7 / 10
第7話 かぐや猫
しおりを挟む
田舎の話です。ある日、おじいさんが、竹藪に竹の子を盗りに行くと、「ニャアニャア」猫の鳴き声が聞こえました。
「シー、静かにしろ」
誰かがくると、竹の子盗りがバレてしまいます。
おじいさんが言うと、「ニャアニャア」さらに鳴き声は大きくなりました。
(どこにいるんだ)
おじいさんが、辺りを見回すと、太い竹の切り株の中に、小さな子猫がいました。
「静かにしろ」
おじいさんは、ポケットの中から、ちくわを取り出し、子猫にあげました。
子猫は「ウニャウニャ」とうまそうにちくわを食べました。
竹の子を盗り終わり、おじいさんは竹藪を出ました。子猫が後をついてきました。
「こら、あっちへ行け」
おじいさんは、子猫を追い払おうとしましたが、子猫は家までついてきてしまいました。
「猫なんてつれてきて、どうするのさ」
おばあさんは、おじいさんに文句を言いました。
「早く、どこかへ捨てておいでよ」
おばあさんは、猫に興味はありませんでした。
おじいさんが、猫を段ボールに入れて、捨てに行こうとすると、たまたま通りかかった近所の人が子猫を見て言いました。
「これは、めづらしい猫だ。新種だったら、すごい高い値段で売れるかもしれないぞ」
それを聞いて、おじいさんとおばあさんは大喜びしました。
「これで年金生活からおさらばだ」
「温泉三昧だね」
そして、その子猫を「かぐや猫」と名付けて、家におくことにしました。
かぐや猫をSNSで紹介すると、大反響です。
かぐや猫は大きくなるにしたがって、たいそう美しくなりました。
そして年頃になると、「どうか、かぐや猫をお嫁さんにください」
という、若猫の飼い主がたくさんやってきました。中でも特に熱心な若猫が五匹いました。みんな、血統書付きの立派な猫でした。
飼い主たちは、高級猫缶や新発売の猫フーズを山のように持ってきました。猫ソファや猫トイレ、ペット可の高級旅館宿泊券、かぐや猫の部屋には、猫グッツの山ができていました。もらった猫缶は山のようにあり、一生かかっても食べ切れそうにありませんでした。
そんなある日、大金持ちと噂のユーチューバーが、
「ぜひ、かぐや猫を私に欲しい」とベンツに乗って、やってきました。
おじいさんとおばあさんは、大喜びです。
五人の飼い主とユーチューバーが揃いました。
六人は、それぞれ、自分こそ、かぐや姫を一番幸せにできる、と言いました。
六人は、大きな声で言い争いました。最後には殴り愛の喧嘩をしそうでした。
「それなら、かぐや猫にきめてもらおう」
ユーチューバーが言いました。
「それがいい」
五人の飼い主も言いました。
「かぐや猫を呼んでください。かぐや猫が「ゴロニャン」と鳴いた人を飼い主としましょう」
ユーチューバーは自信満々に言いました。ユーチューバーはまたたびを隠し持っていました。
「かぐや猫」
おじいさんが呼びました。
「にゃああん」
かぐや猫の声がしました。
「おお」
六人は、かぐや猫の部屋を見ました。
部屋のドアが開きました。
「にゃあああん」
かぐや猫が姿を現しました。
「あっ」
なんと、あれほど美しかったかぐや猫が、ただのデブ猫になっていました。もらった猫缶を食べ過ぎたのです。
「あああ」
六人は、がっかりして帰っていきました。
残ったのは、猫缶の山だけでした。おじいさんとおばあさんは、がっくりと肩をおとしました。かぐや猫を追い出す元気もなくしてしまいました。
きれいな満月が出ました。かぐや猫は、おきに入りの高級マグロホタテ添え猫缶を食べながら、月をみて、「にゃあああん」と満足そうに鳴きました。
「シー、静かにしろ」
誰かがくると、竹の子盗りがバレてしまいます。
おじいさんが言うと、「ニャアニャア」さらに鳴き声は大きくなりました。
(どこにいるんだ)
おじいさんが、辺りを見回すと、太い竹の切り株の中に、小さな子猫がいました。
「静かにしろ」
おじいさんは、ポケットの中から、ちくわを取り出し、子猫にあげました。
子猫は「ウニャウニャ」とうまそうにちくわを食べました。
竹の子を盗り終わり、おじいさんは竹藪を出ました。子猫が後をついてきました。
「こら、あっちへ行け」
おじいさんは、子猫を追い払おうとしましたが、子猫は家までついてきてしまいました。
「猫なんてつれてきて、どうするのさ」
おばあさんは、おじいさんに文句を言いました。
「早く、どこかへ捨てておいでよ」
おばあさんは、猫に興味はありませんでした。
おじいさんが、猫を段ボールに入れて、捨てに行こうとすると、たまたま通りかかった近所の人が子猫を見て言いました。
「これは、めづらしい猫だ。新種だったら、すごい高い値段で売れるかもしれないぞ」
それを聞いて、おじいさんとおばあさんは大喜びしました。
「これで年金生活からおさらばだ」
「温泉三昧だね」
そして、その子猫を「かぐや猫」と名付けて、家におくことにしました。
かぐや猫をSNSで紹介すると、大反響です。
かぐや猫は大きくなるにしたがって、たいそう美しくなりました。
そして年頃になると、「どうか、かぐや猫をお嫁さんにください」
という、若猫の飼い主がたくさんやってきました。中でも特に熱心な若猫が五匹いました。みんな、血統書付きの立派な猫でした。
飼い主たちは、高級猫缶や新発売の猫フーズを山のように持ってきました。猫ソファや猫トイレ、ペット可の高級旅館宿泊券、かぐや猫の部屋には、猫グッツの山ができていました。もらった猫缶は山のようにあり、一生かかっても食べ切れそうにありませんでした。
そんなある日、大金持ちと噂のユーチューバーが、
「ぜひ、かぐや猫を私に欲しい」とベンツに乗って、やってきました。
おじいさんとおばあさんは、大喜びです。
五人の飼い主とユーチューバーが揃いました。
六人は、それぞれ、自分こそ、かぐや姫を一番幸せにできる、と言いました。
六人は、大きな声で言い争いました。最後には殴り愛の喧嘩をしそうでした。
「それなら、かぐや猫にきめてもらおう」
ユーチューバーが言いました。
「それがいい」
五人の飼い主も言いました。
「かぐや猫を呼んでください。かぐや猫が「ゴロニャン」と鳴いた人を飼い主としましょう」
ユーチューバーは自信満々に言いました。ユーチューバーはまたたびを隠し持っていました。
「かぐや猫」
おじいさんが呼びました。
「にゃああん」
かぐや猫の声がしました。
「おお」
六人は、かぐや猫の部屋を見ました。
部屋のドアが開きました。
「にゃあああん」
かぐや猫が姿を現しました。
「あっ」
なんと、あれほど美しかったかぐや猫が、ただのデブ猫になっていました。もらった猫缶を食べ過ぎたのです。
「あああ」
六人は、がっかりして帰っていきました。
残ったのは、猫缶の山だけでした。おじいさんとおばあさんは、がっくりと肩をおとしました。かぐや猫を追い出す元気もなくしてしまいました。
きれいな満月が出ました。かぐや猫は、おきに入りの高級マグロホタテ添え猫缶を食べながら、月をみて、「にゃあああん」と満足そうに鳴きました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる