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第1章 勇者の集結
4 旅は道連れ、世は情け
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「昨夜はお楽しみでしたね♪」
朝っぱらからアリーナ王女は何をとばしていただいてるんですか!!!
お楽しみ…明日香がめっちゃかわいかったのは認めますが、楽しむどころじゃなかったですよ!
一緒の部屋とはいえ、最初は離れたツインベッドのはずが、寝る時間にはいつの間にかくっついて、ダブルベッドになっているし!!
仕方なく、隣に寝ていたら、明日香に『異世界に来て魔王を何とかしなくてはいけないとか考えると、不安で眠れない』とか言われて、手を握ってこられたりしたら、どう対応しろというの?!
目がさえてほとんど眠れなかったし!
朝食時に俺が寝不足気味で、明日香が元気のいい『つやつやした笑顔』なものだから、完全に誤解されているよね?!
残念ながら何にもしてません!!
「では、旅の支度はできたので、簡単な行動方針を決めていきましょう。」
チームの頭脳である、魔道勇者の明日香が進行役で、出発前の方針を確認することになった。
「魔族というのは力を信奉する集団だと聞いている。トップを倒せば、自然と彼らの侵攻は止まるはず。魔王城へ突貫して、とっとと魔王を仕留めてしまいましょう!」
ライピョンさん!一理ある意見ではありますが、いきなり魔王城へ突撃するRPGなんて聞いたことがないんだけど…。
「普通なら、いきなり魔王城突撃とかありえないところですが、ライピョン様も明日香さまも常識外れに強いですからね。いっちゃってかまわないのではないでしょうか?」
宮廷魔術師のイワノフ師もいきなり突撃作戦に同意している。
「お二人のおっしゃるように魔王城へ突貫しているうちに、敵が阻止しようと動いてくるでしょう。そいつらから魔王城の情報を得て、可能ならば『魔王城ごと吹き飛ばせば』簡単に解決しそうですね。」
明日香!なにとんでもないこと言いだしているの?!!
……昨日使ったのは第三と第五階梯魔法だよね…。ということはもっともっと強力な魔法を使えるということでしょうか?明日香さん?!!
「なるほど、昨日使われていたのはあくまで第三と第五階梯魔法ですよね。でしたら、魔王城ごと破壊できるもっと強力な魔法もお使いになれるということですね♪」
イワノフ師?!めちゃめちゃ嬉しそうなんだけど?!!
そんな危険なことを喜んでいいの?!!
「えええ??魔王城を確実に破壊できるとは限りませんから、あまり期待しないで下さい。あくまで、可能性の問題と、魔王が強力に抵抗してきた場合だけですから。」
「まあ、状態次第では魔王城ごと破壊できるくらいすごい魔法をお使いになれるというだけでも非常に心強いです。
いやあ、タツは本当に有能で可愛らしい幼馴染のお嬢さんがおられるのだよね。
本当にうらやましい!」
ライピョンさん!話題をそちらに戻さないで下さい!!
「あの、ライピョンさん?やけに幼馴染にこだわっておられるようですが?」
アリーナ王女が不思議そうに問いかける。
言われてみれば、やたら幼馴染を連呼されているよね…。
「ふ、私情を挟んでしまいました。実は私にもとても可愛らしい幼馴染がいたのですが、つい先日振られてしまいましてね。親友となったタツに私の二の舞を踏んでもらいたくないと気にしてしまったのです。」
その思いやりは嬉しいのだけれど、俺たちはまだ両想いではないから!!そうなればうれし…いやいや何を思っている!俺!!
「その幼馴染さんはどんな方なのでしょうか?」
明日香がものすごく真剣そうに聞いている。
えっと、ライピョンさんを気遣ってのことだよね…。俺たちのことを思ってではないよね…?
