噂を否定した。ルージュは怨霊とはいえ、死者というより魔物の類だろう。普通の死者と話なんか出来ないことは嘘じゃない。
「まあ、かの方が、あれほど肩入れしておるそなたの言葉を疑う気はないがの。とにかく、今の話こそ、儂が聞きたかった話だ。これで、かの伯爵家に一泡吹かせてやることが出来る。数日中にも伯爵領に攻め込むとしよう」
「攻め込むんですか?」
「忌々しいトラディション伯爵めが力を持っておるのは、数世代前にリッチの召喚に成功したからだとされておる。そのリッチに、高純度の魔鉱石が出るカスタリング鉱山を守らせていると吹聴していたのじゃ。今まで、色んな勢力が、あの鉱山の秘密を暴こうとしてきたが、みな失敗しておる。辛うじて生きて逃げ帰った者の証言から、リッチらしきものがいるのは間違いないと考えられてきたのじゃ」
「リッチに話しかけた者はいなかったのですか?」
侯爵は、ギョッとした顔をして。
「誰が、リッチに話し掛かるなんてことを考えるものか。リッチの姿を見た者は、逃げるか、攻撃するか、どちらかしか考えはせぬわい」
「なるほど、それでは伯爵家は、リッチの存在を上手く利用してきたということですか?」
「そなたの話だとそうなるのう」
「それで、リッチが伯爵家の味方でないと分かったから、攻め込むというのですか?」
「その通りじゃ。トラディションの屑共は、リッチに生贄を差し出さなくてはならないと言って、魔鉱石を買っている貴族家から、生贄用の子供を供出させてきたのじゃ。もちろん、我がランズリード家は断って来たがな。しかし、それが全て嘘だったということになると、生贄を差し出して来た貴族家は多いから、伯爵家は窮地に陥るじゃろう。それだけに、そなたのもたらした情報は、貴重極まるものじゃわい。そなたには、儂からの感謝の証として、アンテローヌを贈ろう。床の相手とするがいい」
いきなり、思いもよらない話を切り出してきた。
「えっ、いやそれは」と断ろうとすると、
「これは、断ることが許されぬよ。アンテローヌをそなたの妻として差し出すのは、我が侯爵家が、そなたの後ろ盾になったと宣言することじゃ。本来ならば、貴族ではないそなたの証言など、貴族家は相手にはせぬ。しかし、そなたが我が侯爵家の身内になってしまえば、今回のそなたの証言は、他の貴族家も考慮しなければならなくなる。それは、伯爵家に対する有効な打撃になる。黙って、受け取ってくれたまえ。アンテローヌ、今すぐダブリン殿と寝室に向かいなさい」
そう言って席を立った侯爵は、そのまま後も見ずに部屋を出て行った。
唖然としている俺の手をアンテローヌが握ってきた。その握り方には強い力が籠っていて、俺を安心させるために握ったのではなく、俺を逃がさない為に握ってきたように思えた。
「お父様の命です。今すぐ、寝室へ向かいましょうと」とアンテローヌが俺を促す。
「俺は、こんな風に政治的に利用されるのは好きじゃない」と言うと、
「今更何を言っておられるのです。もう利用される、されないという段階は、とっくに過ぎておりますよ。特に、今回の伯爵領でのお働きで、伯爵家はダブリン様を完全に目の敵と致しましょう」
「そうなのか?」
「ですから、味方は味方同士で結束を固めなければなりません。さあ、参りましょう」
よく分からない説得のされ方をして、俺はアンテローヌに手を引かれて寝室に向かった。
「これで、私はテレナリーサ様と同じ夫を持つ身になりました。末永く可愛がってくださいませ、旦那様」と、俺のことを旦那様と呼ぶようになったアンテローヌは、ベッドの上で俺に頭を下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」と答えたが、俺自身の身の上の急激な展開に頭がついていかない。
「何か、飲み物を持って来させましょう」
アンテローヌは枕元に合ったハンドベルを鳴らして、
「果実酒とワインを」と侍女に言いつけている。
「なあ、オーリア達も、俺の女なんだが」と言いかけると、
「知っておりますよ」とアンテローヌ。
「夜は、彼女達の相手もしないといけないんだが」
「それでは、後で順番を決めておきます」
「俺が王都に戻るときは、アンテローヌも来るのか?」
「旦那様の行くところには、どこへでも参ります」
申し分のない美女だが、少し重たい女なのかもしれないと思った。というより、『流されて♡してしまったが、大丈夫なのか?』と不安になった。
その後、アンテローヌに案内されて、晩餐の席に出た。
細長いテーブルに、大勢の者が着席している。俺は、ランズリード侯爵のすぐ横の席に座らされた。その隣には、アンテローヌ、クレライン、オーリア、ルビーの順で俺の嫁たちが座っている。
「これが皆、儂の娘と息子たちだ。娘が27人、息子が33人おる。今ここにいるのは、その半数足らずだがな」
と侯爵が教えてくれる。
給仕が全員のグラスに食前酒を注ぎ終わると、侯爵は立ち上がって、食前酒のグラスを右手に持ち、
「今宵は、皆に、アンテローヌの婿殿を紹介する。ダブリン殿だ。王国の至宝と謳われるテレナリーサ様の婿殿でもある」
その言葉を聞いて、どよめきが起こる。
侯爵は俺に立つように促して
「婿殿、挨拶を頼む」と言ってくる。
いつの間にか、婿呼びになっている。完全に、侯爵の手の内に取り込まれてしまった形だ。それに、テレナリーサとの関係まで持ち出された。っていうか、俺は貴族から、テレナリーサの婿と、ちゃんと認識されていたのか?そんな考えが頭を占めて、まごまごしていると、俺の戸惑いを察したアンテローヌがすかさず立ち上がって、
「ランズリード家の皆の者、聞きなさい。このお方が、かの悪名高い伯爵家と戦っておられる、王都で名高いダブリン殿です。今日、私はダブリン殿に嫁ぎました。皆も、ダブリン殿を兄と敬い、お慕いしなさい。それでは、ダブリン殿、乾杯の音頭をお願い致します」と、アンテローヌはニッコリ笑い、グラスを上げて乾杯の音頭を取るように促してくれた。
俺は、右手に持った食前酒の入ったグラスを突き上げ「乾杯」と声を上げた。
食卓に着いている者が、全員「乾杯」と唱和し、俺は席に着くことが出来た。早くも内助の功を発揮してくれたアンテローヌに、
「すまない」と声を掛けると、「夫を支えるのは妻の務め。お気になさらずに」と微笑まれた。
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