11 / 21
10話・『スズ視点』・動画は秘密2
しおりを挟む
幸いにも、先程出た通り『TickTock』という携帯電話のアプリがあります。簡単に動画が撮影できるうえ、ちょっとしたエフェクトぐらいなら編集もできるようです。
「じゃあ、私は撮影ずるわ」
「ありがとうございます」
ウコちゃんが名乗り出てくれました。
私達はというと、どんな動画を撮影するか、はたまた何ができるかを話し合います。
「でも、私達でできることってなんでしょう? 言い出しといてなんですが」
「ただの中学生だからなぁ」
「妖だからって特別なことができるわけでも、全部許されてるわけでもないしね」
リンリンちゃんやベルちゃんが言った通り、私達だって日本社会のルールに従って生きています。いかに妖力があろうとも、中学生以上の権限はありませんし妖用の法律もあります。
それらに反せず大勢の方に伝えられる方法というのは多くありません。
しかし、厳しい条件の中で道を示してくれるのはさすがベルちゃんでしょうか。
「あー、2人とも覚えてる? 小学校のとき、最後にやったダンス」
「えーと、卒業式に返礼でやったやつだよね?」
ベルちゃんが提案したのは、小学校の最後で各学年の出し物に対して卒業生である私達がやった踊りのことです。
「覚えてる、覚えてる。体に染み付いてるのか、今でも踊れるぜ」
リンリンちゃん同様に、あれからまだ3ヶ月くらいなので怪しいとは言え覚えていました。
「一応振り付けを全部マネしちゃダメでしょうし、大勢でやらないと駄目なところとかを若干変えましょう」
そこからは、3人と時々ウコちゃんが混じってダンスの振り付けを考え直しました。その日は気づけば強制下校の時間となっており、練習と撮影は翌日になりました。
こうして踊りを『TickTock』にあげたのが、つい先程までの流れです。
「ふぅ、なんとか大きな失敗もなくいけましたね」
「そうね。存外できるものだわ」
一応のところ念の為に制服から着替えた私服を汗で汚し、私達は一息つき終えました。ビショビショになってしまいましたね。
でも本来の振り付けから変えた部分ですが、私とて先生への余計なお世話を除いて練習時間が少なかった中、ちゃんと覚えられてよかったです。
特にリンリンちゃんが心配でしたがいらない問題でした。フィジカルに関係したことは非常に優秀で、キレッキレの踊りを体に染み込ませたようです。
「うおぉぉぉ! なんだかテンションが上がったまま戻らないぜぇ!」
「ちょっと静かにしでなさいなッ」
「おぐっ!?」
リンリンちゃんは動画撮影から続く情熱を、ウコちゃんの太い指による強烈なデコピンで止められてしまいました。痛そうです。
決して2人の関係は悪いわけではないのですが、ベルちゃん曰く――「同族としてのライバル心みたいなのがあるんでしょうね」とのことです。
そうした良くわからなシンパシーはさておいて、動画の結果が出るのは何日か後のことでしょう。大勢の方に見てもらえるか、良い評価がもらえるか。悪口などコメントされていたらと思うと不安で仕方ありません。
「大丈夫です?」
暗い気持ちを押し殺すため、私は吹き飛ばされたリンリンちゃんを助け起こしました。
「たたた……。それで、どれぐらい見てもらえたんだ?」
リンリンちゃんはすぐさま復活して、即行で動画を確認しようするのです。なんと頑丈な体なんでしょうか。
「投稿してから十分かそれくらいですから、まだ全然、視聴なんてしてもらえていませんよ」
「初動も大事だからねぇ。ちょっとだけ」
急くリンリンちゃんを、気になる気持ちを抑えて私は苦笑を浮かべていさめました。ただ、やはりベルちゃんも確認したかったのか携帯電話の操作を始めてしまいます。
ただ、そろそろ投稿した動画にたどり着くはずですが、何やら難しい顔をしています。
「……」
「どうかしましたか?」
「いえ、その」
私が尋ねると、ベルちゃんは言い淀んで携帯電話とを見比べました。まさか、何か悪口が書き込まれていたりしたのでしょうか?
