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第9章 リザードマン編
905.2回目の航海
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シロッコスに、戦士を20名選んで貰った。
私達は、アストーリア大陸への航海を開始するつもりだ。そのために、船でやって来たシロッコス達に助けて貰おうと考えた。
「テラ、選んできました」
「ありがとう。シロッコス、これから、アストーリア大陸に向けて、出発するわよ」
「みんなで、進む方向を教えます」
「よろしくね」
私は、風魔法で帆に勢いよく風を当てて、船を進めた。徐々に風を強くして、速度を増していった。
帆の方は、闇魔法で、強化しているので、かなり強い風に対しても、問題なく、風を受けている。
更に速度を上げた。以前、聞いた話では、約1週間は、かかるということなので、もっと、スピードを出した方が良いかもしれない。
「シロッコス、方角に間違いはないかしら」
「はい、大丈夫です。この方角です。他の者も確認していますので、安心してください」
「それじゃ、もっと、スピードを出すよ。しっかり、どこかに掴まっていてね」
「「はい」」
これまでの5倍の速度で、進める様に風魔法で起こす風を強めた。もう、まるで、台風の中にいるようだ。おそらく、通常の船の20倍の速度をだしていると思う。
「ゴーン、ガッ、ガッ、ガッ」
「あれ、急に速度が落ちたね。それに、変な音が鳴ってるよ」
「テラ、大陸に違付きました。この氷がその証拠です。大陸は、氷に囲まれています」
「そうなんだ。これじゃ、進めないね」
「どうします。以前乗った船では、この氷を割りながら進んでいました。でも、かなり苦労していました」
「この氷は、どれぐらい続くのかしら」
「そんなに、長くはありません」
「氷が厚くなれば、その上を歩けますから」
「あっ、そうか、氷の上って、歩けるんだ」
「そうですよ。今は、氷の厚みが10cmぐらいですけど、50cmにもなれば、陸のようなものですよ」
「それで、街か、村のある方向は、どっちかな?」
「このまま、まっすぐで、大丈夫です」
「それじゃ、頑張って、氷を割っていくよ」
私は、風魔法で、氷を割って、海面が見えるようにしながら、船を進めて行った。
「テラ、もう、大丈夫ですよ。上陸できます」
ミーヤ国がどのような方法で、氷を割っているのか、分からない。しかし、少し苦労したけど、何とか上陸できたので、良しとしよう。
ミーヤ国の船が出入りしている港は、もっと、南にあるらしい。そちらは、氷も薄く進みやすいが、ミーヤ国からの距離が長くなってしまうようだ。かなりの迂回ルートらしい。
今回の、私達のルートは、最短ルートに近いようだ。ほぼ、一直線に進んで来たようだ。だけど、その分、氷が厚かったようだ。
私達は、船の見張りとして、兵士の10名を残して、村に向けて出発した。
シロッコスは、キャメールという名の村の出身だ。この村は、リザードマンだけで生活している。だから、奴隷はいない。だが、氷の世界での生活は簡単ではない。出来れば、もっと、温かい土地に移住したいと考えているようだ。
キャメール村の主な収入源は漁業だ。少し、変わった魚とかが人気らしい。それ以外には、動物の皮革や毛皮製品も輸出しているようだ。ただ、寒い所に住んでいる動物を狩って、皮をなめして製品にするので、かなり手間がかかる割に安い価格でしか、売れないようだ。
シロッコスが、村長と話して、移住しないかと、説得したが、なかなか、うんと言わない。年寄りにとって、住み慣れた土地を離れることは出来ないことの様だ。シロッコスの両親ですら、了承してくれない。
「シロッコス、移住はなかなか難しいようだね」
「はい、色々と説得したのですが、だめですね」
「それなら、家族旅行と言ったらどうかな。1週間だけ、家族でヤガータ国に旅行するって、言ってみて。旅費は、私が出すから、遠慮しないでね」
「テラ、名案です。一度、言ってみます」
シロッコスは、すぐに、両親に話に行った。今度は、すぐに、了承してもらったようだ。一緒に、兄弟や親戚も行きたいと言っているらしい。
