7人の勇者!勇者は仲間を選びたい!

はなぶさ 源ちゃん

文字の大きさ
21 / 25
VS魔神軍 激闘編

8 迷宮都市 その4

しおりを挟む
 宿に入ると、夕食前に全員で一度エミリーの部屋に集まって会議を行った。
 「あのまま行っても攻略は十分可能だったと感じるのだが、わざわざ一晩待つことにしたのはどういうわけなのだね?」
 エミリーが明日香に問いかける。

 「ええ、エミリーの言うことはもっともだわ。『時間を重視』するのであれば、昨日そのまま突っこんでいっていた方がよかったでしょうね。
 でも、『魔神ニビルを確実に仕留める』ためには一日待って、迷宮の主たちを強化しておいた方がいいと判断したの。
 何しろ、ここの迷宮は『学習して自らを強化する迷宮』だから、その後でこの迷宮を打ち破った方が私たちがより強化できるからね。
 私の飼っているレインボードラゴンは喰らった相手の力を吸収することができるし、ナタコの扱う斬妖剣は強敵と戦えば戦うほど強化される神剣だからね。」
 明日香の言葉にみんながうなずく。

 俺もナタコの剣のこと、そして明日香の飼っている竜のことを聞いた時はビックリした。
でも、明日香の元々の人間性と、ナタコが竜のことを保証してくれたことで、何とか納得することができた。
 多くの人の心を支配下に置いて『おもちゃ同然に扱う』ような邪神をみんなで確実に倒そうとさらに心に誓った。



 翌日、万全の態勢で最下層の転移門に移動した。
 再びエミリー、シャリー、ライピョンさんが前へ出ようとすると、ナタコがそれを制して言った。

 「ごめん、そろそろ体を温めておいて、万全の態勢でラスボスとりあいたいから俺が前面に出ていい?」
 ナタコが強烈な意志をたたえた視線で頭を下げるので、エミリーたちは快く譲った。

 「ナタコ?」
 今までにない、真剣な表情をしているナタコに明日香が思わず語りかける。
 「今度の敵はこの世界に来て初めてりあう『同格』の相手だからね。気合を入れておかないと♪」
 笑いながらナタコは双剣を握ると、素早く先頭に飛び出した。


 そこからはフールの電脳迷宮の時以上にナタコさん無双が続きました。
 あらゆる敵やほとんどの罠が双剣で細切れになって終了です。
 魔方陣形式の罠は作動前に剣圧でぶった切られて消え去りました。

 あっという間に迷宮最後の間の前まで到着です。
 高さ五メートルを超える巨大な金属製の扉の前で俺たちは一息つきます。

 全員扉の向こう側からの圧倒的な圧力を感じて緊張しています。
 ナタコが双剣を一閃すると扉が崩れ落ち、室内からの圧力が一気に俺たちの方に吹き付けてきます。

 「へっへっへっへ!期待通りだな♪」
 ナタコはひときわ大きな邪気を発する相手を見てにやりと笑う。



 「「「ようこそ、勇者たち!!」」」
 三人の男の声がはもって俺たちに圧力をかけてくる。

 天井までの高さが三〇メートルはあり、広さが野球場くらいはあろうかという広大な空間には高さが一〇メートルを超えようかという巨大なゴーレムがおり、その周りを高さ三メートル前後はある漆黒の鎧でできた生きた鎧リビングアーマーが数十体膨大な邪気を放っていた。

 リビングアーマーたちはそれぞれ剣や槍、バトルハンマー、弓など様々な武装をしており、うっすらと放つ邪気は今までの迷宮の怪物とはけた違いに大きく感じる。

 巨大なゴーレムはゴリラかマッチョな大男風といった感じのフォルムをした白銀色の金属でできており、両手が異様に長く、また手も大きく、殴られたらそれだけで、そこらにいるリビングアーマーでも粉砕しそうな感じだ。
 このゴーレムもあのヤマタノキングヒドラを彷彿させるくらいの存在感を放っている。

 しかし、ナタコはそれらには目もくれず、それらから少し離れたところに立っている一体の存在を嬉しそうに睨みつけている。

 高さは四メートルくらいで、漆黒の金属鎧を着こんだ八本腕の戦士はそれぞれの手に青竜刀や槍など様々な武器を持ち、東部には牛・騎士・ローブの男性の頭を備えている。
そして、それぞれの頭の双眸からは強烈な意志を感じさせられる。

 「「「我らは七柱のシユウ、ギルガメシュ、そして魔術師ガイアスの融合体だ。
我らは貴様ら、そして邪神ニビルを倒すために完全に融合した。今までのやつらは貴様らの力を侮って、力負けして敗れ去った。だから、我らは自らの、そして持てる力の全てを使い、貴様らを全力で倒す!!」」」
 三つの頭が同時に吼える。

 「こいつら、かけらも油断してねえぞ。明日香姉ちゃん、タツ達に可能な限り強力な防御結界を張ってくれ。守り最優先だ。
 ゴーレムとザコどもはエミリーたちに任せる。
 このラスボスは俺が全力で倒す!!」
 ナタコは叫ぶと、風雪輪に乗り、双剣を抜くと、あっという間にラスボスの眼前に躍り出る。
 だが、次の瞬間、ラスボスが八本の手を瞬時に動かし、ナタコが後方に吹っ飛ばされる。

