19 / 25
VS魔神軍 激闘編
6 迷宮都市 その2
しおりを挟む
都市へ入る許可は比較的簡単に取れた。
シャリーが自分の分も含めた『偽の身分証明書』をあらかじめ用意していたからだ。
迷宮都市自体はほぼ普段通りに機能しているようだった。
『ほぼ』というのは、迷宮都市とその周辺の町や村はほぼ普段通りなのだが、それより外の領域との行き来が途絶えており、そのことに対する領主・ガイストからの説明が非常にあやふやなものであり、住民たちの間に小さな不安が蔓延しているからなのだ。
そして俺たちは冒険者ギルドへ向かう。
ここでギルドに登録しておいて、地下迷宮にもぐる予定だ。
ナタコはそんな手間を経ずに突っ込んだらどうかと言ってきたが、わざわざ余計な騒ぎを起こさないでほしいとエミリーが頼み込むので、納得してくれたのだ。
「さあ、ギルドでちゃちゃっと登録しちゃいましょう。
私とエミリーは本来は冒険者ギルドに登録済みなのですが、本名で登録するともめるので、今回みんなと一緒に再登録します。
明日香さんの協力を得て、ステータス擬装用の腕輪を作りましたので、みなさん身に付けてください。あまり目立ちすぎないよう中堅上位冒険者並みのステータスを提示するようになってます。」
シャリーに案内されて冒険者ギルドに入っていく。
シャリーとエミリーはこのギルドには来たことがあるそうなので、手続きのことなどはわかっているようだ。
迷わずに受付の方に向かって歩いていき、俺たちもその後を付いていく。
「へっへっへ、お前さんたち見ない顔だね。そこのお兄ちゃんやお姉ちゃんは初心者ぽいけど、ちゃんと冒険できるのかい?
少し顔が赤くなったひげの戦士風のおっさんがにやにや笑いながらこちらに声を掛けてくる。
これは、ラノベで定番となった冒険者ギルドでの初心者いじめか?!
「きゃーーー!!何をするんですか?!!」
その時受付の方から女性の悲鳴が聞こえ、その男も俺たちも声の方を慌てて見やる。
「おい、じいさん!!お前さん何をやっているだ?!!」
エミリーが全身から凄まじい怒りのオーラを発しながらじいちゃんの頭をひっつかんで宙に持ち上げている。
「…ちょっと、受付の素敵なお姉さんにごあいさつを…。」
「なあ、お姉さんのお尻を触るのがあいさつなのか?!!!」
またやらかしたじいちゃんを持ち上げている右手からみしみしと頭を締め上げる痛そうな音が聞こえてくる。
「待つのじゃ!!後でちゃんとエミリーたんにも『あいさつ』するから!」
「いるかー!!!!」
ごきごきごき!!と何かが壊れるような音がした後、じいちゃんの動きが止まった。
「お嬢さん、すまない!連れが大変ご迷惑をおかけした!」
じいちゃんをライピョンさんに手渡しすると、エミリーそしてシャリーがセクハラ被害に遭った魔族の受付嬢に頭を下げた。
「…いえ、大丈夫ですから…。頭を上げてください。」
俺たちより少し年上に見える美人受付嬢が完全にひきながらも何とか対応している。
「おい、おっさん。俺たちがなんだって?」
声に振り向くとナタコが俺たちにからんできたおっさんに歩み寄っている。
やばい!おっさんの命が危ない!!
「い、いえ…。あなた方は俺が思っていたよりずっと、ベテランの冒険者の方たちだったのですね♪
おみそれしました!」
エミリーの怒りのオーラから自分とはけた違いのグループだと察したらしいおっさんは急にへいこらしだした。
「ふーん、特に用はないのだな…。」
ナタコはそれを見て興味を無くしたらしく、受付に向かって歩き出した。
よかった!おっさんの命的な意味で!!
