「怪」談巷説

藍玉

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みおと幽霊

2話 女

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大学の入学式が終わってまもなく、私はラクロスサークルに入った。
やったことなんて一度もない。
ルールすら知らない。
なのに何故かって?正直に言う。
新歓コンパのノリだ。
熱心に誘ってきた2年の先輩がイケメンだったし。しかもなんと、その先輩と早々に付き合うことになった。

時は流れその三ヵ月後、二股をかけられていると判明した。相手の女は4年生。

「3つ上の先輩?関係ねぇ」
と真っ向勝負。切った張ったの大騒ぎ。「痴情のもつれ」なんて一言で言い表したくない程苛烈を極めた。

結果、私は三ヵ月という短い期間に彼氏とサークル活動を失う事になった。

「何が、オレお前がいないとダメだ...だ!きっしょい事ぬかしてんじゃねぇ!!頭ん中どうなってんだ!?ふざけんなゴルァ!!」

「落ち着けよ。わかったから」
コイツは時同じくしてサークルに参加した同級生のはやて。クセが無くて話しやすかったから仲良くなった。断じて言うが、お互いに恋愛感情はない。
まぁ、キレイな顔してるけどね。

胸に溜まったムカムカを吐き出したくて無理矢理アパートに押しかけた。

「ゴタゴタの最中も、ナヨナヨネチネチしてたんだ!なんであんなヤツ好きになっちゃったんだろ」

「オレもあのセンパイ好きじゃない。もう忘れろよ。まだまだ大学生活は長いよ?次がある、次が」

「....腹立つ」

「気持ちはわかるけどさ...てか、明日9時からバイトなんすよね、オレ」
なんだと?

「もう帰れってか!」

「そうは言ってない」
言いながら洗濯機から洗い物を取り出し始める。

「そういうことでしょーよ!」

「だから、そうは言ってない」
カーテンを引き、掃き出し窓を開ける。洗濯物をパンパンしだす。

「干してんじゃねぇよ」

「みお、どうやって来た?」
急に小声で言ってくる。

「ん?歩いてきたけど?」

「そう。そのまま座ってろ。絶対立つな」
え?

洗濯物を干し終えると、窓をしめてカーテンをキッチリ引く。

「なに?なによ」

「んー...。トイレにさ、小窓あるから。外の電柱見てみ」
トイレにあるルーバー窓に招かれる。
少し空いている。電気はつけない。

窓の両側にお互い立つ。
銃撃戦の合間に相手の様子を伺う、映画の様なあの動きで窓を覗き込む。

アパート下の電柱。人影がある。
こちらをじっと見て突っ立っている。


「あの先輩だよな。参った」

「うそ...」

「あんなところに一人で...もう立派なストーカーだな。エントランスはオートロックだから、入って来れないと思うけど...」

「なんなのよ」

「悪かった。いなくなるまで居ていいよ」

「なによあれ」

「悪かったって!」


はやてには見えていないみたい。

あの先輩の後ろ、

二回りはデカい女が立っている。











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