錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

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 第12章 魔法学院(見学)編

1206.テラの授業参観

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 そろそろ、戦いが始まりそうだ。しっかり、準備しないと大勢の人が死んでしまう。

 「スピア、もう、戦争が始まりそうなんだ。そこで、スピアの仲間に助けて欲しい。申し訳ないけど、スピアが全世界を回って、最終的に集めて来てくれないか?」

 「うん、いいよ。思念伝達も、使う」

 「いいよ、お願いね」

 「うん。テラ、バイバイ。行くよ」

 私は、スピアの頭を撫でてあげた。嬉しそうに、出発していった。

 今日は、午前中に授業が一つあるだけだった。ミュー先生の初級光魔法の講座だ。ミュー先生に担任もやって貰っているので、しっかり、授業に専念するつもりだ。

 ミュー先生が、教室に入って来た。今日は、患者を3人連れてきている。患者の付き添いに兵士が6人いる。患者も、兵士かもしれないね。

 「今日は、兵士の方のお手伝い願って、光魔法による治癒魔法の訓練をやっていきます。
 今日は、初めての人を優先して、魔法の起動を行って貰います。
 希望する人はいませんか?」

 レイカが真っ先に手を挙げた。これは、どちらなのか、分からない。ルカも、オウカも、手をあげない。指名されるまで、待つつもりの様だ。

 「他に居ませんか?」

 ミュー先生が再度、尋ねた。仕方がないので、私が手を挙げた。

 「わかりました。それでは、まず、レイカにやって貰いますね」

 レイカは、最初の患者の前に立って、患者の様子をしっかりと、観察していた。最初の患者は、身体の至る所に包帯を巻かれており、酷い外傷があるようだ。

 「傷よ治れ。治癒魔法ヒール

 レイカの魔法が起動された。患者を光が取り囲み、傷が癒されていくようだ。だが、患者の苦痛の表情は変わらない。おそらく、外傷だけでなかったのだろう。

 「傷よ治れ。治癒魔法ヒール

 レイカは、再度、同じ魔法を掛けた。しかし、全く同じだった。レイカは、何か、見落としたようだ。

 「もういいわ。レイカ、下がりなさい。それでは、ルカ、あなたがやってみなさい」

 「ミュー先生、私には無理です。どこが悪いか、わかりません」

 「見て分からなければ、どうしたらいいの? 少しは、考えなさい」

 「はい、すみません。患者に聞きます」

 「それなら、始めなさい」

 ルカは、患者にどこが悪いのか聞いている。しかし、患者も分からないと言っている。擦り傷や骨折などの怪我は、もう、治っているが、まだ、身体中が痛いらしい。

 どうも、ルカは、スキル鑑定が出来ないようだ。それは、レイカも同じだ。

 「最後に、オウカ、やってみなさい」

 オウカが、患者の前に立って、暫く、患者を見つめていた。そして、魔法を起動した。
 
 「熱よ去れ。治癒魔法ヒール

 患者は、少し良くなったようだ。しかし、完治したわけではない。

 私は、スキル鑑定で、病名を調べてみた。すると、インフルエンザに罹っているようだ。

 この時代では、多分治せないだろう。そうすると、対症療法をするしかない。その一つは、今、オウカが行った、熱を下げることだ。後は、咳・痰の処理か、肺自体の炎症を取り除くしかなさそうだ。

 「はい、いいですよ。だいぶ、良くなったようです。後は、十分な栄養を取って、しっかり、休むことですね」

 最初の患者は、そのまま兵士に連れられて、教室から出て行った。あれ、ミュー先生は、治療しないのかな?

 「それでは、次の患者を診てください。では、誰が治療しますか?」

 また、レイカが手を挙げている。よく見れば、また、ルカもオウカも手を挙げていない。仕方がないので、私が手を挙げた。

 「では、レイカ、やってみなさい」

 今度の患者は、外傷がないようだ。でも、身体が動かないようだ。麻痺しているように見える。

 「麻痺よ治れ。治癒魔法ヒール」 

 少しは、効いたようだが、身体が動く様子はない。失敗の様だ。私は、また、スキル鑑定で、病名を調べてみた。すると、脳出血だった。脳の血管が裂けて出血した血が貯まり、麻痺を起こしているようだ。

 これでは、一時的な麻痺の緩和で、全く効かない。

 「では、ルカ、やってみなさい」

 「できません」

 「それでは、オウカ、やってみなさい」

 「私も、分かりません」

 「仕方がないですね。私がやりましょう」

 ミュー先生は、脳内の血管からの出血を塞ぎ、血の塊を消去した。すると、患者の顔色は良くなり、手・足が動き始めた。治ったようだ。しかし、これは、一時的な治療だ。また、再発するだろう。

 「では、最後の患者ですね。今度は、ルカから始めなさい」

 「私ですか。私は、無理です。どんな、病気か、分かりません」

 「仕方がないですね。それでは、オウカ、お願いします」

 「ミュー先生は、無理ばかり言っています。どんな、病気か全く見当もつきません」

 最後の患者は、病人ではなった。健康な人が嘘をついているだけだ。仮病という、病気だ。

 「それでは、今日の授業は、此処までにします」

 「ミュー先生、私は、どうして、無視されるの?」
 
 私は、独り言を呟いた。

 ミュー先生は、黙って、教室を出て行った。

 「あれ、また、何かやってしまったかな? 
 ねえ、なぜ、ミュー先生は、怒っているの?」

 「あれ、テラの声が聞こえるよ」

 しまった、隠密魔法を掛けていた。私は、こっそりと、教室を出て行った。
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