「…それでは、皆様には書類を書いていただいた後、鑑定の水晶球で能力鑑定させていただきますね。よろしくお願いします。」
お姉さんも先ほどよりは落ち着いたようだけど、まだこわごわと言った感じで俺たちに対応している。
「皆さまの中には見たところ、他国から来られた方もおられるようですが、母国語で記入していただくと自動的にこちらの言葉に変換されますので、ご安心ください。」
清楚な感じの受付嬢がようやく落ち着かれたようだ。
「すごいです!皆さん、ベテラン冒険者の方たちなんですね。」
エミリー、シャリー、ライピョンさんが次々と鑑定を受けると受付嬢が俺たちを尊敬のまなざしで見てくれる。
偽装の腕輪の効果でそこそこの冒険者と認識してくれているようだ。
そして明日香の番になると…。
「ひえええええ!!!待ってください!レベルが二〇〇超えってどれだけすごいんですか?!」
表示を見た受付嬢が仰天して、明日香が戸惑っている。
「え?おかしいです。明日香さんに調整してもらって本来の1/10のレベルで表示されるようにしたはずなのですが…。」
慌てたシャリーさんが俺たちに囁いている。
続いてナタコが鑑定を受けると…。
「ええええええええ!!!レベル二〇〇超えの方がもうお一人ですか?!!!
どうして、こんな幼いお嬢さんが?!!
は?まさか、吸血鬼のような見た目若い種族の方ですね?!!
申し訳ありません!!」
受付嬢さんがナタコに一生懸命頭を下げている。
ううむ、魔族は見た目では年齢がわからない人が多いのだね。
後でアリーナ王女やライピョンさんに聞いたら、人間の町の冒険者ギルドだったらもっと揉めていたのではないかという話だった。
そして、いよいよ俺の番だ。受付嬢は水晶球と俺の顔を何度か見比べた後、すごく同情するように
俺の耳元で囁いてくれた。
「…頑張ってくださいね。」
えええええ?!!そんなにひどい?!
「え?お兄ちゃん、なにか問題があるの?」
俺と受付嬢の様子が微妙なのに気付いた明日香が歩み寄ってくる。
「え、お兄様…ご兄妹なのですか?」
さらに俺と明日香をじっくり見比べた後、受付嬢は俺に真剣な顔で語りかける。
「頑張ってくださいね!!」
俺の冒険者用紙には 『レベル8』と書きこまれていた。
フールとの戦闘で俺のレベルは82に上がっていた。
シャリーの話のようにレベルが1/10に表示されるなら、適切な数字だ。
……ということは、明日香とナタコはレベル2000を超えるということ?!!
傍で見るとレベル8の兄とレベル200超えの妹……同情されるわけだ!!
半ば呆然としかけていた俺はまたもや受付嬢の上げた悲鳴に我に返った。
「おじいさん!!こんなレベルで迷宮に入ろうとされないで下さい!!」
鑑定が終わったじいちゃんは涼しい顔をしており、それと対照的に受付嬢が非常に厳しい顔をされている。
じいちゃんの冒険者用紙には 『レベル2』と書きこまれている。
……変身前のじいちゃんは確かレベル21だった。
後でシャリーに教えてもらったのだが、レベル1~3は完全な一般人のレベルで、レベル10前後までは初心者。10~30くらいが中堅冒険者で、それ以上が上級冒険者になるそうだ。
ロジック王国の騎士団長がレベル40で、宮廷魔術師がレベル50だったわけだから、この迷宮としての冒険者のレベルが全体的に高いことがうかがえる。
ちなみに俺たちの表示レベルは
俺:LV8 明日香:LV230 ライピョンさん:LV69 アリーナ王女:LV28 エミリー:LV80
ナタコ:LV212 じいちゃん:LV2 シャーラ:LV61
…なに、この格差パーティ?!!
受付嬢が完全に目を白黒させているよ!!
「あのう、そちらの『お兄さん』はまだしも、おじいさんが迷宮に入られるのはとてもお奨めしかねるのですが…。」
受付嬢が非常に言いにくそうに伝えてくる。
「大丈夫じゃ!エミリーたんがわしを守ってくれるもん♪」
じいちゃん、何を言ってんの?!ん、エミリー?
