錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

文字の大きさ
185 / 270
 第22章 ショーバェ編

2202.ショーバェへの依頼

しおりを挟む
 私が街中に新たに秘密の隠れ家を作ったのには、いくつか、理由がある。一つは、ミューを見られたくないということだ。私が、ミューと関わっていることは、レイカやガーベラには、知られたくなかった。

 私が、ミューとは、大人の関係だと言っても、理解して貰えないだろうから。

 それと、もう一つは、これからの世界で起こる色々な災害に対する研究を独自に行いたいからだ。

 もっとも、大きいのは、未知の研究で、多くの者を危険にさらしたくなかった。だから、少人数での研究を選んだ。そして、人の出入りを極力避けたかった。

 でも、これを決断できたのは、あのショーバェの存在だ。あの子は、思ったいた以上に優秀だ。おそらく、この分野での最先端の研究が出来る人物だろう。その子に、よりよい環境を与えたかった。それも、優遇されていることを気づかさずに行いたかった。精神的な負担や圧力を感じさせたくなかった。

 私は、屋敷に出入口を一つ追加した。それに、闇魔法で、バリアを張り、特殊な人物だけが出入りできるようにした。つまり、ショーバェの関係者だけが出入りできる。また、見ることができるのも、ショーバェの関係者だけにした。それを屋敷の裏側に作った。

 ショーバェがリンダに連れられてやって来た。

 「リンダさん、ご苦労様です」

 「ショーバェの両親も許してくれたわ。少し、過保護な親だったよ」

 「まあ、可愛い子を手元から放したく、なかったんだろうね」

 「そういうことね。私は、もう、行くよ」

 「そう、急がなくてもいいのに」

 「本当? この屋敷は、ちょっと、怪しいよ。どうして、私に探させなかったの?」

 「えっ、それは、リンダさんが、忙しいと思ったんだ。それだけだよ」

 「まあ、いいわ。あまり、私にここに来てもらいたくないみたいだけど、それは、聞かないわ」

 「ありがとう。それじゃ、また」

 リンダは、何かに気付いたようだが、まあ、秘密にしてくれるだろう。

 私は、ショーバェに、屋敷への出入口を教えて、地下へと一緒に入って行った。

 「ショーバェ、何か、必要な物があれば、言ってね。直ぐに揃えるから」

 「はい。わかりました。まず、何から始めたらいいですか」
 
 「まずは、病気の原因がはっきり分かったものについてだけど、『バルファ・フェルレ』というキーワードで、資料を整理して欲しい」

 「それは、何ですか?」

 「それも含めて、整理して欲しい。ショーバェが理解できるまで、研究してくれるかな?」

 「はい、わかりました。その単語だけで、いいのですか?」

 「いや、まだあるよ。後は、『アンチ・ビオテス』と『イプセ』についても、同じように研究してくれるかな?」

 「はい、わかりました。それから、ここにある、機器等はどうするのですか?」

 「資料が整理出来たら、報告書に書かれていることの復元性を調べて欲しい。そのための機器だよ」

 「報告書に書かれていることを私が検証していくということですか?」

 「そうだよ。それに関して、必要な物は、何でも、用意するから、言ってくれ。それから、人材についても、同様にできるだけのことをするから、遠慮はするな」

 「はい、わかりました。これから、取り掛かります」

 「そう、そう、ショーバェにも、思念伝達を教えておこう。何か、急な連絡事項があったら、これを使ってくれ」

 私は、思念伝達用の神具をショーバェに渡して、使い方を説明した。ショーバェは、直ぐに理解し、使える様になった。

 ショーバェには、言わなかったが、『バルファ・フェルレ』は、今の細菌のことで、『アンチ・ビオテス』は、今の抗生物質のような物だ。そして、『イプセ』で、今のクローン技術の事だ。

 私は、ショーバェと別れて、ミューの部屋に転移魔法で移動した。

 ミューは、最近、ベッドで、気怠そうに寝ていることが多い。今日も、ベッドで寝ている。

 私は、ベッドのミューを抱きしめて、囁いた。

 「私の為に、働いてくれないか?」

 「いいわよ。ムーンの願いなら、何でも叶えるわ」

 「ありがとう」

 私は、ミューにカネーダを操って貰いたかった。そして、ミューなら、出来ると信じている。

 私が直接暗示を掛けてもいいのだが、私の存在を不用意に知らせたくなかった。そのため、ミューをおとりに使うことにした。

 「ミューは、今の香水をラベンダーの香りに変えてくれないか?」

 「いいわよ。ムーンは、レベンダーの香りが好きなの?」

 「そうだ。好きな香りだ。ミューがその香りで包まれたら、もっと、愛してあげるよ」

 「本当? もっと、愛してくれる?」

 「そうだよ。今以上に愛してあげるよ」

 「わかったわ。直ぐに買うわ。ラベンダーの香りね。わかったわ」

 私は、ミューの柔らかな身体を確かめる様に、二の腕から、脹脛にいたるまで、一つずつ、確かめて行った。それを、何度も繰り返して、朝まで、ミューと過ごした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...