「ふ、恥ずかしながら、魔道写真を未だにもっているのですよ。そろそろけじめをつけなければいけないのですが…。」
ライピョンさんが懐から…懐ってどこだろう…取り出した魔道写真を見て、全員固まった。
とっても可愛らしいウサギさん、そう『愛玩動物的な意味』で可愛らしいウサギさんの写真がそこにあったのだ。
「小さなことはとても仲が良くて、よく『大きくなったらお嫁さんになってあげる』と言ってくれていたのですよ。
しかし、私が召喚獣として活躍しだして少し経ったときのこと、私は召喚者を守ることができず、親友に酷いけがを負わせてしまったことがあるのです。
彼は死にはしなかったものの、冒険者としては致命的な怪我だったため、引退を余儀なくされたのです。
そして、彼はそのことで私を責めることは決してありませんでした。
しかし!私は悔しかった!大切な友達を引退に追い込んだ私自身の強さがとても悲しかった。
そこで私は鍛えました。鍛えて鍛えて鍛えまくりました。
山奥にこもり、武道の師匠に就き、徹底的におのれを高めようとしました。
結果、今の私は少々の魔獣相手なら全く引けを取らなくなることが出来ました。
しかし、一方で悲しいこともありました。
幼馴染のピョン子が鍛え上げた私を見て、言ったのです!
『あなたはあまりにも変わりすぎました。私とは住む世界が違います!
私はあなたと添い遂げることはできません!』
泣きながら彼女は走り去っていきました。
私は厳しい特訓に耐え、望んだ強さを得ることが出来ました。
しかし、彼女の心は失ってしまったのです。
わが友タツには絶対にこんな悲しい思いはして欲しくないのです。」
「そうだったの…。ライピョンさん。そんな悲しいことがおありだったのですね。」
「ありがとう、ライピョンさん。お兄ちゃんを気遣ってくれて。大丈夫、どんなになってもお兄ちゃんはお兄ちゃんだから♪」
アリーナ王女!明日香!君ら何を言ってんの?!!
それから、『あなたは変わりすぎてしまった』て、もう『完全に別生物』だよね?!!
ウサギの召喚獣というより、ウサギ風の細マッチョイケメンだよね?!!
「あら?ちょうど神託が降りてきました!
なになに…『適当に魔王城に向けて旅立てば何とかなる。
行き当たりバッチリ、お先マックスだ!』
だそうです。」
なに、その神託?!!神様、真面目にやってもらってる?!!
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
そして俺たちは馬上の人となった。
明日香が魔法で召喚した精霊馬に乗って魔王城の方角に向かって、街道を走っているのだ。
「明日香殿、さすがですね。大魔法使いの魔法はそんな風にも使えるのですね。」
ライピョンさんが明日香が自分の眼前に魔法で現出させている『ナビゲーションシステム』に賞賛の言葉を送っている。
なんと、ナビゲーションシステムに『魔王城』と入力すると、魔法で自動的に最短ルートを常時検出し、音声で導いてくれるという優れものだ。
どれだけチートなんだろうか?
「ところで、明日香殿。昨日は飛行の魔法を使われたと伺っているが、今回は馬での旅を選択されているわけだ。なぜ三人で飛んで魔王城に向かわれないのかを説明していだだケルトありがたいのだが。」
ふむふむ、言われてみればライピョンさんの言うことも一理あるよね。
確かに気になるところだ。
「ええ、おっしゃることはわかります。確かに魔王を倒すだけでしたら、それが一番早いでしょう。ですが、どうも魔王を倒せば終わり…というものではないような『予感』がするのです。何しろ情報が少なすぎますし。ですから、旅をしながら住民や襲ってくる魔族からの情報収集も大切だと考えております。」
「なるほど、『わざと襲わせる』ことも作戦のうちなのですね。」
「ええ。ライピョンさん、よくお分かりで。そしてお兄ちゃんのために『経験を稼ぐ』ことも作戦のうちなのです。
そして、いざとなったら魔王城に『小惑星を落とせば』あの程度の構造物を破壊することは造作ないと思いますから♪」
明日香!!何をトンデモ発言しているの?!!
小惑星なら確かに防御は不可能かもしれないけど、魔王城どころか、魔国自体が壊滅しちゃうよね?!!そして、大量のちりを大気圏に巻き上げてこの星が氷河期になっちゃって『恐竜の隕石による絶滅』ならぬ、『小惑星激突による人類の絶滅』を実行しちゃいかねないよね?!!
「あら、お兄ちゃん。この前一緒に勉強した『地学の恐竜絶滅の経緯』を思い出しているのかしら?大丈夫。あくまで最終手段だから。多分『脅しの手段』としてしか使わないと思うし♪」
明日香がさらにとんでもないことを口にしているよ?!!お兄ちゃん、明日香をそんな不良に育てた覚えはないんだけど?!!
そんなことを言いながら馬を進めていると、不意に明日香とライピョンさんが馬を止めた。
そして、二人の顔が急に厳しくなっている。これはもしかして?!!
「敵対反応多数接近です。地点誘導ナビモードから、戦闘支援ナビモードに切り替えます。」
えええ?!明日香のナビってそんな機能も付いてるんだ!
「ちょうどいいから、森を抜けてしまいましょう。平原の方が見通しが良くて、魔法も当て放題になるしね♪」
明日香さん…。こちらの世界に来てからご発言がやたら好戦的に聞こえるのですが…。
数分後、俺たちの目の前にものすごい数の黒ずくめの集団が姿を現した。
「はっはっはっは!!たった三人で、我ら魔王軍に逆らおうというのか?!今までやられた連中とは違うぞ!我は魔王軍六魔将が一、獣魔将ライガー旗下三銃士の一人、ドラゴファイターだ!貴様らはわが槍の錆にしてくれるわ!!」
見ているだけで震えがくるような凶悪なオーラを纏った身長が軽く三メートルを超す、半竜の巨人が雄たけびを上げている。
ドラゴファイターの後ろには同じく半竜の兵士たちが全身鎧と巨大な槍や両手剣を持って、身構えている。どいつもこいつも凶悪な殺気をまき散らしている。
「そして、我は同じく獣魔将ライガー旗下三銃士の一人、シオマネキングだ!貴様らはわがはさみで全員ぶったぎってくれる!!」
三メートルを超す全身に甲羅を纏い、巨大な蟹ばさみを持った怪人が名乗りを上げた。
ほとんど◎面ライダーの怪人さんかと勘違いしそうな外見だ。
こいつの後ろにも蟹風の戦士たちがものすごい数で迫ってきている。
普通の軍隊なら見ただけで戦意喪失しそうな怖さだ。
「確かに数は多いようだが、正義の前には敵ではない!明日香殿行くぞ!」
「了解、ライピョンさん!私が魔法で敵をかく乱するから、近づいてくる連中を仕留めて下さる?!」
「心得た!!」
「では、い出よ!極大氷結球!!!」
明日香が呪文を唱えると、いくつもの雪玉が生まれ、大きくなりながら敵軍に向かって転がっていった。
「ふん!そんなものが我らに……はあああああ???!!!」
見る間に巨大になっていく雪玉は竜人や蟹人達をドンドン飲み込んで、そのまま猛スピードで転がっていく!
雪玉が転がっていった後には兵士の姿がぽっかりと消えていた。
「雷撃百裂掌!!!」
自軍をあっという間に半壊させた雪玉を見て凍り付いていた兵士たちをライピョンさんは次々となぎ倒していった。
ライピョンさんの拳が近づくたびに竜の兵士も蟹の兵士もどんどん吹き飛んでいく。
「おのれ!!竜がウサギに負けるとでも思ったか?!!!ドラゴファイアー!!」
ドラゴファイターが口から灼熱の閃光を放つ。
あっという間にライピョンさんはその光に飲み込まれてしまう!!
「ライピョンさん?!!」
俺が思わず悲鳴をあげ、ドラゴファイターが笑い声をあげた次の瞬間、光が消えた後に涼しい顔のライピョンさんが立っていた。
「ふ、私の熱いハートの作りだす雷撃バリアーはそんなちんけな攻撃では打ち破ることなどできん!!では、今度はこちらから行くぞ!!
雷撃爆裂拳!!」
ライピョンさんはドラゴファイターに突っこんでいくと怒号の拳撃ラッシュを喰らわせた。
ドラゴファイターは黒こげになって吹っ飛んでいき、そのまま動かなくなった。
「次は私の番ね!第六階梯魔法『蟹蒸し』!!」
ええええ????!!!なに、その『蟹を蒸すの限定』のような魔法は??!!
え?シオマネキングの足元が割れて、そのまま地中から出てきた『巨大な蒸し器』にシオマネキングが取り込まれちゃったよ!!!
しばらく悲鳴が聞こえた後、しゅんしゅんと蒸し上がるような音と、『すごくおいしそうな香り』が漂ってきてるんだけど!!
「どうやら、蒸し上がったようね。」
「さすがは明日香殿!料理の腕まで素晴らしいとは!!」
ねえ、どうして会話がそっち方向になっているの?!!
それから敵兵が一人残らずいなくなっているよ!!!
情報収集はどうなったの?!!!
パッパカパッパッパー♪♪
ライピョンさんが蒸し器の蓋を開けようとした時、またもや謎の効果音が響いた。
「おめでとうございます!!達則さんはレベルアップしました!今回は乗馬系ケインもありますので、ようやく待望の身体系の能力も上がっています!加えて精神力、判断力と、召喚ポイントが向上しています。
次回からはもうちょっとは戦闘にも貢献したいですよね。」
うるせえ!!こっちも気にしてるんだけど、ライピョンさんと明日香がチート過ぎて俺と差がありすぎるの!!
「お兄ちゃん!!レベルが二二から三五レベルにアップしてるよ!!今回も敵の数が多かったからレベルアップがすごいよ!
召喚ポイントも一六〇〇ポイントだよ。これで『癒しの勇者』が召喚…あれ、『癒しの勇者』の召喚ポイントが一四〇〇ポイントから八〇〇ポイントに減っているよ?!
どうして減っているのか……なんとなく想像がつくけど、とりあえずありがたいよね。」
「うん、明日香殿の言う通り、『癒しの勇者』の召喚ポイントが減る理由に私も心当たりがあるんだが…。」
「奇遇だね。俺も心当たりがあるんだ…。」
そして、俺は癒しの勇者のことを考えて心の中で『召喚』と叫ぶ。
「あら?!旅に出られたはずなのに、どうして皆様ここにおられるのです?!!
…え?ここはいったいどちらでしょうか?」
そこには召喚されて戸惑うアリーナ王女の姿があった。
「…え?もしかして『癒しの勇者』は私だったのですか?!!!
……ところで、なんだかすごくおいしそうな香りがするのですが…。」
まもなく、俺を除く三人で『蟹蒸し食べ放題』が始まった。
ねえ、君たち!!どうして魔王軍幹部を平気でお昼ご飯にできるの?!!!
お兄ちゃん、明日香をそんな風に育てた覚えはないんだけど!!!
朝っぱらからアリーナ王女は何をとばしていただいてるんですか!!!
お楽しみ…明日香がめっちゃかわいかったのは認めますが、楽しむどころじゃなかったですよ!
一緒の部屋とはいえ、最初は離れたツインベッドのはずが、寝る時間にはいつの間にかくっついて、ダブルベッドになっているし!!
仕方なく、隣に寝ていたら、明日香に『異世界に来て魔王を何とかしなくてはいけないとか考えると、不安で眠れない』とか言われて、手を握ってこられたりしたら、どう対応しろというの?!
目がさえてほとんど眠れなかったし!
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残念ながら何にもしてません!!
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ライピョンさん!一理ある意見ではありますが、いきなり魔王城へ突撃するRPGなんて聞いたことがないんだけど…。
「普通なら、いきなり魔王城突撃とかありえないところですが、ライピョン様も明日香さまも常識外れに強いですからね。いっちゃってかまわないのではないでしょうか?」
宮廷魔術師のイワノフ師もいきなり突撃作戦に同意している。
「お二人のおっしゃるように魔王城へ突貫しているうちに、敵が阻止しようと動いてくるでしょう。そいつらから魔王城の情報を得て、可能ならば『魔王城ごと吹き飛ばせば』簡単に解決しそうですね。」
明日香!なにとんでもないこと言いだしているの?!!
……昨日使ったのは第三と第五階梯魔法だよね…。ということはもっともっと強力な魔法を使えるということでしょうか?明日香さん?!!
「なるほど、昨日使われていたのはあくまで第三と第五階梯魔法ですよね。でしたら、魔王城ごと破壊できるもっと強力な魔法もお使いになれるということですね♪」
イワノフ師?!めちゃめちゃ嬉しそうなんだけど?!!
そんな危険なことを喜んでいいの?!!
「えええ??魔王城を確実に破壊できるとは限りませんから、あまり期待しないで下さい。あくまで、可能性の問題と、魔王が強力に抵抗してきた場合だけですから。」
「まあ、状態次第では魔王城ごと破壊できるくらいすごい魔法をお使いになれるというだけでも非常に心強いです。
いやあ、タツは本当に有能で可愛らしい幼馴染のお嬢さんがおられるのだよね。
本当にうらやましい!」
ライピョンさん!話題をそちらに戻さないで下さい!!
「あの、ライピョンさん?やけに幼馴染にこだわっておられるようですが?」
アリーナ王女が不思議そうに問いかける。
言われてみれば、やたら幼馴染を連呼されているよね…。
「ふ、私情を挟んでしまいました。実は私にもとても可愛らしい幼馴染がいたのですが、つい先日振られてしまいましてね。親友となったタツに私の二の舞を踏んでもらいたくないと気にしてしまったのです。」
その思いやりは嬉しいのだけれど、俺たちはまだ両想いではないから!!そうなればうれし…いやいや何を思っている!俺!!
「その幼馴染さんはどんな方なのでしょうか?」
明日香がものすごく真剣そうに聞いている。
えっと、ライピョンさんを気遣ってのことだよね…。俺たちのことを思ってではないよね…?
「ふ、恥ずかしながら、魔道写真を未だにもっているのですよ。そろそろけじめをつけなければいけないのですが…。」
ライピョンさんが懐から…懐ってどこだろう…取り出した魔道写真を見て、全員固まった。
とっても可愛らしいウサギさん、そう『愛玩動物的な意味』で可愛らしいウサギさんの写真がそこにあったのだ。
「小さなことはとても仲が良くて、よく『大きくなったらお嫁さんになってあげる』と言ってくれていたのですよ。
しかし、私が召喚獣として活躍しだして少し経ったときのこと、私は召喚者を守ることができず、親友に酷いけがを負わせてしまったことがあるのです。
彼は死にはしなかったものの、冒険者としては致命的な怪我だったため、引退を余儀なくされたのです。
そして、彼はそのことで私を責めることは決してありませんでした。
しかし!私は悔しかった!大切な友達を引退に追い込んだ私自身の強さがとても悲しかった。
そこで私は鍛えました。鍛えて鍛えて鍛えまくりました。
山奥にこもり、武道の師匠に就き、徹底的におのれを高めようとしました。
結果、今の私は少々の魔獣相手なら全く引けを取らなくなることが出来ました。
しかし、一方で悲しいこともありました。
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『あなたはあまりにも変わりすぎました。私とは住む世界が違います!
私はあなたと添い遂げることはできません!』
泣きながら彼女は走り去っていきました。
私は厳しい特訓に耐え、望んだ強さを得ることが出来ました。
しかし、彼女の心は失ってしまったのです。
わが友タツには絶対にこんな悲しい思いはして欲しくないのです。」
「そうだったの…。ライピョンさん。そんな悲しいことがおありだったのですね。」
「ありがとう、ライピョンさん。お兄ちゃんを気遣ってくれて。大丈夫、どんなになってもお兄ちゃんはお兄ちゃんだから♪」
アリーナ王女!明日香!君ら何を言ってんの?!!
それから、『あなたは変わりすぎてしまった』て、もう『完全に別生物』だよね?!!
ウサギの召喚獣というより、ウサギ風の細マッチョイケメンだよね?!!
「あら?ちょうど神託が降りてきました!
なになに…『適当に魔王城に向けて旅立てば何とかなる。
行き当たりバッチリ、お先マックスだ!』
だそうです。」
なに、その神託?!!神様、真面目にやってもらってる?!!
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
そして俺たちは馬上の人となった。
明日香が魔法で召喚した精霊馬に乗って魔王城の方角に向かって、街道を走っているのだ。
「明日香殿、さすがですね。大魔法使いの魔法はそんな風にも使えるのですね。」
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どれだけチートなんだろうか?
「ところで、明日香殿。昨日は飛行の魔法を使われたと伺っているが、今回は馬での旅を選択されているわけだ。なぜ三人で飛んで魔王城に向かわれないのかを説明していだだケルトありがたいのだが。」
ふむふむ、言われてみればライピョンさんの言うことも一理あるよね。
確かに気になるところだ。
「ええ、おっしゃることはわかります。確かに魔王を倒すだけでしたら、それが一番早いでしょう。ですが、どうも魔王を倒せば終わり…というものではないような『予感』がするのです。何しろ情報が少なすぎますし。ですから、旅をしながら住民や襲ってくる魔族からの情報収集も大切だと考えております。」
「なるほど、『わざと襲わせる』ことも作戦のうちなのですね。」
「ええ。ライピョンさん、よくお分かりで。そしてお兄ちゃんのために『経験を稼ぐ』ことも作戦のうちなのです。
そして、いざとなったら魔王城に『小惑星を落とせば』あの程度の構造物を破壊することは造作ないと思いますから♪」
明日香!!何をトンデモ発言しているの?!!
小惑星なら確かに防御は不可能かもしれないけど、魔王城どころか、魔国自体が壊滅しちゃうよね?!!そして、大量のちりを大気圏に巻き上げてこの星が氷河期になっちゃって『恐竜の隕石による絶滅』ならぬ、『小惑星激突による人類の絶滅』を実行しちゃいかねないよね?!!
「あら、お兄ちゃん。この前一緒に勉強した『地学の恐竜絶滅の経緯』を思い出しているのかしら?大丈夫。あくまで最終手段だから。多分『脅しの手段』としてしか使わないと思うし♪」
明日香がさらにとんでもないことを口にしているよ?!!お兄ちゃん、明日香をそんな不良に育てた覚えはないんだけど?!!
そんなことを言いながら馬を進めていると、不意に明日香とライピョンさんが馬を止めた。
そして、二人の顔が急に厳しくなっている。これはもしかして?!!
「敵対反応多数接近です。地点誘導ナビモードから、戦闘支援ナビモードに切り替えます。」
えええ?!明日香のナビってそんな機能も付いてるんだ!
「ちょうどいいから、森を抜けてしまいましょう。平原の方が見通しが良くて、魔法も当て放題になるしね♪」
明日香さん…。こちらの世界に来てからご発言がやたら好戦的に聞こえるのですが…。
数分後、俺たちの目の前にものすごい数の黒ずくめの集団が姿を現した。
「はっはっはっは!!たった三人で、我ら魔王軍に逆らおうというのか?!今までやられた連中とは違うぞ!我は魔王軍六魔将が一、獣魔将ライガー旗下三銃士の一人、ドラゴファイターだ!貴様らはわが槍の錆にしてくれるわ!!」
見ているだけで震えがくるような凶悪なオーラを纏った身長が軽く三メートルを超す、半竜の巨人が雄たけびを上げている。
ドラゴファイターの後ろには同じく半竜の兵士たちが全身鎧と巨大な槍や両手剣を持って、身構えている。どいつもこいつも凶悪な殺気をまき散らしている。
「そして、我は同じく獣魔将ライガー旗下三銃士の一人、シオマネキングだ!貴様らはわがはさみで全員ぶったぎってくれる!!」
三メートルを超す全身に甲羅を纏い、巨大な蟹ばさみを持った怪人が名乗りを上げた。
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こいつの後ろにも蟹風の戦士たちがものすごい数で迫ってきている。
普通の軍隊なら見ただけで戦意喪失しそうな怖さだ。
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「了解、ライピョンさん!私が魔法で敵をかく乱するから、近づいてくる連中を仕留めて下さる?!」
「心得た!!」
「では、い出よ!極大氷結球!!!」
明日香が呪文を唱えると、いくつもの雪玉が生まれ、大きくなりながら敵軍に向かって転がっていった。
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見る間に巨大になっていく雪玉は竜人や蟹人達をドンドン飲み込んで、そのまま猛スピードで転がっていく!
雪玉が転がっていった後には兵士の姿がぽっかりと消えていた。
「雷撃百裂掌!!!」
自軍をあっという間に半壊させた雪玉を見て凍り付いていた兵士たちをライピョンさんは次々となぎ倒していった。
ライピョンさんの拳が近づくたびに竜の兵士も蟹の兵士もどんどん吹き飛んでいく。
「おのれ!!竜がウサギに負けるとでも思ったか?!!!ドラゴファイアー!!」
ドラゴファイターが口から灼熱の閃光を放つ。
あっという間にライピョンさんはその光に飲み込まれてしまう!!
「ライピョンさん?!!」
俺が思わず悲鳴をあげ、ドラゴファイターが笑い声をあげた次の瞬間、光が消えた後に涼しい顔のライピョンさんが立っていた。
「ふ、私の熱いハートの作りだす雷撃バリアーはそんなちんけな攻撃では打ち破ることなどできん!!では、今度はこちらから行くぞ!!
雷撃爆裂拳!!」
ライピョンさんはドラゴファイターに突っこんでいくと怒号の拳撃ラッシュを喰らわせた。
ドラゴファイターは黒こげになって吹っ飛んでいき、そのまま動かなくなった。
「次は私の番ね!第六階梯魔法『蟹蒸し』!!」
ええええ????!!!なに、その『蟹を蒸すの限定』のような魔法は??!!
え?シオマネキングの足元が割れて、そのまま地中から出てきた『巨大な蒸し器』にシオマネキングが取り込まれちゃったよ!!!
しばらく悲鳴が聞こえた後、しゅんしゅんと蒸し上がるような音と、『すごくおいしそうな香り』が漂ってきてるんだけど!!
「どうやら、蒸し上がったようね。」
「さすがは明日香殿!料理の腕まで素晴らしいとは!!」
ねえ、どうして会話がそっち方向になっているの?!!
それから敵兵が一人残らずいなくなっているよ!!!
情報収集はどうなったの?!!!
パッパカパッパッパー♪♪
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「おめでとうございます!!達則さんはレベルアップしました!今回は乗馬系ケインもありますので、ようやく待望の身体系の能力も上がっています!加えて精神力、判断力と、召喚ポイントが向上しています。
次回からはもうちょっとは戦闘にも貢献したいですよね。」
うるせえ!!こっちも気にしてるんだけど、ライピョンさんと明日香がチート過ぎて俺と差がありすぎるの!!
「お兄ちゃん!!レベルが二二から三五レベルにアップしてるよ!!今回も敵の数が多かったからレベルアップがすごいよ!
召喚ポイントも一六〇〇ポイントだよ。これで『癒しの勇者』が召喚…あれ、『癒しの勇者』の召喚ポイントが一四〇〇ポイントから八〇〇ポイントに減っているよ?!
どうして減っているのか……なんとなく想像がつくけど、とりあえずありがたいよね。」
「うん、明日香殿の言う通り、『癒しの勇者』の召喚ポイントが減る理由に私も心当たりがあるんだが…。」
「奇遇だね。俺も心当たりがあるんだ…。」
そして、俺は癒しの勇者のことを考えて心の中で『召喚』と叫ぶ。
「あら?!旅に出られたはずなのに、どうして皆様ここにおられるのです?!!
…え?ここはいったいどちらでしょうか?」
そこには召喚されて戸惑うアリーナ王女の姿があった。
「…え?もしかして『癒しの勇者』は私だったのですか?!!!
……ところで、なんだかすごくおいしそうな香りがするのですが…。」
まもなく、俺を除く三人で『蟹蒸し食べ放題』が始まった。
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美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
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