「え、エミリー…て?」
「いや、エリーじゃ!!エリーたんはわしの孫のエミリーたんによく似ておるんで、ついつい、言い間違えるんじゃ♪」
うん、エミリーとシャリーはそれぞれ『エリー』と『シャティ』という偽名を使ってるんだから、こんなところでばらさないで下さい!!
「びっくりさせないで下さいよ。一瞬魔王様かと思ったじゃないですか…。
そちらの女性が雰囲気が魔王様によく似ていらっしゃますから、仰天しましたよ♪」
「…いやあ、間違えてもらえて光栄だね♪」
エミリーは変装しているとはいえ、知り合いから見られたら一発でばれるレベルだ。
「…ここだけの話ですけど…。」
受付嬢が声を潜めて話し出す。
「私、魔王様の大ファンなんです。うちの領主とは仲がいいとは言えませんが、魔王領全体に公平に目を配られているという話は聞きますし、なにより、グループでだけでなく、お一人で迷宮を制覇されたのは今のところ、エミリーさまだけなんですよ♪
ああ、あの引き上げてこられた時の雄姿は今でも忘れられませんわ!!」
キラキラとした視線で語る受付嬢を俺はやや引きながら見ていたが、いつの間にか俺の横にいたシャリーが口をはさんだ。
「全くです!魔王様の戦われる雄姿はとても凛々しくてかっこいいのです。
もう、見ているだけで、私の心臓がきゅんきゅんするんです♪」
「ですよね~♪」
うわお!!シャリーさんが同志を発見しちゃったよ!!
その後しばし、エミリーの話題で二人は盛り上がったが、まもなくシャリーをエミリーが片手で持ち上げて、俺たちは迷宮に向かった。
「迷宮饅頭はいかがですか♪」
「迷宮の第二〇層から拾ってきた鉱石だよ♪」
「お弁当はいかがでしょうか?」
……ええと、迷宮の第一層はだだっ広い中に屋台やいろいろお店があってその中をたくさんの人が行き来しているのだけれど…。
「ああ、言い忘れてましたが、迷宮の第一層は完全に制覇済みで、今は一般人も入れる商店街と化しているのですよ。
お土産もいろいろありますから、欲しいものがあれば見繕っておいて帰りに買いましょう。
よかったら『迷宮第一層商店街地図』を見て、欲しいものがありそうな所へ行ってみますか?」
「「「「「早く先へ進もう(みましょう)!」」」」」
じいちゃん以外は当然のセリフを言った。
うん、これ以上ここにいたらやる気が段々失せてきそうだよね…。
「おおっと、お兄さん方は冒険者かな?
よかったらお守り代わりに『魔王様のぬいぐるみ』を買って付けていかないかい?
