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第1章 勇者の集結
7 領都とさらなる勇者
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翌日は時々魔獣に遭遇して、ライピョンさんが瞬殺するという順調な旅が続いた。
六魔将のライガーの軍に動きはみられない。
副将を含む軍隊が全滅したため、うかつに攻撃を仕掛けられないのではないかと推測している。
もう少し進んだらライガー領の領都に着きそうな場所で、俺たちは昼ご飯を頂くことにした。
「しかし、この豚バラ蒸し煮『チュウカ風』はおいしいな♪明日香は本当に料理上手なんだな♪」
「ええ、そうかなあ♪ありがとう♪」
エミリーも合流して、一緒に大皿料理をつついている。
…もしかしなくてもその『豚バラ蒸し煮』は昨日の『イノシシ肉』を流用しているよね?!
昼食後、再び馬での旅に戻ったが、たまに魔獣が出るくらいで極めて順調に進んでいった。
「変だな。」
「変ですね。」
「二年前にライガー領を訪れた時と明らかに森の様子が変わっている。
瘴気がずっと濃くなっている。にもかかわらず魔獣がほとんど出ないということは…。」
「領都の方から異様な気配を強く感じますね。」
ライピョンさん、明日香、エミリーさん、アリーナ王女共にどんどん顔つきが険しくなっていき、領都の全貌が見渡せる場所に付いた時には俺たちは言葉を失った。
領都は中央に高い尖閣のある城があり、高い頑丈な城壁に囲まれているのだが、その周りを囲むようにびっしりと獅子型の獣人兵士が武器を持って構えていたのだ。
問題は今までの軍と違い、そいつらほぼ全員真っ赤に光る狂気に彩られた目をしており、雰囲気からまるで知性を感じられないことだ。
「ちっ!全員に狂戦士化の魔法をかけてあるのか?!厄介なことをしてくれる!」
エミリーが彼らの様子を見て舌打ちをする。
「こんなたくさんの狂戦士どもを何とかしなくちゃならないうえに、領都やお城まで陥とさなければいけないわけ?
この様子なら『小惑星』を落として、一切合財『平地にしてしまう』というのが一番あとくされがないんじゃない?」
「明日香!待ってくれ!!兵士たちはまだしも、領都には普通の住民が住んでるんだ!!」
「そうなの?…じゃあ、仕方ないわねえ。」
危険な魔法を使いかけていた明日香はエミリーの制止になんとか思いとどまってくれたようだ。
敵軍ならまだしも、『住民を虐殺してレベルアップしました。』とかシャレにならないからね…。
「おや?まさかとは思いましたが、魔王様が我々を裏切って、勇者どもに付くとはびっくりですな?!!」
敵軍の中央から一際大きなライオンの姿の獣人の武将が隣に黒ローブの男を伴って姿を現した。
イノシシの武将よりさらに圧倒的なオーラを放っている。
「ふん、獣魔将ライガーか。お前さんの隣にいる怪しい奴は何者だ?