私は、シロッコスに、「親戚でも知人でも誰でもいいよ」って、言っておいた。
最終的には、かなりの人数になった。村の8割以上の人数の旅行団になった。出発は、準備もあるだろうから、2日後に設定した。
旅行当日になった。大勢の人が、大きな荷物を持って、船の前に行列を作った。
私は、1家族に1個のアイテムボックスを渡して、荷物をその中に入れる様に言った。というのも、船の中の部屋は、そんなに広くないからだ。
「皆さん、乗りましたか?周りの人を確認してください。全員いますね」
シロッコスが、手で合図を送って来た。大丈夫ですって、ことだな。
「それでは、出発します。出航!」
私は、風魔法で、ゆっくりと船が進んで行くように、風を起こした。
船が、氷を割って、進んで行く。大きな氷は、予め風魔法で、ばらばらにしておいた。
氷の層も薄く成って来たので、風を少し大きくした。
氷がほとんど気にならなくなったので、更に、風を大きくして、速度を上げた。でも、年寄りも乗っているので、ほどほどのスピードにした。通常のスピードの10倍ほどで、後は、一定の速度で進んで行った。今日1日は、船内で過ごしてもらい。明日の朝には、ヤガータ国の港に着いているだろう。
私も、スピアと一緒に、寝ることにした。後は、シロッコスに任そうと思って、声を掛けた。
「私も、スピアと一緒に寝るけど、いいかな?」
「風は?」
「あっ、そうか。私が、風を起こしていたんだ。シロッコスは、風魔法が使えない?」
「魔法は、火魔法だけです。魔力はあるのですが、風魔法は、使ったことがないです」
「そうか。それなら、これでどうかな」
私は、帆の後ろに魔方陣を描いて、それに魔石を接続した。
「シロッコス、見ていてね。ここに、魔力を注ぐと、風魔法が起動するの。やってみて」
「はい、魔力を注ぐ、おぉー。風が起こりました」
「それで、推進力になるよ。後は、舵を切るだけだよ」
「何とか、やれそうです。もし、トラブルが起こったら、起こしに行きます」
「そうしてくれる」
「はい、おやすみなさい」
少し、不安だが、スピアが待っているので、急いで、部屋に行った。おやすみなさい。
私達は、アストーリア大陸への航海を開始するつもりだ。そのために、船でやって来たシロッコス達に助けて貰おうと考えた。
「テラ、選んできました」
「ありがとう。シロッコス、これから、アストーリア大陸に向けて、出発するわよ」
「みんなで、進む方向を教えます」
「よろしくね」
私は、風魔法で帆に勢いよく風を当てて、船を進めた。徐々に風を強くして、速度を増していった。
帆の方は、闇魔法で、強化しているので、かなり強い風に対しても、問題なく、風を受けている。
更に速度を上げた。以前、聞いた話では、約1週間は、かかるということなので、もっと、スピードを出した方が良いかもしれない。
「シロッコス、方角に間違いはないかしら」
「はい、大丈夫です。この方角です。他の者も確認していますので、安心してください」
「それじゃ、もっと、スピードを出すよ。しっかり、どこかに掴まっていてね」
「「はい」」
これまでの5倍の速度で、進める様に風魔法で起こす風を強めた。もう、まるで、台風の中にいるようだ。おそらく、通常の船の20倍の速度をだしていると思う。
「ゴーン、ガッ、ガッ、ガッ」
「あれ、急に速度が落ちたね。それに、変な音が鳴ってるよ」
「テラ、大陸に違付きました。この氷がその証拠です。大陸は、氷に囲まれています」
「そうなんだ。これじゃ、進めないね」
「どうします。以前乗った船では、この氷を割りながら進んでいました。でも、かなり苦労していました」
「この氷は、どれぐらい続くのかしら」
「そんなに、長くはありません」
「氷が厚くなれば、その上を歩けますから」
「あっ、そうか、氷の上って、歩けるんだ」
「そうですよ。今は、氷の厚みが10cmぐらいですけど、50cmにもなれば、陸のようなものですよ」
「それで、街か、村のある方向は、どっちかな?」
「このまま、まっすぐで、大丈夫です」
「それじゃ、頑張って、氷を割っていくよ」
私は、風魔法で、氷を割って、海面が見えるようにしながら、船を進めて行った。