迷宮を単独制覇された魔王様のお守りのようなものだから、ものすごく人気があるんだ♪」
気のよさそうなお兄さんの屋台には大小とりどりの『エミリーを模したぬいぐるみ』が並べてあった。
「はい!ください!!」
「わしもわしも!!」
「ええと、私も欲しいです♪」
シャリーと、じいちゃんとアリーナ王女があっさり買っている。
それを見ていたエミリーは……
『ぬいぐるみの攻撃』
『エミリーはマジックポイントが減った』
『エミリーは呆然としている…。』
……約三〇分後エミリーがようやく復活し、俺たちは迷宮の第二層へと入っていった。
シャリーが自分の分も含めた『偽の身分証明書』をあらかじめ用意していたからだ。
迷宮都市自体はほぼ普段通りに機能しているようだった。
『ほぼ』というのは、迷宮都市とその周辺の町や村はほぼ普段通りなのだが、それより外の領域との行き来が途絶えており、そのことに対する領主・ガイストからの説明が非常にあやふやなものであり、住民たちの間に小さな不安が蔓延しているからなのだ。
そして俺たちは冒険者ギルドへ向かう。
ここでギルドに登録しておいて、地下迷宮にもぐる予定だ。
ナタコはそんな手間を経ずに突っ込んだらどうかと言ってきたが、わざわざ余計な騒ぎを起こさないでほしいとエミリーが頼み込むので、納得してくれたのだ。
「さあ、ギルドでちゃちゃっと登録しちゃいましょう。
私とエミリーは本来は冒険者ギルドに登録済みなのですが、本名で登録するともめるので、今回みんなと一緒に再登録します。
明日香さんの協力を得て、ステータス擬装用の腕輪を作りましたので、みなさん身に付けてください。あまり目立ちすぎないよう中堅上位冒険者並みのステータスを提示するようになってます。」
シャリーに案内されて冒険者ギルドに入っていく。
シャリーとエミリーはこのギルドには来たことがあるそうなので、手続きのことなどはわかっているようだ。
迷わずに受付の方に向かって歩いていき、俺たちもその後を付いていく。
「へっへっへ、お前さんたち見ない顔だね。そこのお兄ちゃんやお姉ちゃんは初心者ぽいけど、ちゃんと冒険できるのかい?
少し顔が赤くなったひげの戦士風のおっさんがにやにや笑いながらこちらに声を掛けてくる。
これは、ラノベで定番となった冒険者ギルドでの初心者いじめか?!
「きゃーーー!!何をするんですか?!!」
その時受付の方から女性の悲鳴が聞こえ、その男も俺たちも声の方を慌てて見やる。
「おい、じいさん!!お前さん何をやっているだ?!!」
エミリーが全身から凄まじい怒りのオーラを発しながらじいちゃんの頭をひっつかんで宙に持ち上げている。
「…ちょっと、受付の素敵なお姉さんにごあいさつを…。」
「なあ、お姉さんのお尻を触るのがあいさつなのか?!!!」
またやらかしたじいちゃんを持ち上げている右手からみしみしと頭を締め上げる痛そうな音が聞こえてくる。
「待つのじゃ!!後でちゃんとエミリーたんにも『あいさつ』するから!」
「いるかー!!!!」
ごきごきごき!!と何かが壊れるような音がした後、じいちゃんの動きが止まった。
「お嬢さん、すまない!連れが大変ご迷惑をおかけした!」
じいちゃんをライピョンさんに手渡しすると、エミリーそしてシャリーがセクハラ被害に遭った魔族の受付嬢に頭を下げた。
「…いえ、大丈夫ですから…。頭を上げてください。」
俺たちより少し年上に見える美人受付嬢が完全にひきながらも何とか対応している。
「おい、おっさん。俺たちがなんだって?」
声に振り向くとナタコが俺たちにからんできたおっさんに歩み寄っている。
やばい!おっさんの命が危ない!!
「い、いえ…。あなた方は俺が思っていたよりずっと、ベテランの冒険者の方たちだったのですね♪
おみそれしました!」
エミリーの怒りのオーラから自分とはけた違いのグループだと察したらしいおっさんは急にへいこらしだした。
「ふーん、特に用はないのだな…。」
ナタコはそれを見て興味を無くしたらしく、受付に向かって歩き出した。
よかった!おっさんの命的な意味で!!
「…それでは、皆様には書類を書いていただいた後、鑑定の水晶球で能力鑑定させていただきますね。よろしくお願いします。」
お姉さんも先ほどよりは落ち着いたようだけど、まだこわごわと言った感じで俺たちに対応している。
「皆さまの中には見たところ、他国から来られた方もおられるようですが、母国語で記入していただくと自動的にこちらの言葉に変換されますので、ご安心ください。」
清楚な感じの受付嬢がようやく落ち着かれたようだ。
「すごいです!皆さん、ベテラン冒険者の方たちなんですね。」
エミリー、シャリー、ライピョンさんが次々と鑑定を受けると受付嬢が俺たちを尊敬のまなざしで見てくれる。
偽装の腕輪の効果でそこそこの冒険者と認識してくれているようだ。
そして明日香の番になると…。
「ひえええええ!!!待ってください!レベルが二〇〇超えってどれだけすごいんですか?!」
表示を見た受付嬢が仰天して、明日香が戸惑っている。
「え?おかしいです。明日香さんに調整してもらって本来の1/10のレベルで表示されるようにしたはずなのですが…。」
慌てたシャリーさんが俺たちに囁いている。
続いてナタコが鑑定を受けると…。
「ええええええええ!!!レベル二〇〇超えの方がもうお一人ですか?!!!
どうして、こんな幼いお嬢さんが?!!
は?まさか、吸血鬼のような見た目若い種族の方ですね?!!
申し訳ありません!!」
受付嬢さんがナタコに一生懸命頭を下げている。
ううむ、魔族は見た目では年齢がわからない人が多いのだね。
後でアリーナ王女やライピョンさんに聞いたら、人間の町の冒険者ギルドだったらもっと揉めていたのではないかという話だった。
そして、いよいよ俺の番だ。受付嬢は水晶球と俺の顔を何度か見比べた後、すごく同情するように
俺の耳元で囁いてくれた。
「…頑張ってくださいね。」
えええええ?!!そんなにひどい?!
「え?お兄ちゃん、なにか問題があるの?」
俺と受付嬢の様子が微妙なのに気付いた明日香が歩み寄ってくる。
「え、お兄様…ご兄妹なのですか?」
さらに俺と明日香をじっくり見比べた後、受付嬢は俺に真剣な顔で語りかける。
「頑張ってくださいね!!」
俺の冒険者用紙には 『レベル8』と書きこまれていた。
フールとの戦闘で俺のレベルは82に上がっていた。
シャリーの話のようにレベルが1/10に表示されるなら、適切な数字だ。
……ということは、明日香とナタコはレベル2000を超えるということ?!!
傍で見るとレベル8の兄とレベル200超えの妹……同情されるわけだ!!
半ば呆然としかけていた俺はまたもや受付嬢の上げた悲鳴に我に返った。
「おじいさん!!こんなレベルで迷宮に入ろうとされないで下さい!!」
鑑定が終わったじいちゃんは涼しい顔をしており、それと対照的に受付嬢が非常に厳しい顔をされている。
じいちゃんの冒険者用紙には 『レベル2』と書きこまれている。
……変身前のじいちゃんは確かレベル21だった。
後でシャリーに教えてもらったのだが、レベル1~3は完全な一般人のレベルで、レベル10前後までは初心者。10~30くらいが中堅冒険者で、それ以上が上級冒険者になるそうだ。
ロジック王国の騎士団長がレベル40で、宮廷魔術師がレベル50だったわけだから、この迷宮としての冒険者のレベルが全体的に高いことがうかがえる。
ちなみに俺たちの表示レベルは
俺:LV8 明日香:LV230 ライピョンさん:LV69 アリーナ王女:LV28 エミリー:LV80
ナタコ:LV212 じいちゃん:LV2 シャーラ:LV61
…なに、この格差パーティ?!!
受付嬢が完全に目を白黒させているよ!!
「あのう、そちらの『お兄さん』はまだしも、おじいさんが迷宮に入られるのはとてもお奨めしかねるのですが…。」
受付嬢が非常に言いにくそうに伝えてくる。
「大丈夫じゃ!エミリーたんがわしを守ってくれるもん♪」
じいちゃん、何を言ってんの?!ん、エミリー?
「え、エミリー…て?」
「いや、エリーじゃ!!エリーたんはわしの孫のエミリーたんによく似ておるんで、ついつい、言い間違えるんじゃ♪」
うん、エミリーとシャリーはそれぞれ『エリー』と『シャティ』という偽名を使ってるんだから、こんなところでばらさないで下さい!!