変な奴にそそのかされて、住民や兵士すら裏切る奴に裏切り者呼ばわりされるいわれはないな。」
エミリアはライガーの挑発に乗るどころか、冷静に返している。
「俺が兵士や住民を裏切っている?はっ!、魔族は力が全て!とある方の助力を得て、今は我が軍と俺が魔族最強だ!我が兵士や住民たちは俺が強い力で導いてやるのだ!」
エミリーの逆挑発に切れたライガーはどす黒いオーラをまき散らしながら吠える。
「へえ、借り物の力で私に勝てるつもりとは偉くなったものだな、ライガー!」
エミリーもライガーに全くひるむことなく戦闘オーラを放出して、構える。
エミリーとライガーのにらみ合いが頂点に達して双方が動き出そうとした時、明日香が魔法の詠唱をした。
「広範囲魔法、脱狂戦士!!」
明日香が魔法を唱えると同時に薄い緑色の光があたり一面に広がっていき、大きく輝いた後、光はすっと引いた。
「「なんだ、なんだ?我々は一体?!!」」
どうやら正気を取り戻したらしい兵士たちが全員戸惑っている。
「馬鹿な?!!我が洗脳魔法がこんな簡単に解けるなんて?!!」
ライガーの隣の黒ローブが思わず叫ぶ。
「皆のもの!聞いたか!獣魔将ライガーはお前たちをそこの悪魔の手先の力を借りて洗脳していたのだぞ!!!」
黒ローブの失言を捉えて、エミリーが叫ぶ。
その叫びに兵士や指揮官たちは大きく動揺する。
「ふざけるな!!俺がそんなことをしたという証拠がどこにある?!!」
慌ててライガーが叫ぶが、兵士たちの動揺は収まらない。
「広範囲魔法、脱洗脳!!」
さらに明日香が魔法を唱えると同時に薄い白銀の光が城壁の中に広がっていき、大きく輝いた後、光はすっと引いていった。
「まったくめんどくさいことさせるんじゃないわよ!街と城内の全員の洗脳を解くのにずいぶんと魔力を消耗したわ。」
ええと…消耗したと言いながら、明日香…ずいぶんと涼しい顔をしているよね?
「だまされるな!!そいつらは嘘をついているんだ!!!」
ライガーがさらに青い顔をして叫ぶ。
「いえ、我々は狂戦士化していた時の記憶がちゃんとあるのですが…。
要は、我々を洗脳して道具扱いしておられたわけですね!」
険しい顔をした将校たちがライガーと黒ローブのに詰め寄っていく。
「くそ!いったん撤退です!!」
黒ローブが魔力を放つと、ライガーと一緒に光に包まれて、そのまま姿を消した。
「ち!逃げられたか!だが、兵士たちも領民も無事でよかった。」
エミリーが少し悔しがったが、同時に安どのため息をついた。
「魔王様!!私たちを助けにお越しいただいたのですね!!」
ライガーの部下だった将校たちがエミリーの周りに集まってきた。
「う、うむ。今回は相手が悪魔だから、人族とも協力をせざるを得なかったのだ。悪魔の侵攻を止めるためにはしばし、手を結び、終わったら再び相互不干渉に戻るかどうかはその時の情勢次第ということにしたいと思う。」
アドリブらしいセリフを涼しい顔で述べていくエミリーは確かにただものではないと感じる。
パッパカパッパッパー♪♪
エミリーの指示を受け、領都の軍人たちや行政者たちがいろいろ動きだす中、またもやレベルアップの効果音が響いた。
「おめでとうございます!!達則さんはレベルアップしました!領都とお城の無血開城ですから、実は戦闘以上に難易度が高いのですよね。おかげでいろんな能力が向上しています。
それと身に付いた鑑定能力を使ってみてくださいよ。◎者の方たちも期待してますよ♪」
毎度のことながら、レベルアップの時の解説は突っ込みどころ満載だよね?!
読◎の方たちも期待…とか言っちゃダメでしょ!!
「お兄ちゃん。今度はレベルが四四から五五だから、前回以上に大きく上がっているね!
