ホラー短編集【キグルミ】

AAKI

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4篇目タイトル【蘇生の回廊】

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 途中、真吾が中での作業を勧めてくれた。
 千春も奈々と一緒に洗い物やゴミの処理をしているのを知ってのことだろう。友人の助け舟に感謝しつつ、淳平は屋内へと入って行く。すると、二人が会話しているのが聞こえてきた。

「こちらは、乾いたものを拭くだけなので先に戻っていてください」
「え、良いのぅ?」
「はい。酔っ払ったお二人を一番抑えてくれていましたし。なんだかんだで飲まれていらしましたし」
「そう。じゃあ~、お言葉に甘えて! ちょっとフラフラしてきたし、ね」

 どうやら、奈々が千春を部屋に返そうとしているようだ。確かに、ここにいない行雄や恵理を暴れないようにしてくれていたのはマドンナである。
 そして千春はフラフラと台所から廊下へ。当然、淳平とも鉢合わせする。

「あ。だ、大丈夫ですか?」
「桑名君? なんだか追い出されちった」

 別荘へ戻ってくるまではそれほど酔っ払った様子はなかったというのに、後からくるタイプなのか心配する言葉を他所に千春はテヘペロっと古臭い仕草をした。

「あれぇ? 淳平くんが二人に?」
「えーと、だいぶ酔っているみたいですね。本当に大丈夫ですか?」
「ふへぇ? あー、桑名君って双子だったんだ~」

 かなり酔いが回っているようだ。淳平が改めて確認するも、言葉を理解している様子はなかった。
 奈々の手伝いをしなければいけないのかもしれないが、この状況を放っておくわけにもいかない。いや、放っておけばきっかけの一つを失うことになる。
 淳平は内心で奈々に謝罪し、千春に肩を貸して部屋まで連れて行くことにした。

「あの、その、手伝いますよ」
「あぁ~? ありがとぉ~」

 まさかこんな形で好意を寄せている相手と触れ合うなどとは思っておらず、耳元でお礼を囁かれただけで緊張してしまう。歩き方もぎこちなかったと思う。それでも、肩にかかる千春の重みと手の温もりに心は弾んだ。
 たまにヨロッと全身を傾けてくるのを淳平が支え、なんとか部屋までたどり着く。何度心臓が飛び出しそうになったことだろう。

「えっと、鍵」
「は~い」

 当然、施錠されたままであるため千春に訪ねようとした。すぐに彼女はポケットから鍵を取り出した。
 淳平は扉を開くとさらなる緊張が襲いかかってくる。
 彼は必死に気持ちを落ち着けながら、ベッドに置かれている荷物から千春の場所を探し出す。

「着きましたよ……」

 彼は少し名残惜しいが彼女をベッドに移して寝かせる。

「ねぇ」

 彼女はポフッと布団の上に倒れ込むと、焦点の定まらない目でなんとか彼を見据えた。微笑みかけているのかただ酔っ払って筋肉が緩んでいるのか……。いずれにせよ可愛らしい表情には違いなかった。
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