 「「「ナタコ?!!」」」
 ナタコが後方の壁に叩きつけられ、壁ごと崩れて、瓦礫にナタコが埋まる。
 俺が慌てて駆け寄ろうとすると、明日香がそれを制す。
 「大丈夫。大したダメージは受けていないわ。」

 明日香の戦闘ナビではナタコをしめす光点の光はまったく色が衰えていなかった。
 「へっへっへっへ、やるじゃん♪予想以上にたのしめそうだぜ!!」
 瓦礫の中からナタコがゆらりと立ち上がってきた。


~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 「五倍雷王拳!!!」
 ライピョンさんの右正拳がゴーレムの腹部と思しき場所にめり込む。
 しかし、少しへこんだ金属製の腹部は盛り返すようにライピョンさんの拳を押し返す。
 ゴーレムは右拳をライピョンさんに叩きつけようとし、ライピョンさんはそれを何とか躱す。
 「ダメだ、攻撃がまるで効いていない!!それに、思ったよりもずっと動きがすばやい!!」


 「守護ゴーレム:身長一〇メートル 体重一〇〇トン
魔法耐性・物理耐性が桁違いのオリハルコン製のゴーレム。
格闘能力しかないが、その分物理攻撃力と魔法防御力、結界突破能力を高めている。」

 明日香の戦闘ナビにゴーレムの概要が出てくる。
 通常ならこいつがラスボスなのだろうが、強化されたライピョンさんの攻撃を受け付けないところを見ると、極限まで強化してあるに違いない。

 「このゴーレム、本来ならナタコちゃんに相手をして欲しいくらいの化け物だわ!!」
 ナビで能力をチェックして明日香が叫ぶ。
 その間も明日香は俺たちだけでなく、ライピョンさんやエミリー、シャリーにも防御魔法を重ね掛けしている。


 エミリーとシャリーはリビングアーマーどもと戦っていたが、予想以上に守りの固いリビングアーマーたちに苦戦を強いられていた。
 敵の攻撃は何とかはねのけられるのだが、エミリーの攻撃魔法やシャリーの剣でも大したダメージが与えられないのだ。
 シャリーは何とか戦線を維持し、エミリーは何体かを魔法で吹き飛ばすが、その度に吹き飛ばされたリビングアーマーたちは立ち上がってくる。
 予想以上のこう着状態にエミリーとシャリーは渋い顔で戦い続ける。


 「ザップマンちぇんじ!!!」
 みんなが戦う中、じいちゃんはザップマンに変身する。…ただし、等身大。

 『ザップマンビーーーム!!!』
 光線がリビングアーマーに命中するが、『それなりにダメージ』を与えつつ、事態はあまり進展しない……約一分でなんとかリビングアーマーが火を噴いて倒れる。

 「がーーー!!!やっとれん!!
 ザップマン、ちょい、巨大化!!」
 じいちゃんが掛け声をあげると、ザップマンの身長が約一〇メートルくらいになる。
 「ここで、再び、ザップマンビーーーム!!」
 今度は約一〇秒くらいでリビングアーマーが吹き飛ぶ。
 五体くらい吹き飛ばしたところで、じいちゃんの変身が解け、ぜーはーと息をしている。

 「これ以上駄目じゃ、アリーナたん♪もふもふさせて回復を!!」
 「はい、『気力回復魔法』です♪団おじい様用に開発しました♪」
 アリーナ王女に猛ダッシュを掛けようとしたじいちゃんにアリーナ王女が回復魔法をかける。

 「どうです?顔色がよくなられましたよね♪」
 「…………うん………残念ながら、回復したみたい………。」
 「じゃあ、おじい様、ガンバ!!」
 「…………………うん………………ガンバ…………。」
 ニコニコするアリーナ王女に見送られ、じいちゃんが泣きながら再び一〇メートルサイズのザップマンに変身し、光線を繰り出していく。


 「エミリーさま!じいちゃんのおかげで、戦線に余裕ができました!
 ライピョンさん用のエレキゴーレム・雷神ライジーンを作成してください!あのでかいゴーレムはそれくらいでないと倒せそうにないです!」
 「わかった、エレキゴーレム作成!!」
 エミリーが戦線から少し下がり、ゴーレム作成の魔法を唱えた。



 瓦礫の中から立ち上がったナタコを見て、俺たちは言葉を失った。
 ナタコの身長が俺より少し高いくらいになり、ボン・キュ・ボンの見た目一八歳くらいのものすごい美女の姿になっている。

 だが、俺たちが言葉を失ったのは全身から発する激烈な闘気と、凄まじいくらい冷たい視線を見たからだ。
 手も二本からいつの間にか八本に増え、それぞれの手に剣や槍などいろいろな得物を構えている。

 「最終形態になるのはいつぶりかな?嬉しいな、君らとりあえて実にうれしい♪」
 嬉しそうに凄惨な笑みを浮かべるナタコを見て、俺たちだけでなく、ラスボスたちですら、表情が険しくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

処理中です...