モンスターバスター in 大江戸

はなぶさ 源ちゃん

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大江戸編

13 僕の夏休み

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 麦わら帽子、ランニングシャツを羽織り、草履をはき、虫かごと虫取り網を持って、江戸川を臨みながらカイザスさんは言った。
 「かあさん、あの日の麦わら帽子はどこへ行ったのでしょうね…。
 さようなら!夏休み!」

 『例の予言の日』から間もなく2週間ですが…カイザスさん、あなたは何をやっておられるのですか…。



 とりあえず、『告白の日』から三日後、今日から二日前に話はさかのぼる。

 二人とも鍛錬を終えて昼食を取っているときだった。
 長屋の戸を開けてカイザスさんが入ってきた。

 「ただいまあ!ああ、お腹すいたな。おお!おいしそうなご飯が!!
 ところで、巧人、こういう時には聞いてくれなくちゃ?」

 「???聞くって何をですか?」
 「ごはんにする?お風呂にする?それとも…」
 「それとも…『斬首刑にする』かだよな?」
 アナスタシアさんが刀を取り出してじりじりとカイザスさんに迫る。

 アナスタシアさん!表情が怖いです!!

 「待て!せっかく二人にお土産を買ってきたのだよ?!アメリカンジョークは軽く受け流してくれなきゃあ♪」
 刀を首に突き付けられても涼しい顔をされているカイザスさんはいつもながらただものではありません。

 「ほら。おやつと『安産お守り』♪」
 嬉しそうに取り出されたものを見て、僕とアナスタシアさんが凍りつく。
 「あと、10月10日もすれば、かわいい『愛の結晶』が……。
 えーーーっつ!!『仕込んで』ないの?!せっかく私が気を利かせて『二日も外泊』してきたというのに??!」

 「いや、あのね!」
 アナスタシアさんがうろたえておろおろしている。
 …はい、『あーんする』のと『手をつなぐ』ので二人ともせいいっぱいでした…。
 え?最近は中学生でももっと進んでいる?…はい、ヘタレかもしれません…。

 「こんにちはー♪あ、カイザスさん、戻ってきたんだ。ところで何を騒がれているの?」
 桜姫が長屋に上り込んできた。
 戦隊の指令が来られたというより、親友が部屋に遊びに来た…くらいの感覚になっているのは気のせいだろうか…?

 「それがねえ、私がせっかく外泊してきたというのに、二人とも接吻キスすらまだというですよ!どれだけヘタレなことか?!私がっかりですよ…。」
 カイザスさんが肩をすくめて見せる。
 「どうして、そこまでわかるんですか?!」

 罠にはまったような気がしつつもついつい突っこんでしまう。
 「ふっふっふ、最近の私はしばしば『(混沌の神)ニャントロホテップの天啓』が降りてくるのだよ♪様々な情報(主に恋愛関連)も以前以上にバッチリなのさ♪」

 ニャントロホテップさん!もっと役に立つ方向に天啓を降ろしてください!!

 「あのう…。ひとつ気になったことがあるんだけど…。」
 アホな会話が続く中、ふと桜姫が真面目な顔になる。

 「皆さん、いずれは元の世界に帰られるのですよね。そうなった時にアナスタシアさんと巧人さんは引き離されるようなことにはならないのでしょうか?
 『似たような世界だけど同じとは限らない』と推測されてましたよね?」

 桜姫の言葉に僕とアナスタシアさんが文字通り凍りつく。
 「うわー!そうだ、どうしよう!!こうなったら、俺が巧人の世界に…。」
 「アナスタシア、落ち着くのだ。おそらく『全員円満解決』できる策がある。しばらく前から『ニャントロホテップ』と相談の上で、私は確信したのだ!」

 え?その策は本当に信頼できるのですよね…。

 「巧人の話によると、われわれの世界同様、N88星雲から来た巨大ヒーローザップマン、モンスターバスター達は存在していることは間違いない。
 そして、先日ニャントロホテップの天啓により、決定的な事実が判明した!
 諸君、これを見たまえ!」
 カイザスさんはいつものタブレットを取り出した。

 「これは『我々の世界の風流院高校の生徒名簿』だ!
 そして、巧人は巧人の世界同様に風流院高校2年星組に在籍している!
 つまり、われわれの世界と巧人の世界は全く同じか、パラレルワールドで間違いない!」

 「で、でも…。俺たちの世界に戻った時にその世界の巧人がいたら…。」
 アナスタシアさんが半分泣きそうな顔をされている…。

 「巧人の世界が私たちの世界と同じなら全然問題なしだが、『もう一人の巧人』が存在した場合は、この巧人に我々の世界に居ついてもらって、『もう一人の巧人』をこっちの巧人の世界に送ってしまえばいいのさ♪」
 「いや、それは『反則』じゃないのか?いくらなんでももう一人の巧人をだますような行動をとるのは…。」
 「もちろん、騙さない!いや、『事情を話して積極的に協力』してもらえばいいのさ♪
 『もう一人の巧人』に新しい世界に移るデメリットはない!
 お人よしの巧人は『我々の恋愛事情』を知れば、それだけでも協力してくれる可能性は高い。さらに、われわれから巧人に様々な『お土産(山吹色のお菓子)』を渡せば、関係者全員ウィンウィンだ!」
 カイザスさんが歯をキラッと光らせながら笑った。

 「…そんなにうまくいくのか?我々を迎えに来てくれた人がそのプランに協力してくれると思うか?」
 「アナスタシア。『私』が行方不明になっている状態で、『誰』が我々を迎えに来てくれると想像する?」
 「はっ!そうか、アルテアさんか!?」
 「そう、捜索の際、アナスタシアより私を特定する方がたやすいはず。つまり、私のことをよく知っており魔術の師匠にあたるアルテア師が迎えに来てくれるだろう。 
 その時に『巧人とアナスタシアが恋人関係で引き離すのに忍びない!』と私が訴えたら、アルテア師がどういう判断をされると思う?」
 「そ、そうか!あの人だったら、『それなら仕方ないですね♪私たちの世界の巧人さんの同意を取れたらその方法もありでしょう。』くらい、言ってくれそうだよね!!」
 アナスタシアさんの顔がぱっと明るくなる!
 いいの?そんな方法ありなの?!

 「さらに加えて、『子供でもできた』日にはこっちの巧人もアルテア師も『人道上の観点』からも積極的に協力してくれること間違いなし!!」
 カイザスさんが親指を立てて、ニカっと笑う。

 「そうか、子供を作ってしまえば絶対に賛成してくれるよな?!」
 アナスタシアさんも盛り上がっている……あの、アナスタシアさん?

 「そして、それはアナスタシアの双子の妹『エレーナ対策』にもなるはずだ。いくら『重度のシスコン』のエレーナでも『子供がいる仲睦まじい家庭』を壊そうとは思わないだろう。」
 「そうだな!すごくいいアイデアだ!さあ、巧人、早速……」

 言いかけてアナスタシアさんが止まった。
 早速……『何をする』ことになるのかアナスタシアさんが気づかれたようです…。
 …ボクデスカ…?。…ええと……『手を握る』関係からもう少し進展させていきたいと思います……。


~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 「そんなこんなで、私たちは海水浴に来ています♪」
 「カイザスさん、いつに間に水着を4人分用意してあったんですか?!」

 「ふっふっふ!こんなこともあろうかと、私の『モンスターバスター緊急4次元ケース』には様々な役に立つものが入っているのだよ!」
 いえ、緊急ケースにもう少し『役に立つもの』を入れておいてほしいのですが…。

 「…あの、あなたたちの世界の人達はこんな『破廉恥』なものを着て、海辺でみんなで楽しんでおられるのですか…。」
 水色のワンピースの水着を着ている桜姫が恥ずかしそうにされている。
 「それは、本当なんです。文化が違うとびっくりされますよね。」
 アナスタシアさんの言葉に桜姫はようやく納得されている。

 かくいうアナスタシアさんは『黒いビキニ』だ!よかった!生きててよかった!!

 「ほら、巧人!海水浴、来てよかったよね!」
 僕は青いサーフパンツを、カイザスさんはビキニパンツを履いている。
 カイザスさんは細マッチョだから、大丈夫だけど、僕はこれが精いっぱいかもしれません。

 「カイザスさん、恥ずかしいから、あまりこちらを見ないでくださいね。」
 桜姫が恥ずかしそうに言われる。
 「はっはっは、ご安心を!私が一番喜んで見ているのは『巧人の水着』です♪」

 五分後、カイザスさんは砂の中に埋められていた…。


 「さあ、お昼ご飯は砂浜でバーベキューしようか?」
 アナスタシアさんがイノシシと野菜の入った籠を担いで戻ってきた。

 「それ、どうやって調達されたんですか?」
 僕が目を点にしながら聞いてみる。

 「近くの森で『女神アテナの天啓』を受けて、イノシシを二匹ほど捕まえてね。
 一匹は近くの農家さんで野菜と交換したのさ♪」
 さすが、アナスタシアさん!でも、『天啓』の使い方を間違っておられますよね?


 僕たちはさらにバーベキューを楽しんだり、花火大会を楽しんだりした。
 その間、カイザスさん将軍と一緒に『夜の遊戯&舞踏会場』で散々踊りまくっていたらしい。

 そして、冒頭のシーン、『麦わら帽子、ランニングシャツを羽織り、草履をはき、虫かごと虫取り網を持った』カイザスさんのシーンに戻るわけです。

 ちなみに、カイザスさんの横に『同じ格好をした家々将軍』が立っておられることはここだけの話にしておいてください…。
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