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Lesson5.味覚から見える表現の形
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「パンパカーン! お姉さんがやってきたよ~! 夕飯は、喜べ焼き肉だぁ!」
「もはやチャイムを鳴らすことさえしなくなったな。勝手知ったる我が家で食べる焼き肉は美味いかよ」
「まぁまぁ、もう他人のお隣さんってわけでもないでしょ? 今日は手抜きだけどちょっと特別なオヤツも用意したからね」
「全く、人差し指を唇に当てて前屈みになるなんていうカワイコぶっても、食べ物で吊っても駄目。というか、なんか今日はいつもと違うような?」
「別に前髪2センチ切ったとか、リップを変えたとか、そういうことはないよ? それとも君の勘が鋭くなったのかな?」
「確かに何も違わないように見えるけど、どこかいつもと雰囲気が違うんだよな。ワンピースのスカートが少しミニだったり、するぐらい? まぁ、考えても仕方ないから入って」
「ちょっと頑張っちゃいました。さて、今日は既に肉もタレに漬けてあるし、野菜も切って来たから冷蔵庫にしまわせて貰うね。お昼はもう食べた?」
「どうぞ。昼も食べたよ。インスタントラーメンだけど」
「そうか。じゃあ、ちょっと早いけどオヤツにしようか」
「朝からくるのかと思ってたけど、昼過ぎになったのは宅配を待ってたの? お母さんとかオバさんから?」
「あはは、個人的なものだよー。さぁさぁ、気にせず部屋に上がって!」
「そう? 棒読みは良いにしても、俺の部屋まで私有化されても困るんだけど」
「そんなこと言って、部屋に到着するまで抵抗しなかったクセに。本当は期待してるんでしょ」
「なんだよ。そのネットでネタにされてそうな卑猥な本みたいなセリフは」
「やっぱり読んでるんだー。どこかに隠して堅物ぶっても、一昨日からの態度で丸わかりだよー。今日の講義も期待してるのかなぁ?」
「むッ。ちょっと挑発的だね」
「ハハハッ、怒らない。怒らない。オヤツでも食べながら気楽に来てよ」
「からかうのはそれぐらいにして貰って、今日は何を教えてくれるのかな? あ、オヤツってポッキ……」
「これを見てどう思う?」
「凄く、大きいです……」
「はい、理想的な返事をありがとう。今日は秘蔵のジャイアントなポッキュィーです」
「太さは親指の爪ぐらい、長さは20センチほど。流石に商標登録名までは言えないからポッキューと呼称しますか」
「シンプルなチョコが一周回って一番という結果になりました。えー、なぜオヤツかと言いますとポリポリポリ」
「ふむふむ、ポリポリム、シャムシャ。口の中の水分が……」
「味覚という3大要求に関連するお話がしたいからです。正しくは空腹を満たすという食欲なのだけど、それに必要なのは美味しいという幸福感だと思うの」
「ちょっと無理のあるつなげ方だけど、美味しい方がお腹いっぱいになった気がするな。でも、官能小説と味覚ってあんまし?」
「そうなの! ある種の行為において、味覚ほど不要なものはないのよ! そりゃ、作品によっては美味だとなんだのと書かれているけれど、実際は酸性・アルカリ性物質や匂いの分子で構成されたほぼ水だからね」
「食生活や体質によって多少は変わるんだっけ。味に目をつぶれば、男性の出す液には体に良い成分や幸せを感じさせる物質が含まれてるとか言うけど」
「概ねは正しいね。まとめると、別に伝えずとも済む表現なの! なのになぜそれを取り上げるのかというと」
「いうと?」
「味覚には官能小説において2つの表現的意味合いがあると考えるわ。まぁ、これも私の持論だから鵜呑みにはしないで頂戴」
「ほうほう。なんだかうなずくことしか出来ないけど」
「1つ、愛情表現ね。2つ、支配的表現。わかりやすく言うと、好きだから美味しく感じると美味しく感じさせられる。という似て非なる状態なの」
