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第8話 魔法の歴史
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マリーは相変わらず悪い笑い方するなぁ。
「あれは【現代魔法】だよぉ。
サトノのためにぃ魔法の歴史を教えてあげよぉ。
昔は魔法なんて滅多に使えるものじゃなかった。
始まりはぁ【原初魔法】
才能ある者が直感に近い感覚でぇ使ってた。言葉や理論では現せない、奇跡だと。
次にその直感をより具体的にしたぁ【次代魔法】
魔法陣という形を与えることでぇ、魔法に形式が生まれた。炎を生み出すならこの文字と形を……てな具合に、魔力を練って描けば効果が得られる様にぃ。
これでごく一部の人だけが使っていた魔法が少ぉし世界に広まった。
でもぉ、これはこれで形式通りの魔力量と集中力、陣を完璧に覚えて間違えずに描く必要があるんだねぇ。
努力で魔法が使えるようになった、というのが正しいかもぉ。
そして今【現代魔法】
大きな戦争が切っ掛けでねぇ、魔法研究が進んだ。陣そのものの改良、新たな仕組み……それが詠唱陣。
次代魔法では兵全てに力を与えるのに時間が掛かりすぎる、そこで考えた。自前の魔力だけでなく周囲の自然魔力も取り込んで行えばどうだろう?
結果は成功、詠唱によって自然魔力と繋がりを作り、陣の展開も自然任せで半自動化したってわけ。
慣れれば詠唱破棄も可能。
ここまでで質問はあるかなぁ?先生がぁ何でも答えちゃう」
魔法に歴史があるとは面白い。
じゃあ私……もといサファンが使ってるのは直感的な【原初魔法】ってことか。
さっきの男は【現代魔法】、ハウラを含む城にいた人たちは魔法陣は出ていたから詠唱破棄ができていたってことかな。
魔力に関してはサファン記憶でわかる。
酸素の様にごく当たり前に世界に満ちているもの。
あまり実感は無いけれど、魔族は魔力の扱いに長けているとか。
不思議そうだったサファンは感心している様子。
「魔法がそんなに変わってるなんて驚き☆」
「結構重要な時代の変化の筈だけど……あんたの引きこもり度ヤバイよ?」
「書類は判子押すだけだったし、城内で詠唱してるのを聴かなかったからね☆」
「優秀な人達だけ集めてるんでしょうね」
とサファンの世間への無関心さに呆れつつ足元で眠る男に視線を落とす。
「詠唱といえば、この人が詠唱する時に変な音と重なってたよね。あれは何?」
田舎の祖母の家でよく聞いた、機械音のようなジーという音。
なんとかキリギリスって虫の鳴き声によく似ていた。
「あぁ、あれは【反詠唱歌】っていう詠唱消しの魔具の効果だねぇ。
戦争で魔法研究は発展したって言ったでしょぉ?戦争で使うとき、詠唱によって魔法の効果がバレちゃうのを防ぐために、こういう……」
マリーは番傘を畳んで男の腕を傘先で突いた。手首に橙色の石のついたブレスレットをつけている。
明らかな安物。
「使用者の声を相殺する魔具があるのよぉ。これはぁ量産品の安物、高価なものだと【反詠唱歌】の音も綺麗よぉ、オーダーメイドもできるしねぇ」
「安物かー、だから相殺しきれてなかったんだね」
「あら?」
マリーが首を傾げ、またニヤリと笑う。
「サトノはぁ詠唱が聴こえたのぉ?」
「重なってはいたけど、聞き分けられるくらい普通に、王子がナントカカントカ……?」
「私も聞き分けられるけど、サトノはサファンの身体だからかしらぁ。普通は完全に相殺されて聞こえないのよぉ。いくら安物でも相殺されないなんてことはあり得ないのぉ」
「因みに私も聴こえたよ☆」
「……永く生きてる人間には意味がないって噂は本当かもしれないわぁ」
旧い人間だからこそ何かあるのか。それとも持ち前の魔力に関係するのか。知識の量なのか、もっと本質的な部分なのか?