召喚ポイントも三五〇〇ポイントだよ。『殲滅の勇者』二五〇〇ポイント、『巨大勇者』が三〇〇〇ポイントだから、殲滅の勇者を呼んでみたら?」
うん、今度は殲滅の勇者の番か。
レベルアップに従って、五感や直観が鋭敏になってきているせいか、『非常に嫌な予感』がひしひしとするんだよね…。
今まで召喚した四人の勇者たち…。みんな善良ではあるんだけど、明日香以外はどこか明らかに『変』なんだよな…。(※あくまで達則視点です。)
『殲滅の勇者』という称号からしてヤバイ予感しかしないのだけれども…。
「あれ?達則様。殲滅の勇者を召喚されないのでしょうか?勇者が七人そろう必要があるのですから、遅かれ早かれ呼ばないといけないと思うのですが…。」
「確かに称号はヤバそうだけど、全員そろう必要があるんだろ。…それにしてもこれだけ全員そろわねばまずいということは魔神だか悪魔だかわからないけど、黒幕は相当ヤバイ敵なんだろうな…。」
アリーナ王女といつの間にか戻ってきていたエミリーにつつかれるようにして俺は殲滅の勇者を呼ぶことにした。
おれは中華風のキャラをイメージし、心の中で『召喚!』と叫んだ。
いつものように俺の前に光が現れ、消えた時には中華風の戦士の格好をした俺や明日香より少し年下に見える美少女がニコニコと笑っていた。
その子を見てアリーナ王女は『まあ、可愛らしい♪』と喜んでいたが、俺は思わず叫びそうになった。
『アリーナ王女!見かけに騙されるな!』と…。
俺同様正体に気付いたらしいライピョンさんと明日香は非常に厳しい表情になり、エミリーは真っ青になっている。
「俺を呼び出してくれたのはお兄さんかい♪で、誰と殺り合えばいいのかな♪」
ニコニコしながら可愛らしい声で、とんでもないことを口走っているんだけど…。
「そっちのウサギぽいお兄さんも只者ではないし、黒いお姉さんも強敵だよね…。でも、こころゆくまで殺り合えそうなのは、そこの魔法使いのお姉さんぐらいかな♪」
いやいや、この娘なに言ってんの?!!
(ほら、そこで鑑定を使ってみんなの能力を見ないと♪)
なんで、ここで例の機械的な声のお姉さんがしゃべるの?!
と言いつつ、鑑定してみると…。
アリーナ王女がレベル二四〇、ライピョンさんが六六六…て、獣の数字ですか?!!
おっとっと、エミリーさんが七八九で、明日香と中華風の女の子が***…て、数字が出ないんだけど?!!
(ああ、***と出るのは二人ともレベルが一〇〇〇を超えててバグって表示されなくなっているからだから♪)
えええ?!!俺が大きくレベルアップしてようやく五五の時にみんなどれだけチートなの?!!というか、レベル一〇〇〇以上同士の対決なんかしたら、この辺り一帯焦土と化しちゃわない?!!!
「待ってくれ!!彼女たちは俺たちの仲間で味方だ!!君の戦うべき相手じゃない!!」
俺が叫ぶと、女の子は小さくため息をつく。
「ちぇっ!せっかく『久しぶりに猛者』と出会えたと思ったら味方じゃしょうがないよね。みんな善人みたいだし。やっぱり『心置きなく殲滅』するには相手が悪人や悪神の方がいいよな♪」
えええええ?!!この人何言ってんの?!というか何者?!
「ええと、君は一体何者なんだい?」
「おっと、申し訳ないお兄さん。名乗るのを忘れていたね。俺の名はナタコ。天界の武神さ♪」
「中国の神話のナタ太子によく似た名前だね。」
「え?よく知っているねお兄さん。それ、うちの兄貴だから♪最近兄貴じゃ俺の相手が務まらなくなってきていてね。もっと強い奴と殺り合いたいとずっと思っていたんだ♪」!
スゴク強いと思ったら、西遊記で孫悟空とやりあったり、例の有名少年雑誌の漫画で活躍した中国最強の武神の一人、ナタ太子の妹だからですか?!!
「おや?そっちの方向に強くて悪い奴らがいそうだよ、お兄さん。せっかく呼び出してくれたんだから、そいつらと殺り合っていいよね♪」
ナタコがにっこり笑って言うと、明日香が口をはさむ。
「その子、よくライガーたちが転移していった先を感知できるわね…。戦闘能力だけでなくただものではなさそうだわね。」
「明日香!ライガーたちが逃げた先がわかっていたのか?!!」
「あら、あの程度の魔法の解析は簡単だわ。今度は転移魔法を封じておいて、確実に仕留めないとね♪」
この子も能力的にはとっても怖いです。全面的な味方で本当によかった!!
※『ナタコ』はナタの部分が本来の漢字で表記できないので、名前をカタカナで表記しております。
六魔将のライガーの軍に動きはみられない。
副将を含む軍隊が全滅したため、うかつに攻撃を仕掛けられないのではないかと推測している。
もう少し進んだらライガー領の領都に着きそうな場所で、俺たちは昼ご飯を頂くことにした。
「しかし、この豚バラ蒸し煮『チュウカ風』はおいしいな♪明日香は本当に料理上手なんだな♪」
「ええ、そうかなあ♪ありがとう♪」
エミリーも合流して、一緒に大皿料理をつついている。
…もしかしなくてもその『豚バラ蒸し煮』は昨日の『イノシシ肉』を流用しているよね?!
昼食後、再び馬での旅に戻ったが、たまに魔獣が出るくらいで極めて順調に進んでいった。
「変だな。」
「変ですね。」
「二年前にライガー領を訪れた時と明らかに森の様子が変わっている。
瘴気がずっと濃くなっている。にもかかわらず魔獣がほとんど出ないということは…。」
「領都の方から異様な気配を強く感じますね。」
ライピョンさん、明日香、エミリーさん、アリーナ王女共にどんどん顔つきが険しくなっていき、領都の全貌が見渡せる場所に付いた時には俺たちは言葉を失った。
領都は中央に高い尖閣のある城があり、高い頑丈な城壁に囲まれているのだが、その周りを囲むようにびっしりと獅子型の獣人兵士が武器を持って構えていたのだ。
問題は今までの軍と違い、そいつらほぼ全員真っ赤に光る狂気に彩られた目をしており、雰囲気からまるで知性を感じられないことだ。
「ちっ!全員に狂戦士化の魔法をかけてあるのか?!厄介なことをしてくれる!」
エミリーが彼らの様子を見て舌打ちをする。
「こんなたくさんの狂戦士どもを何とかしなくちゃならないうえに、領都やお城まで陥とさなければいけないわけ?
この様子なら『小惑星』を落として、一切合財『平地にしてしまう』というのが一番あとくされがないんじゃない?」
「明日香!待ってくれ!!兵士たちはまだしも、領都には普通の住民が住んでるんだ!!」
「そうなの?…じゃあ、仕方ないわねえ。」
危険な魔法を使いかけていた明日香はエミリーの制止になんとか思いとどまってくれたようだ。
敵軍ならまだしも、『住民を虐殺してレベルアップしました。』とかシャレにならないからね…。
「おや?まさかとは思いましたが、魔王様が我々を裏切って、勇者どもに付くとはびっくりですな?!!」
敵軍の中央から一際大きなライオンの姿の獣人の武将が隣に黒ローブの男を伴って姿を現した。
イノシシの武将よりさらに圧倒的なオーラを放っている。
「ふん、獣魔将ライガーか。お前さんの隣にいる怪しい奴は何者だ?
変な奴にそそのかされて、住民や兵士すら裏切る奴に裏切り者呼ばわりされるいわれはないな。」
エミリアはライガーの挑発に乗るどころか、冷静に返している。
「俺が兵士や住民を裏切っている?はっ!、魔族は力が全て!とある方の助力を得て、今は我が軍と俺が魔族最強だ!我が兵士や住民たちは俺が強い力で導いてやるのだ!」
エミリーの逆挑発に切れたライガーはどす黒いオーラをまき散らしながら吠える。
「へえ、借り物の力で私に勝てるつもりとは偉くなったものだな、ライガー!」
エミリーもライガーに全くひるむことなく戦闘オーラを放出して、構える。
エミリーとライガーのにらみ合いが頂点に達して双方が動き出そうとした時、明日香が魔法の詠唱をした。
「広範囲魔法、脱狂戦士!!」
明日香が魔法を唱えると同時に薄い緑色の光があたり一面に広がっていき、大きく輝いた後、光はすっと引いた。
「「なんだ、なんだ?我々は一体?!!」」
どうやら正気を取り戻したらしい兵士たちが全員戸惑っている。
「馬鹿な?!!我が洗脳魔法がこんな簡単に解けるなんて?!!」
ライガーの隣の黒ローブが思わず叫ぶ。
「皆のもの!聞いたか!獣魔将ライガーはお前たちをそこの悪魔の手先の力を借りて洗脳していたのだぞ!!!」
黒ローブの失言を捉えて、エミリーが叫ぶ。
その叫びに兵士や指揮官たちは大きく動揺する。
「ふざけるな!!俺がそんなことをしたという証拠がどこにある?!!」
慌ててライガーが叫ぶが、兵士たちの動揺は収まらない。
「広範囲魔法、脱洗脳!!」
さらに明日香が魔法を唱えると同時に薄い白銀の光が城壁の中に広がっていき、大きく輝いた後、光はすっと引いていった。
「まったくめんどくさいことさせるんじゃないわよ!街と城内の全員の洗脳を解くのにずいぶんと魔力を消耗したわ。」
ええと…消耗したと言いながら、明日香…ずいぶんと涼しい顔をしているよね?
「だまされるな!!そいつらは嘘をついているんだ!!!」
ライガーがさらに青い顔をして叫ぶ。
「いえ、我々は狂戦士化していた時の記憶がちゃんとあるのですが…。
要は、我々を洗脳して道具扱いしておられたわけですね!」
険しい顔をした将校たちがライガーと黒ローブのに詰め寄っていく。
「くそ!いったん撤退です!!」
黒ローブが魔力を放つと、ライガーと一緒に光に包まれて、そのまま姿を消した。
「ち!逃げられたか!だが、兵士たちも領民も無事でよかった。」
エミリーが少し悔しがったが、同時に安どのため息をついた。
「魔王様!!私たちを助けにお越しいただいたのですね!!」
ライガーの部下だった将校たちがエミリーの周りに集まってきた。
「う、うむ。今回は相手が悪魔だから、人族とも協力をせざるを得なかったのだ。悪魔の侵攻を止めるためにはしばし、手を結び、終わったら再び相互不干渉に戻るかどうかはその時の情勢次第ということにしたいと思う。」
アドリブらしいセリフを涼しい顔で述べていくエミリーは確かにただものではないと感じる。
パッパカパッパッパー♪♪
エミリーの指示を受け、領都の軍人たちや行政者たちがいろいろ動きだす中、またもやレベルアップの効果音が響いた。
「おめでとうございます!!達則さんはレベルアップしました!領都とお城の無血開城ですから、実は戦闘以上に難易度が高いのですよね。おかげでいろんな能力が向上しています。
それと身に付いた鑑定能力を使ってみてくださいよ。◎者の方たちも期待してますよ♪」
毎度のことながら、レベルアップの時の解説は突っ込みどころ満載だよね?!
読◎の方たちも期待…とか言っちゃダメでしょ!!
「お兄ちゃん。今度はレベルが四四から五五だから、前回以上に大きく上がっているね!
召喚ポイントも三五〇〇ポイントだよ。『殲滅の勇者』二五〇〇ポイント、『巨大勇者』が三〇〇〇ポイントだから、殲滅の勇者を呼んでみたら?」
うん、今度は殲滅の勇者の番か。
レベルアップに従って、五感や直観が鋭敏になってきているせいか、『非常に嫌な予感』がひしひしとするんだよね…。
今まで召喚した四人の勇者たち…。みんな善良ではあるんだけど、明日香以外はどこか明らかに『変』なんだよな…。(※あくまで達則視点です。)
『殲滅の勇者』という称号からしてヤバイ予感しかしないのだけれども…。
「あれ?達則様。殲滅の勇者を召喚されないのでしょうか?勇者が七人そろう必要があるのですから、遅かれ早かれ呼ばないといけないと思うのですが…。」
「確かに称号はヤバそうだけど、全員そろう必要があるんだろ。…それにしてもこれだけ全員そろわねばまずいということは魔神だか悪魔だかわからないけど、黒幕は相当ヤバイ敵なんだろうな…。」
アリーナ王女といつの間にか戻ってきていたエミリーにつつかれるようにして俺は殲滅の勇者を呼ぶことにした。
おれは中華風のキャラをイメージし、心の中で『召喚!』と叫んだ。
いつものように俺の前に光が現れ、消えた時には中華風の戦士の格好をした俺や明日香より少し年下に見える美少女がニコニコと笑っていた。
その子を見てアリーナ王女は『まあ、可愛らしい♪』と喜んでいたが、俺は思わず叫びそうになった。
『アリーナ王女!見かけに騙されるな!』と…。
俺同様正体に気付いたらしいライピョンさんと明日香は非常に厳しい表情になり、エミリーは真っ青になっている。
「俺を呼び出してくれたのはお兄さんかい♪で、誰と殺り合えばいいのかな♪」
ニコニコしながら可愛らしい声で、とんでもないことを口走っているんだけど…。
「そっちのウサギぽいお兄さんも只者ではないし、黒いお姉さんも強敵だよね…。でも、こころゆくまで殺り合えそうなのは、そこの魔法使いのお姉さんぐらいかな♪」
いやいや、この娘なに言ってんの?!!
(ほら、そこで鑑定を使ってみんなの能力を見ないと♪)
なんで、ここで例の機械的な声のお姉さんがしゃべるの?!
と言いつつ、鑑定してみると…。
アリーナ王女がレベル二四〇、ライピョンさんが六六六…て、獣の数字ですか?!!
おっとっと、エミリーさんが七八九で、明日香と中華風の女の子が***…て、数字が出ないんだけど?!!
(ああ、***と出るのは二人ともレベルが一〇〇〇を超えててバグって表示されなくなっているからだから♪)
えええ?!!俺が大きくレベルアップしてようやく五五の時にみんなどれだけチートなの?!!というか、レベル一〇〇〇以上同士の対決なんかしたら、この辺り一帯焦土と化しちゃわない?!!!
「待ってくれ!!彼女たちは俺たちの仲間で味方だ!!君の戦うべき相手じゃない!!」
俺が叫ぶと、女の子は小さくため息をつく。
「ちぇっ!せっかく『久しぶりに猛者』と出会えたと思ったら味方じゃしょうがないよね。みんな善人みたいだし。やっぱり『心置きなく殲滅』するには相手が悪人や悪神の方がいいよな♪」
えええええ?!!この人何言ってんの?!というか何者?!
「ええと、君は一体何者なんだい?」
「おっと、申し訳ないお兄さん。名乗るのを忘れていたね。俺の名はナタコ。天界の武神さ♪」
「中国の神話のナタ太子によく似た名前だね。」
「え?よく知っているねお兄さん。それ、うちの兄貴だから♪最近兄貴じゃ俺の相手が務まらなくなってきていてね。もっと強い奴と殺り合いたいとずっと思っていたんだ♪」!
スゴク強いと思ったら、西遊記で孫悟空とやりあったり、例の有名少年雑誌の漫画で活躍した中国最強の武神の一人、ナタ太子の妹だからですか?!!
「おや?そっちの方向に強くて悪い奴らがいそうだよ、お兄さん。せっかく呼び出してくれたんだから、そいつらと殺り合っていいよね♪」
ナタコがにっこり笑って言うと、明日香が口をはさむ。
「その子、よくライガーたちが転移していった先を感知できるわね…。戦闘能力だけでなくただものではなさそうだわね。」
「明日香!ライガーたちが逃げた先がわかっていたのか?!!」
「あら、あの程度の魔法の解析は簡単だわ。今度は転移魔法を封じておいて、確実に仕留めないとね♪」
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