「消しちゃった」
「へ?」「なッ?」「モッ!?」
そして、次にベルちゃんの発した言葉に皆の目が点になりました。
私は、理解が及ばず大した反応はしていないと思いますが。
「ごめんなさい。操作を間違えて消しちゃったみたい」
「なんで……。いやいや、そうそう簡単に消せるようなシステムじゃないでじょッ?」
「消しちゃったものは消しちゃったものよ。私の妖力が働いちゃったのかしら……?」
何やら事故で動画を削除してしまったようでした。
「な、な……」
リンリンちゃんなんて、ショックでものが言えなくなってしまっています。
しかし、やってしまったものは仕方ありませんと言いつつ、心の片隅ではどこか安心している私がいたりしました。
「可愛いとか、美人とか、見えとか、人気過ぎなのよ……。リンリンはだめ。絶対に……」
何やらベルちゃんはブツブツと言っていましたが、動画撮影作戦は失敗に終わりましたとさ。
「じゃあ、私は撮影ずるわ」
「ありがとうございます」
ウコちゃんが名乗り出てくれました。
私達はというと、どんな動画を撮影するか、はたまた何ができるかを話し合います。
「でも、私達でできることってなんでしょう? 言い出しといてなんですが」
「ただの中学生だからなぁ」
「妖だからって特別なことができるわけでも、全部許されてるわけでもないしね」
リンリンちゃんやベルちゃんが言った通り、私達だって日本社会のルールに従って生きています。いかに妖力があろうとも、中学生以上の権限はありませんし妖用の法律もあります。
それらに反せず大勢の方に伝えられる方法というのは多くありません。
しかし、厳しい条件の中で道を示してくれるのはさすがベルちゃんでしょうか。
「あー、2人とも覚えてる? 小学校のとき、最後にやったダンス」
「えーと、卒業式に返礼でやったやつだよね?」
ベルちゃんが提案したのは、小学校の最後で各学年の出し物に対して卒業生である私達がやった踊りのことです。
「覚えてる、覚えてる。体に染み付いてるのか、今でも踊れるぜ」
リンリンちゃん同様に、あれからまだ3ヶ月くらいなので怪しいとは言え覚えていました。
「一応振り付けを全部マネしちゃダメでしょうし、大勢でやらないと駄目なところとかを若干変えましょう」
そこからは、3人と時々ウコちゃんが混じってダンスの振り付けを考え直しました。その日は気づけば強制下校の時間となっており、練習と撮影は翌日になりました。
こうして踊りを『TickTock』にあげたのが、つい先程までの流れです。
「ふぅ、なんとか大きな失敗もなくいけましたね」
「そうね。存外できるものだわ」
一応のところ念の為に制服から着替えた私服を汗で汚し、私達は一息つき終えました。ビショビショになってしまいましたね。
でも本来の振り付けから変えた部分ですが、私とて先生への余計なお世話を除いて練習時間が少なかった中、ちゃんと覚えられてよかったです。
特にリンリンちゃんが心配でしたがいらない問題でした。フィジカルに関係したことは非常に優秀で、キレッキレの踊りを体に染み込ませたようです。
「うおぉぉぉ! なんだかテンションが上がったまま戻らないぜぇ!」
「ちょっと静かにしでなさいなッ」
「おぐっ!?」
リンリンちゃんは動画撮影から続く情熱を、ウコちゃんの太い指による強烈なデコピンで止められてしまいました。痛そうです。
決して2人の関係は悪いわけではないのですが、ベルちゃん曰く――「同族としてのライバル心みたいなのがあるんでしょうね」とのことです。
そうした良くわからなシンパシーはさておいて、動画の結果が出るのは何日か後のことでしょう。大勢の方に見てもらえるか、良い評価がもらえるか。悪口などコメントされていたらと思うと不安で仕方ありません。
「大丈夫です?」
暗い気持ちを押し殺すため、私は吹き飛ばされたリンリンちゃんを助け起こしました。
「たたた……。それで、どれぐらい見てもらえたんだ?」
リンリンちゃんはすぐさま復活して、即行で動画を確認しようするのです。なんと頑丈な体なんでしょうか。
「投稿してから十分かそれくらいですから、まだ全然、視聴なんてしてもらえていませんよ」
「初動も大事だからねぇ。ちょっとだけ」
急くリンリンちゃんを、気になる気持ちを抑えて私は苦笑を浮かべていさめました。ただ、やはりベルちゃんも確認したかったのか携帯電話の操作を始めてしまいます。
ただ、そろそろ投稿した動画にたどり着くはずですが、何やら難しい顔をしています。
「……」
「どうかしましたか?」
「いえ、その」
私が尋ねると、ベルちゃんは言い淀んで携帯電話とを見比べました。まさか、何か悪口が書き込まれていたりしたのでしょうか?
「消しちゃった」
「へ?」「なッ?」「モッ!?」
そして、次にベルちゃんの発した言葉に皆の目が点になりました。
私は、理解が及ばず大した反応はしていないと思いますが。
「ごめんなさい。操作を間違えて消しちゃったみたい」
「なんで……。いやいや、そうそう簡単に消せるようなシステムじゃないでじょッ?」
「消しちゃったものは消しちゃったものよ。私の妖力が働いちゃったのかしら……?」
何やら事故で動画を削除してしまったようでした。
「な、な……」
リンリンちゃんなんて、ショックでものが言えなくなってしまっています。
しかし、やってしまったものは仕方ありませんと言いつつ、心の片隅ではどこか安心している私がいたりしました。
「可愛いとか、美人とか、見えとか、人気過ぎなのよ……。リンリンはだめ。絶対に……」
何やらベルちゃんはブツブツと言っていましたが、動画撮影作戦は失敗に終わりましたとさ。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる