キリの異世界探検( Kiri's Otherworldly Exploration)

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第3章 教会(陰謀)編

55.依頼者は?

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 私達は、魔人ビコニスを連れて、ギルド長と共に、馬車に乗り、依頼者の元へと移動していた。

 「ギルド長、もう、依頼者の名前を明かしてもいいのではないですか?」

 「そうだね。ここまで来たのだから、もういい頃だな。依頼してきたのは、神殿長のカヒトです」

 「そうですか。神殿長ですか」

 「ところで、神殿長は、魔人について、何か言っていましたか?」

 「いや、何も私は聞いていない。単に、村が襲われているので、冒険者を派遣してくれとだけ、頼まれたのだ」

 「そうですか。冒険者を派遣してくれと」

 「そうだ。それ以上のことは、聞いていない。また、必要だとも、思わなかったよ」

 「私が連れて来た魔人については、どう思いますか?」

 「どうって?」

 「つまり、村を襲ったように見えますか?」

 「そうだね。このように、凶暴な姿なので、襲いそうだけどね」

 「確かに、外見からだと、そのように思いますね」

 私は、依頼者の神殿長の所に着くまでに、出来れば、ギルド長を私の味方にしておきたかったが、どうも、無理そうだわ。

 遠くに神殿が見えて来た。いよいよ、神殿長と対面だ。

 私のことは、もう、知られていると思うけど、最初は、大人しくしておこう。

 馬車が神殿に到着した。入り口では、係の神官が待って居た。

 「冒険者ギルドのフェブリさんですね。ご案内します」

 私達は、神官の案内で、応接室に入って行った。勿論、魔人も一緒だ。

 「ようこそ。私は、神殿長のカヒトです」

 「私は、冒険者ギルドのフェブリです。そして、こちらが、今回の冒険者ギルドから派遣したパーティの代表のキリです」

 「初めまして、ホワイト ドラゴンのキリといいます」

 「それでは、まず、この魔人の事から、説明して貰えますか?」

 「それでは、私キリから、説明します」

 私は、ギルド長から依頼を受けた後の経緯を順に説明した。

 「なるほど、よく分かりました」

 神殿長は、経緯説明を聞いて、状況を理解したようだ。

 「それでは、この魔人をどのようにしたらいいですか?」

 私が、神殿長に尋ねた。

 「そうですね。村人が被害を被っていないようなら、冒険者ギルドにお任せします」

 「あの、神殿長、それでいいのですか?」

 「何か、問題でも?」

 「実は、経費の事ですが、依頼完了と考えていいですか?」

 「勿論、それで構いません」

 費用を負担してくれると聞いて、ギルド長は、安心したようだ。ギルド長が心配していたことは、依頼完了と認めて貰えないかもと考えた居たようだ。

 だが、神殿長の計画としては、失敗だと、私は、思った。神殿長の顔色は、変わらないが、どうも、機嫌は良くないようだ。

 「それでは、我々は、これで、失礼させて頂きます」 

 私が告げると、一瞬、神殿長がが私を睨んだように感じた。でも、気にせずに、応接室を出て、帰ろうとした。

 「ギルド長、少し、残って貰えますか?」

 「えっ、私だけですか?」

 「そうです。少し、話があります」

 ギルド長は、厭そうな顔をしたが、直ぐに、諦めたように下を見た。

 「それでは、ギルド長、お先です」

 私は、神殿長を残して、神殿の外に出た。乗って来た馬車は、ギルド長が使うだろうから、私達は、パープルの背に乗って、帰ることにした。

 「ねぇ、パープル、この魔人をどう思う?」
 
 「良い人、みたい」

 「そうでね。正直にすべて話してくれたものね」

 私は、隣で、拘束されている魔人を見ながら、どうしたらいいのか、まだ、迷っていた。

 「ねぇ、イニョウプス、これからどうしたい?」

 「まずは、この拘束を解いて貰いたい。いいかな?」

 私は、言われるままに、魔人イニョウプスの拘束を解いた。

 「これで、いいかしら?」

 「あぁ、ありがとう」

 「もう一度、聞くわ。これから、どうしたい?」

 「特に、希望は、ない。ただ、ダンジョンに戻る気もない」

 「でも、その身なりなら、人間と一緒に生活は、できないわよ」

 「そうだな。でも、俺は、変身できるぞ」

 「えっ、そうなの。やってみて!」

 魔人イニョウプスは、すぐさま、変身をした。

 「どうだ!」

 「すごい! すごいわ!」

 魔人イニョウプスは、ごく普通の人間の男の姿に変身していた。これなら、人間界でも、生活できるわ。

 「この変身は、いつまで、できるの?」

 「十分なマナがあれば、何時まででもできるぞ」

 「そうか。それなら、私の所で、働かない」

 「うん、働くとは、どういうことだ」

 「仕事をして、お金を貰うの」

 「お金、それを何に使うのだ」

 「あれ、イニョウプスは、お金をしらないの?」

 「いや、お金は、知っているぞ。だが、使ったことはない」

 「そうか。これまでは、必要なかったのか」

 「そうだ。使う必要がなかった」

 「欲しい物は、ないの?」

 「安心して寝る場所が欲しい」

 「それなら、用意するわ。それから?」

 「それ以外には、ない」

 「一つだけ、約束して欲しいの。人間に危害を加えないって」

 「あぁ、いいぞ。もともと、俺は、争いごとが嫌いだ」

 良かった。思ってた以上に、素直で、私は、安心した。暫くは、私の白の傍で、住んで貰うことにしようっと。
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