マリーはそんなことをぶつぶつと呟いて、またニヤリと笑った。
「ぶっちゃけ魔法研究は専門外っていうかぁ興味は薄い方だったんだけど、こう新しい発見があると興味が出てくるのは不思議よねぇ」
っていうか詠唱が聴こえるマリーも相当ってことなのは確か。
サファンとは久しぶりって喜んでたけど実際いつからの知り合いなのかわからない。
サファン記憶には抜けが多いというか、たぶんこれは永い時の中で薄れ、忘れられていったということかもしれない。
世界から置いていかれている。
永い永い時を城で引きこもってきた代償。
眠っている男をまた異空間に放り込んで、私達はまた先に進む。
「あれは【現代魔法】だよぉ。
サトノのためにぃ魔法の歴史を教えてあげよぉ。
昔は魔法なんて滅多に使えるものじゃなかった。
始まりはぁ【原初魔法】
才能ある者が直感に近い感覚でぇ使ってた。言葉や理論では現せない、奇跡だと。
次にその直感をより具体的にしたぁ【次代魔法】
魔法陣という形を与えることでぇ、魔法に形式が生まれた。炎を生み出すならこの文字と形を……てな具合に、魔力を練って描けば効果が得られる様にぃ。
これでごく一部の人だけが使っていた魔法が少ぉし世界に広まった。
でもぉ、これはこれで形式通りの魔力量と集中力、陣を完璧に覚えて間違えずに描く必要があるんだねぇ。
努力で魔法が使えるようになった、というのが正しいかもぉ。
そして今【現代魔法】
大きな戦争が切っ掛けでねぇ、魔法研究が進んだ。陣そのものの改良、新たな仕組み……それが詠唱陣。
次代魔法では兵全てに力を与えるのに時間が掛かりすぎる、そこで考えた。自前の魔力だけでなく周囲の自然魔力も取り込んで行えばどうだろう?
結果は成功、詠唱によって自然魔力と繋がりを作り、陣の展開も自然任せで半自動化したってわけ。
慣れれば詠唱破棄も可能。
ここまでで質問はあるかなぁ?先生がぁ何でも答えちゃう」
魔法に歴史があるとは面白い。
じゃあ私……もといサファンが使ってるのは直感的な【原初魔法】ってことか。
さっきの男は【現代魔法】、ハウラを含む城にいた人たちは魔法陣は出ていたから詠唱破棄ができていたってことかな。
魔力に関してはサファン記憶でわかる。
酸素の様にごく当たり前に世界に満ちているもの。
あまり実感は無いけれど、魔族は魔力の扱いに長けているとか。
不思議そうだったサファンは感心している様子。
「魔法がそんなに変わってるなんて驚き☆」
「結構重要な時代の変化の筈だけど……あんたの引きこもり度ヤバイよ?」
「書類は判子押すだけだったし、城内で詠唱してるのを聴かなかったからね☆」
「優秀な人達だけ集めてるんでしょうね」
とサファンの世間への無関心さに呆れつつ足元で眠る男に視線を落とす。
「詠唱といえば、この人が詠唱する時に変な音と重なってたよね。あれは何?」
田舎の祖母の家でよく聞いた、機械音のようなジーという音。
なんとかキリギリスって虫の鳴き声によく似ていた。
「あぁ、あれは【反詠唱歌】っていう詠唱消しの魔具の効果だねぇ。
戦争で魔法研究は発展したって言ったでしょぉ?戦争で使うとき、詠唱によって魔法の効果がバレちゃうのを防ぐために、こういう……」
マリーは番傘を畳んで男の腕を傘先で突いた。手首に橙色の石のついたブレスレットをつけている。
明らかな安物。
「使用者の声を相殺する魔具があるのよぉ。これはぁ量産品の安物、高価なものだと【反詠唱歌】の音も綺麗よぉ、オーダーメイドもできるしねぇ」
「安物かー、だから相殺しきれてなかったんだね」
「あら?」
マリーが首を傾げ、またニヤリと笑う。
「サトノはぁ詠唱が聴こえたのぉ?」
「重なってはいたけど、聞き分けられるくらい普通に、王子がナントカカントカ……?」
「私も聞き分けられるけど、サトノはサファンの身体だからかしらぁ。普通は完全に相殺されて聞こえないのよぉ。いくら安物でも相殺されないなんてことはあり得ないのぉ」
「因みに私も聴こえたよ☆」
「……永く生きてる人間には意味がないって噂は本当かもしれないわぁ」
旧い人間だからこそ何かあるのか。それとも持ち前の魔力に関係するのか。知識の量なのか、もっと本質的な部分なのか?
マリーはそんなことをぶつぶつと呟いて、またニヤリと笑った。
「ぶっちゃけ魔法研究は専門外っていうかぁ興味は薄い方だったんだけど、こう新しい発見があると興味が出てくるのは不思議よねぇ」
っていうか詠唱が聴こえるマリーも相当ってことなのは確か。
サファンとは久しぶりって喜んでたけど実際いつからの知り合いなのかわからない。
サファン記憶には抜けが多いというか、たぶんこれは永い時の中で薄れ、忘れられていったということかもしれない。
世界から置いていかれている。
永い永い時を城で引きこもってきた代償。
眠っている男をまた異空間に放り込んで、私達はまた先に進む。
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