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閑話 ~領主様(メディルナ様)side~
はぁ~~・・・よりにもよって、ウチの若いもんがやらかしやがった・・・。
この街の一般人の出入りは規制を掛けていて中々出来ない様になっている。
まあここに住んでるやつで移動したいなんて奴が今まで居なかったので知る人ぞ知るなルールではあるのだが。
只、この街に派遣要因として来ている文官や兵士などは順繰りで交代して貰っている。家族が別の街に住んで居る奴ばかりだからだ。
でもこの元開拓地、めちゃくちゃ発展しまくったお陰で本拠地の辺境伯爵領とは比べるまでもない程住みやすく、物品も充実しているので1度でもココを訪れた奴は大抵家族を呼びたがって結局移住しちまうんだけどな。
・・・今回そんな中の兵士の1人で独身者。何回かの入れ替え時に余計な情報を仕入れて持ち込み、あろう事かこの街の大いなる貢献者たる賢者殿に喧嘩を売りやがった!
いや、別に彼に直接喧嘩を売ったって訳じゃあなかった。
この兵士の想い人が彼の方の恋人に懸想していて相手の悪評でもって貶めて諦めさせようとした、というのがこの騒動の始まりだ。
個人的な嫉妬もあったと今は本人も十分反省しているのだがこの悪評が街中に予想外に広まってしまい、賢者殿の逆鱗に触れる事となったのだ。
開拓地時にココに居た組の中には賢者殿を侮る輩は存在しないが、ココが普通と思って育ってきた者や途中から移住した者の中には賢者殿の能力に懐疑的な者も多い。
その本人も自分が何をなしてきたのかの自覚が無く言われるがままになっていて、それが余計に相手を助長させる事になっていた事も把握はしていたんだ。
只これまで大きな問題にまでは発展していなかったのであまり良くは無い流れだとは思いつつも放置してしまっていた・・・いつかは、と後回しにしていたのは俺のミスだった。
噂話自体は驚くほど早く収束した。だが今回彼が大いにへそを曲げてしまい
「お前ら許さんっ!」
と今までは彼の好意でこの街限定で発生していなかった特許の使用料が発生。彼のレシピを使用する際は申請及びお金も払わなければならなくなった。(まあこれは今までが異常で普通は払わないといけないものだったんだけどな)
また、今後は新しいレシピも登録しないと言われてしまった・・・レシピを秘匿するのは別に悪い事じゃあ無い。実際黒い砂糖は秘匿されて高値で売られていた訳だし。
だが、彼のレシピはかなり特殊な物が多くて国も彼の動向を気にするほどの物を生み出す人物なのだ・・・
後で後でと放置してしまっていたツケが今ココで如実に回ってきてしまった・・・。
早々に今回やらかしてしまった人たちを集めて現状の話をする。件の兵士は既に処分済み・・・と言っても元の領地に戻しただけだがもうココには2度と戻って来れない。
後辺境伯当主である兄がどう処分するかだが・・・まあもう元の雇い主に丸投げしたんでオレは知らん!私利私欲で本来守るべき民を貶めているので生半可な処罰は受けないだろうとだけ言っておこう。
で、噂に踊らされて彼らに突撃して行ったこいつらだが・・・噂に踊らされたって奴と元々2人のどちらかを憎々しく思っていて攻撃したってやつとの判別が難しいんだよなぁ・・・。
特に賢者殿からの恩恵を理解してない奴らからのヘイト値が高いのが問題なんだよな。
兄と話した結果不穏分子はいっその事別の開拓地へ居を移させるという案が出た、というかほぼそれで決まりだ。
以前から
「もう神童は卒業~、情報は出し尽くしちゃいました~~」
とか嘆いていたのに親の・・・多分元傭兵だったという父親の入れ知恵か、実はダークホース的な情報が秘匿されていた事が発覚したのだ。
彼の父親曰く
「切り札は1つか2つ、持っておくものだろう?」
にやり。
との事。
・・・流石は親子・・・そっくりである。
そりゃあそんなの持てるなら持っていた方が良いに決まっているが、普通は切り札なんてもの持って無い人の方が大半なんだがなぁ~・・・。
で、その切り札ってのがマジで切り札だった訳で。
・・・塩と言ったら岩塩ってのがこの世界の常識だ。
だが賢者殿はまさかの海水から塩を生成出来るらしいのだ。
・・・何処が出涸らしなんだって!?
とつっこみたい気持ちでいっぱいである。
人間には必ず塩が必要不可欠だが、岩塩が採れる場所は限定的で見つけるのも困難。
かと言って育てるなんて事は出来ないし希少では無いものの値段もそれなりに高く、買ったものには混ぜ物(大抵砂)で嵩増しが普通の代物である。
だがもし海水で生成が可能であるのならば、それこそ世界の常識が書き換えられるほどの革命的発見であると言える情報である。
彼がチート魔法と呼んでいるあれは本人が思うほど万能では無い。
1度、実際に出来るところを見ていないと使えないので海水から塩が出来るという情報だけで塩を精製なんて出来ないのだ・・・実際物は試しとやってみたが塩モドキが出来た・・・めちゃくちゃ苦くてエグみのある物体だった・・・。
それに仮に魔法が出来たとしても彼には到底叶わないのを蔑んで他奴らは理解できて無い。
例えばこの街の基礎となっている彼が上下水道と呼ぶもの。この街の基礎部分を作る際、彼に習って配管と呼ばれる水を通す道具は皆で協力して作成をしたのだが俺らは必要な道具を作り彼に言われるままその指示で順次配管を組み合わせて土に埋めていっただけである。
故に上下水道がどういったものかは朧気ながらには理解できているが、どうやってそれらを配置したら使えるかなどの知識が皆無で再現は不可能であると断言出来る。
・・・移動する予定の者たちの中に、この事を理解できている者はいないんだろう。特に文句も抵抗する者も出ずに移動はすんなり完了したのだから。
・・・まあ今回やらかした奴らには新天地にて如何に自分達が無力で考えなしだったかを反省して貰って(反省した所で帰って来れないんだが)後悔しながら生活していけば良いんじゃないかと思っている。
いらん苦労を掛けやがって・・・オレこそ絶対許さんわ!
今は如何に賢者殿に機嫌を直して頂くかの協議で国と兄に睨まれながら連日頭を悩ませる毎日だ。
・・・強者からの催促に心労で禿げそうである今日この頃。(吐血)
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