「テラ、もう、大丈夫ですよ。上陸できます」
ミーヤ国がどのような方法で、氷を割っているのか、分からない。しかし、少し苦労したけど、何とか上陸できたので、良しとしよう。
ミーヤ国の船が出入りしている港は、もっと、南にあるらしい。そちらは、氷も薄く進みやすいが、ミーヤ国からの距離が長くなってしまうようだ。かなりの迂回ルートらしい。
今回の、私達のルートは、最短ルートに近いようだ。ほぼ、一直線に進んで来たようだ。だけど、その分、氷が厚かったようだ。
私達は、船の見張りとして、兵士の10名を残して、村に向けて出発した。
シロッコスは、キャメールという名の村の出身だ。この村は、リザードマンだけで生活している。だから、奴隷はいない。だが、氷の世界での生活は簡単ではない。出来れば、もっと、温かい土地に移住したいと考えているようだ。
キャメール村の主な収入源は漁業だ。少し、変わった魚とかが人気らしい。それ以外には、動物の皮革や毛皮製品も輸出しているようだ。ただ、寒い所に住んでいる動物を狩って、皮をなめして製品にするので、かなり手間がかかる割に安い価格でしか、売れないようだ。
シロッコスが、村長と話して、移住しないかと、説得したが、なかなか、うんと言わない。年寄りにとって、住み慣れた土地を離れることは出来ないことの様だ。シロッコスの両親ですら、了承してくれない。
「シロッコス、移住はなかなか難しいようだね」
「はい、色々と説得したのですが、だめですね」
「それなら、家族旅行と言ったらどうかな。1週間だけ、家族でヤガータ国に旅行するって、言ってみて。旅費は、私が出すから、遠慮しないでね」
「テラ、名案です。一度、言ってみます」
シロッコスは、すぐに、両親に話に行った。今度は、すぐに、了承してもらったようだ。一緒に、兄弟や親戚も行きたいと言っているらしい。
私は、シロッコスに、「親戚でも知人でも誰でもいいよ」って、言っておいた。
最終的には、かなりの人数になった。村の8割以上の人数の旅行団になった。出発は、準備もあるだろうから、2日後に設定した。
旅行当日になった。大勢の人が、大きな荷物を持って、船の前に行列を作った。
私は、1家族に1個のアイテムボックスを渡して、荷物をその中に入れる様に言った。というのも、船の中の部屋は、そんなに広くないからだ。
「皆さん、乗りましたか?周りの人を確認してください。全員いますね」
シロッコスが、手で合図を送って来た。大丈夫ですって、ことだな。
「それでは、出発します。出航!」
私は、風魔法で、ゆっくりと船が進んで行くように、風を起こした。
船が、氷を割って、進んで行く。大きな氷は、予め風魔法で、ばらばらにしておいた。
氷の層も薄く成って来たので、風を少し大きくした。
氷がほとんど気にならなくなったので、更に、風を大きくして、速度を上げた。でも、年寄りも乗っているので、ほどほどのスピードにした。通常のスピードの10倍ほどで、後は、一定の速度で進んで行った。今日1日は、船内で過ごしてもらい。明日の朝には、ヤガータ国の港に着いているだろう。
私も、スピアと一緒に、寝ることにした。後は、シロッコスに任そうと思って、声を掛けた。
「私も、スピアと一緒に寝るけど、いいかな?」
「風は?」
「あっ、そうか。私が、風を起こしていたんだ。シロッコスは、風魔法が使えない?」
「魔法は、火魔法だけです。魔力はあるのですが、風魔法は、使ったことがないです」
「そうか。それなら、これでどうかな」
私は、帆の後ろに魔方陣を描いて、それに魔石を接続した。
「シロッコス、見ていてね。ここに、魔力を注ぐと、風魔法が起動するの。やってみて」
「はい、魔力を注ぐ、おぉー。風が起こりました」
「それで、推進力になるよ。後は、舵を切るだけだよ」
「何とか、やれそうです。もし、トラブルが起こったら、起こしに行きます」
「そうしてくれる」
「はい、おやすみなさい」
少し、不安だが、スピアが待っているので、急いで、部屋に行った。おやすみなさい。
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