「食べ物で言うと、好きな食べ物だから別々のお店で味が違っても美味しく感じる。もしくは、美味しいものだと刷り込まれてなんとなくそう感じさせられている。その違いってこと?」
「そんな感じ、そんな感じ。食べ物だとその味が好きだから食べ物自体を好きになるというのが正しい流れなんだけどね。流石に、食品ではないからその枠から外しておくね」
「なんとも都合の良い解釈だけど、好きな人のだから飲めるとかって言うもんね。もしくは、、って感じだもんね」
「ざっくり説明したところで、実践に移るとしましょう。果たして、君のはどう感じるのかな? さぁ、君のポッキューを出して」
「え、えぇ……そんなこと」
「私だっていろいろしてきたんだから、今更君が断れるわけないよね? これも小説の練習だと思ってポッキューを! さぁ! さぁ!」
「ちょっと、無理やり包装を剥こうとしないで! 出す! 出すから!」
「大人しく従えば良いんだよ。グヘヘヘッ」
「涎垂らして、据わった目で、おかしな笑いを浮かべてるって。これ、もうヤケっぱちになってるやつだ!」
「これが君のポッキューなのね。まだちょっと小型だけど、それでも立派なものだね。少し、チョコレートが漏れ始めてるかな?」
「そんなマジマジと、近くで熱い息を吹きかけられたら……更に溶けちゃうよ……」
「もっと溶けて良いんだよ。チョコレートを、こうしてレロ……舌で舐め取るのも悪くないの。うん、ちょっと酸っぱいぐらいでほとんど味はないね」
「クッ。チョコレートは元々はどちらかと言うと苦味だから。うん……」
「先っぽの丸いところにチュッと。フフッ、ジャンボポッキューになってきたね。もっとチョコレートを舐め取って上げる。ペロペロ……」
「そ、そんなに、舐められたら、ポッキューがフヤフヤにッ。アァッ」
「一旦、立派なジャンボになったところでストップね。次の講義は、総集編と行こうか」
「総集編? それって、要するに、一回まとめて……?」
ついにこのときがやってきた。
「もはやチャイムを鳴らすことさえしなくなったな。勝手知ったる我が家で食べる焼き肉は美味いかよ」
「まぁまぁ、もう他人のお隣さんってわけでもないでしょ? 今日は手抜きだけどちょっと特別なオヤツも用意したからね」
「全く、人差し指を唇に当てて前屈みになるなんていうカワイコぶっても、食べ物で吊っても駄目。というか、なんか今日はいつもと違うような?」
「別に前髪2センチ切ったとか、リップを変えたとか、そういうことはないよ? それとも君の勘が鋭くなったのかな?」
「確かに何も違わないように見えるけど、どこかいつもと雰囲気が違うんだよな。ワンピースのスカートが少しミニだったり、するぐらい? まぁ、考えても仕方ないから入って」
「ちょっと頑張っちゃいました。さて、今日は既に肉もタレに漬けてあるし、野菜も切って来たから冷蔵庫にしまわせて貰うね。お昼はもう食べた?」
「どうぞ。昼も食べたよ。インスタントラーメンだけど」
「そうか。じゃあ、ちょっと早いけどオヤツにしようか」
「朝からくるのかと思ってたけど、昼過ぎになったのは宅配を待ってたの? お母さんとかオバさんから?」
「あはは、個人的なものだよー。さぁさぁ、気にせず部屋に上がって!」
「そう? 棒読みは良いにしても、俺の部屋まで私有化されても困るんだけど」
「そんなこと言って、部屋に到着するまで抵抗しなかったクセに。本当は期待してるんでしょ」
「なんだよ。そのネットでネタにされてそうな卑猥な本みたいなセリフは」
「やっぱり読んでるんだー。どこかに隠して堅物ぶっても、一昨日からの態度で丸わかりだよー。今日の講義も期待してるのかなぁ?」
「むッ。ちょっと挑発的だね」
「ハハハッ、怒らない。怒らない。オヤツでも食べながら気楽に来てよ」
「からかうのはそれぐらいにして貰って、今日は何を教えてくれるのかな? あ、オヤツってポッキ……」
「これを見てどう思う?」
「凄く、大きいです……」
「はい、理想的な返事をありがとう。今日は秘蔵のジャイアントなポッキュィーです」
「太さは親指の爪ぐらい、長さは20センチほど。流石に商標登録名までは言えないからポッキューと呼称しますか」
「シンプルなチョコが一周回って一番という結果になりました。えー、なぜオヤツかと言いますとポリポリポリ」
「ふむふむ、ポリポリム、シャムシャ。口の中の水分が……」
「味覚という3大要求に関連するお話がしたいからです。正しくは空腹を満たすという食欲なのだけど、それに必要なのは美味しいという幸福感だと思うの」
「ちょっと無理のあるつなげ方だけど、美味しい方がお腹いっぱいになった気がするな。でも、官能小説と味覚ってあんまし?」
「そうなの! ある種の行為において、味覚ほど不要なものはないのよ! そりゃ、作品によっては美味だとなんだのと書かれているけれど、実際は酸性・アルカリ性物質や匂いの分子で構成されたほぼ水だからね」
「食生活や体質によって多少は変わるんだっけ。味に目をつぶれば、男性の出す液には体に良い成分や幸せを感じさせる物質が含まれてるとか言うけど」
「概ねは正しいね。まとめると、別に伝えずとも済む表現なの! なのになぜそれを取り上げるのかというと」
「いうと?」
「味覚には官能小説において2つの表現的意味合いがあると考えるわ。まぁ、これも私の持論だから鵜呑みにはしないで頂戴」
「ほうほう。なんだかうなずくことしか出来ないけど」
「1つ、愛情表現ね。2つ、支配的表現。わかりやすく言うと、好きだから美味しく感じると美味しく感じさせられる。という似て非なる状態なの」
「食べ物で言うと、好きな食べ物だから別々のお店で味が違っても美味しく感じる。もしくは、美味しいものだと刷り込まれてなんとなくそう感じさせられている。その違いってこと?」
「そんな感じ、そんな感じ。食べ物だとその味が好きだから食べ物自体を好きになるというのが正しい流れなんだけどね。流石に、食品ではないからその枠から外しておくね」
「なんとも都合の良い解釈だけど、好きな人のだから飲めるとかって言うもんね。もしくは、、って感じだもんね」
「ざっくり説明したところで、実践に移るとしましょう。果たして、君のはどう感じるのかな? さぁ、君のポッキューを出して」
「え、えぇ……そんなこと」
「私だっていろいろしてきたんだから、今更君が断れるわけないよね? これも小説の練習だと思ってポッキューを! さぁ! さぁ!」
「ちょっと、無理やり包装を剥こうとしないで! 出す! 出すから!」
「大人しく従えば良いんだよ。グヘヘヘッ」
「涎垂らして、据わった目で、おかしな笑いを浮かべてるって。これ、もうヤケっぱちになってるやつだ!」
「これが君のポッキューなのね。まだちょっと小型だけど、それでも立派なものだね。少し、チョコレートが漏れ始めてるかな?」
「そんなマジマジと、近くで熱い息を吹きかけられたら……更に溶けちゃうよ……」
「もっと溶けて良いんだよ。チョコレートを、こうしてレロ……舌で舐め取るのも悪くないの。うん、ちょっと酸っぱいぐらいでほとんど味はないね」
「クッ。チョコレートは元々はどちらかと言うと苦味だから。うん……」
「先っぽの丸いところにチュッと。フフッ、ジャンボポッキューになってきたね。もっとチョコレートを舐め取って上げる。ペロペロ……」
「そ、そんなに、舐められたら、ポッキューがフヤフヤにッ。アァッ」
「一旦、立派なジャンボになったところでストップね。次の講義は、総集編と行こうか」
「総集編? それって、要するに、一回まとめて……?」
ついにこのときがやってきた。
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