錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

文字の大きさ
21 / 270
 第3章 従魔編

302.従魔契約

しおりを挟む
 私は、スピアを連れて、冒険者ギルドに向かった。今日は、スピアの従魔登録をするつもりだ。

 冒険者ギルドに入ると、中は冒険者で溢れていた。依頼書の取り合いをしているようだ。

 できるだけ、効率の良い依頼を受けたいので、依頼書を張っているボードの前は、特に混雑している。

 「ボードの前は、非常に混雑しています。
 パーティーで来ている人は、代表者だけにしてください」

 ローララが、珍しく大きな声を出していた。受付はまだ、それほど、並んでいない。

 「ローララ、従魔登録したいんだけど」

 「はい、テラ。ワーキャットね。よく、従魔にできたわね」

 「うん。頑張ったよ」

 「それじゃ、これにサインしてね。それから、冒険者IDを貸してくれる」

 「はい、どうぞ」

 「次に、従魔の呼び名を書いてね。それから、従魔の血を取って、ここに押してね」

 どうやら、血判を押す様だ。私は、スピアの指を少しダガーで切って、出て来た血を書類に落とした。
 
 「これで、完成よ。それじゃ、従魔にこのIDをぶら下げておいてね」

 「ありがとう」

 ローララから貰ったIDをスピアの首にぶら下げてあげた。

 それから、スピアの装備を買いに出かけた。

 まずは、鍛冶屋に行って、武器を買う。私達は、近くの鍛冶屋に入っていった。

 「すみません」

 「はい、何でしょうか」

 「この、ワーキャット用の武器を買いたいのですが、お薦めはありませんか?」

 「そうですね。ワーキャットは、動きが素早いのが利点なので、重い武器は避けた方がいいですね。それに、強力な爪を持っているので、普通の剣も避けた方がいいですね」

 「それでは、何がいいですか?」

 「何がいいですかね?」

 「えーっと、お薦めは?」

 「だから、難しいね。何にする? 
 逆に、ワーキャットに何をして欲しい?」

 「そうですね。素早く、証拠品やドロップアイテムを集めて貰いたいですね。
 それから、野生の感があるので、遠方からの攻撃ですかね」

 「それなら、装備は革の物を選ぶといいですね。武器は、短弓ですね。長いと動きの邪魔になるので」
 
 「それなら、そこの短弓とそれに合った弓を下さい」

 「はい、これでいいですか?」

 「これで、清算してください」

 私は、冒険者IDを渡して、清算した。

 「近くに、革の装備を売っている所はありませんか?」

 「ここの通りの外れに、革細工師の店がある」

 「ありがとう」

 私達は、鍛冶屋を出て、通りの外れにある寂れた家に入っていった。
 
 「すみません。革の装備を買いに来ました」

 「好きな物を持っていけ」

 「えっ、お金は?」

 「適当に置いとけ」

 「いいんですか?」

 「うるさい。黙っていろ」

 店の中はごちゃごちゃしていて、どれが商品か、よく分からない。

 スキル鑑定で、ましな物を探した。すると、机の下に掘り出し物があった。

 革で作った防具一式だ。しかも、特級品だ。どうして、こんな高価な物がここにあるのか、不思議だ。しかし、その防具一式は、薄汚れていて、どう見ても、特級品に見えなかった。そのせいだろう、誰も買おうとしなかったのだと思った。

 「この机の下の防具一式を貰っていくね。お金は、金貨20枚置いとくよ」

 「おい、お前、今なんて言った」

 「金貨20枚じゃ足らないの?」

 「金なんか、どうでもいい。何故、その汚い防具を選んだんだ」

 「何故って、これが気に入っただけだよ」

 「だから、何故、気に入ったんだ」

 「理由なんて、ないよ」

 「この野郎。俺が酔っていると思っているな」

 「えっ、酔っていないの」

 「酔っているよ。酔わずにいられるか」

 「それはどうも、それで、この防具は買ってもいいの。ダメなの。どっち?」

 「だから、金の問題じゃないって言っているだろう」

 「だったら、何が問題なの?」

 「お前、時間はあるか?」

 「酔っぱらいの相手をするほど、暇じゃないけどね。少しぐらいなら、付き合うよ」

 「実は、わしも、以前は、立派な店で働いていたんだ。その店では一番の職人だったんだ」

 「へぇー、さっきの防具は、酔っぱらいが創ったの?」

 「酔っぱらいと言うな、コプトという名がある」

 「それで、こんな立派な防具を創れる革細工師がどうして、昼間から、酔っぱらっているの?」

 「その店の店主がまがい物を高値で貴族に売っていたから、意見したんだ」

 「そうなんだ。りっぱだよ」

 「でも、それで、店を追い出されて、挙句の果てが、おれの商売の邪魔をしたんだ」

 「どんなにいい物を作っても、俺の物をまがい物だと言い張る貴族がいて、だれも、俺の物を買わなくなってしまった」

 「いくら、俺が良い物だと説明しても、無駄だった。誰も、本物を見抜くことができない。
 諦めて、俺は、昼間から、酒を飲む、酔っぱらいになってしまった」

 「そうか、大変だったね。でも、お酒を飲んで、良くなるの?」
 
 「わかっているよ。よくなんか、なるわけないよ。分かっちゃいるんだよ」

 「それなら、もう一度、頑張ったら?」

 「そうだね。って、お前、子供だろう、偉そうに」

 「でも、酔っぱらいのコプトより、偉いと思うよ。これでも、冒険者だよ」

 「そうだな。お前の言うとおりだな。ところで、お前の横にいるのは、お前のお母さんか?」

 「そんなわけないでしょ。目も悪いの? スピアは、私の従魔よ」

 「そうか、大したものだな。りっぱだよ。
 お前と話せて、すっきりしたよ。もう一度、頑張ってみるよ」

 「それじゃ、これ、貰っていくね。また、来るよ。バイバイ」

 革細工職人の家を出て、また、店の地下に転移魔法で移動した。

 買って来た装備一式を光魔法で、クリーンにしてから、スピアに着せてみた。

 「スピア、似合っているよ。かわいいよ!」

 「うん。スピア、かわいい」

 色んな店に行って、今日は疲れてしまった。

 私は、スピアに添い寝をしてもらい、ベッドで寝てしまった。スピアのふさふさの尻尾が気持ちいい。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...