キリの異世界探検( Kiri's Otherworldly Exploration)

無似死可

文字の大きさ
9 / 89
第1章 貴族編

8.キリの孤児院

しおりを挟む
 私は、ミユとのんびりした生活を楽しんでいた。ミユは、白魔導士として出来る事を行っており、充実しているようだ。私は、ミユの喜ぶ顔を見ていいるだけで、嬉しかった。

 でも、私も、何か、世の中に役立つことをしてみたくなった。そして、昔の事を思い出していた。そう、私がこの異世界に遣って来た時のことだ。

 勇者として、召喚されたのに、それを闇に葬られた。暴漢者たちに襲われた少女の身体を借りて、今の私がいる。確かに、神殿での神官たちの仕打ちには、腹立たしいが、その復習をしても何も得ることがない。それよりも、私の身体の持ち主の様な可哀そうな子供をなくす方が、この身体への恩返しではないだろうか?

 私は、生活に困っている子供たちが、楽しく生活できる場所を作ってみたくなった。

 「ねえ、ミユ、私、孤児院を作ってみたくなったの」

 「急に、どうしたの?」

 私は、これまで、姉のキリにさえ告げていなかった秘密をミユに話すことにした。

 「実は、私は、ミユと同じように、別の世界から、召喚されたの」

 ミユは、特にびっくりすることもなく、私の話を普通に聞いていた。

 「知っていたわよ」

 「えっ、どうして?」

 「同じ世界から来たことは、直ぐに分かったわ。キリの異常な魔法総量に、勇者の証である聖剣を使うことが出来ることからも、疑いようがないわ」

 「実は、それだけではないの。召喚された時は、以前の世界のままの姿で、年老いた老人だったの。それで、神官達がガッカリして、転生してしまったの。それで、今の身体になったのよ」

 「そうなの。でも、いいじゃない。キリが悪い訳じゃないから、それで、神官達に復讐するの?」

 「いいえ、それは、しないわ。私は、転生したときに路地に倒れていたの。それを姉のキリが助けてくれたの」

 「そうなの。それで、その身体の少女の記憶はあるの?」
 
 「元の少女は、もうほぼ死んでいたので、全く、その少女の記憶はないの。だから、私の記憶だけなの」

 「そうなの。可哀そうな子供だったのね」

 「そうなの。それで、そんな境遇の子供が少しでも減って欲しいから、孤児院を作って、保護したいの」

 「いいと思うわ。私も、応援するわ」

 「ありがとう」

 私は、今まで、秘密にしていたことをミユに打ち明けて、少しほっとした。そして、ミユが、今まで通り、接してくれることが、嬉しかった。

 魔法学院を卒業してから、時間だけが過ぎていく感じがしていたが、孤児院を作るという目的が出来て、なんだか、生きている感じがして来た。

 早速、動き出すことにした。まず、施設の確保だ。ローザにに思念伝達で、連絡を取った。
 
 「キリだけど、今、いいかしら?」

 「はい、何でしょうか?」

 「実は、孤児院を作って、生活に困っている子供たちを支援したいと思っているの。どこかにいい、土地はないかしら?」

 「それなら、治安は悪いですが、スラムになっている場所はどうでしょうか?」

 「それで、いいわ。直ぐに、買い取ってくれる」

 「はい。直ぐに手配します」

 暫くすると、ローザから、連絡が入ったので、直ぐに、転移魔法で、ローザの元に移動した。

 「ローザ、案内してくれる」

 「はい。こちらです」

 ローザは、細い路地を進んで行った。すると、表通りから、それほど、離れていないのに、寂れた家並みが現れた。もう、いつ崩れてもおかしくないような家ばかりだ。

 「 キリ、ここです。この辺りすべて、買い取りました」

 ローザが、指さしたところには、空屋が数軒立っていた。私は、土魔法で、建物を崩して、言われた場所一帯を5mほどの高い塀で取り囲んだ。そして、土地を平らにして、更地に変えた。

 「ローザ、この場所でいいのね」

 「はい、塀で囲まれた場所で、間違いありません」

 「ありがとう」

 「孤児も集めましょうか?」

 「お願いできる?」

 「はい、いいですよ」

 ローザと別れて、私は、更地の上に孤児院を作った。皆が一堂に集まれる講堂や食堂を作り、宿泊できる建物や学習ができる教室に、本を借りるための図書館を作った。

 私は、もう一度、ローザに思念伝達で、連絡を取った。

 「ローザ、もう一つ、お願いがあるの」

 「はい、何でしょうか?」

 「孤児院で、働いて貰える人を雇いたいの。住み込みが出来る人がいいわ。そして、子供が好きな人がいいわ」

 「はい、それは、もう、手配済みです。多分、必要だと思って、勝手に動きました」

 「ありがとう。それ以外にも、必要な事があれば、やってくれる?」

 「はい、大丈夫です。孤児院は、神殿の管轄なので、神殿にも、キリ商店として、申請済みです。許可も、下りています。と言っても、お布施次第なのですが」

 「いいわよ。費用は、いくらかかっても、構わないわ。でも、それは、別会計として管理しておいてね」

 「はい、分りました。また、時期を見て、報告させていただきます」

 私は、ローザとの思念伝達を切った。やっぱり、ローザに頼んで、良かったわ。でも、孤児院の許可を神殿で取らないといけないなんて、意外だわ。

 そういえば、治療するのも、神殿だったわね。この国がダメなのは、神殿がだめだからね。きっとそうよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...