「びっくりさせないで下さいよ。一瞬魔王様かと思ったじゃないですか…。
そちらの女性が雰囲気が魔王様によく似ていらっしゃますから、仰天しましたよ♪」
「…いやあ、間違えてもらえて光栄だね♪」
エミリーは変装しているとはいえ、知り合いから見られたら一発でばれるレベルだ。
「…ここだけの話ですけど…。」
受付嬢が声を潜めて話し出す。
「私、魔王様の大ファンなんです。うちの領主とは仲がいいとは言えませんが、魔王領全体に公平に目を配られているという話は聞きますし、なにより、グループでだけでなく、お一人で迷宮を制覇されたのは今のところ、エミリーさまだけなんですよ♪
ああ、あの引き上げてこられた時の雄姿は今でも忘れられませんわ!!」
キラキラとした視線で語る受付嬢を俺はやや引きながら見ていたが、いつの間にか俺の横にいたシャリーが口をはさんだ。
「全くです!魔王様の戦われる雄姿はとても凛々しくてかっこいいのです。
もう、見ているだけで、私の心臓がきゅんきゅんするんです♪」
「ですよね~♪」
うわお!!シャリーさんが同志を発見しちゃったよ!!
その後しばし、エミリーの話題で二人は盛り上がったが、まもなくシャリーをエミリーが片手で持ち上げて、俺たちは迷宮に向かった。
「迷宮饅頭はいかがですか♪」
「迷宮の第二〇層から拾ってきた鉱石だよ♪」
「お弁当はいかがでしょうか?」
……ええと、迷宮の第一層はだだっ広い中に屋台やいろいろお店があってその中をたくさんの人が行き来しているのだけれど…。
「ああ、言い忘れてましたが、迷宮の第一層は完全に制覇済みで、今は一般人も入れる商店街と化しているのですよ。
お土産もいろいろありますから、欲しいものがあれば見繕っておいて帰りに買いましょう。
よかったら『迷宮第一層商店街地図』を見て、欲しいものがありそうな所へ行ってみますか?」
「「「「「早く先へ進もう(みましょう)!」」」」」
じいちゃん以外は当然のセリフを言った。
うん、これ以上ここにいたらやる気が段々失せてきそうだよね…。
「おおっと、お兄さん方は冒険者かな?
よかったらお守り代わりに『魔王様のぬいぐるみ』を買って付けていかないかい?
迷宮を単独制覇された魔王様のお守りのようなものだから、ものすごく人気があるんだ♪」
気のよさそうなお兄さんの屋台には大小とりどりの『エミリーを模したぬいぐるみ』が並べてあった。
「はい!ください!!」
「わしもわしも!!」
「ええと、私も欲しいです♪」
シャリーと、じいちゃんとアリーナ王女があっさり買っている。
それを見ていたエミリーは……
『ぬいぐるみの攻撃』
『エミリーはマジックポイントが減った』
『エミリーは呆然としている…。』
……約三〇分後エミリーがようやく復活し、俺たちは迷宮の第二層へと入っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
私、魅了魔法なんて使ってません! なのに冷徹魔道士様の視線が熱すぎるんですけど
紗幸
恋愛
社畜女子だったユイは、気づけば異世界に召喚されていた。
慣れない魔法の世界と貴族社会の中で右往左往しながらも、なんとか穏やかに暮らし始めたある日。
なぜか王立魔道士団の団長カイルが、やたらと家に顔を出すようになる。
氷のように冷静で、美しく、周囲の誰もが一目置く男。
そんな彼が、ある日突然ユイの前で言い放った。
「……俺にかけた魅了魔法を解け」
私、そんな魔法かけてないんですけど!?
穏やかなはずの日々に彼の存在が、ユイの心を少しずつ波立たせていく。
まったりとした日常の中に、時折起こる小さな事件。
人との絆、魔法の力、そして胸の奥に芽生え始めた“想い”
異世界で、ユイは少しずつ——この世界で生きる力と、誰かを想う心を知っていく。
※タイトルのシーンは7話辺りからになります。
ゆったりと話が進みますが、よろしければお付き合いください。
※カクヨム様にも投稿しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる