錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

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 第27章 ソーロン帝国の秘密編

2718.黒死病の恐怖

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  竜人達の魔大陸への侵攻を監視して貰っていたマリーから、思念伝達で、連絡が入った。

 「ムーン様、マリーです」

 「ご苦労」

 「今、竜人軍がソーロン帝国の遺跡に到着しました」

 「いよいよ始まったか」

 「魔大陸への転移魔法陣に魔力を込めています」

 「あの魔法陣を起動させるのには、多大な魔力量が必要だ。たとえ、竜人と言えども、直ぐには、起動できないだろう」

 「ムーン様、たった、1人で、魔法陣の軌道に必要な魔力を込めてしまったようです」

 「本当か? 凄い魔力量だな」

 「はい。おそらく、何度でも、起動できそうです」

 「そうか。それなら、大人数の竜人軍も素早く魔大陸に移動できそうだな」

 「はい、そうのようです」
 
 「今、第2陣が移動を始めました」

 「マリー、旨く、紛れそうか?」

 「竜人達に続いて、魔人達や魔物達も転移しています。それでは、私達も、紛れて転移します。ムーン様、一旦、思念伝達での連絡を切ります」
 
 「無理をするなよ」

 「はい」

 いよいよ竜人軍の魔大陸への侵攻が始まった。魔大陸の魔力濃度が高くなっている。いつ魔火山が噴火してもおかしくない状態になっている。私は、少しでも、魔火山の噴火を遅らせるためにも、この世界の不安を取り除いていきたい。そこで、街の中の人々の隔離を急ぐことにした。

 暫くして、アンジから思念伝達で、連絡が入った。

 「ムーン、リンダから連絡を貰いました」

 「そうか、よろしく頼む」

 「今、防護服なども到着したので、装備を整えて、直ぐに、そちらに合流します」

 「わかった。それから、隔離利用の土地は確保できたか?」

 「はい。大丈夫です。すでに、確保済みです」

 私は、アンジに教えて貰った場所に移動して、核利用の施設を土魔法で、作っていった。そして、それらの施設を光魔法で、防御して黒死病の菌が外に漏れて行かないようにした。

 「ムーン、今、到着しました」

 振り返ると、アンジたちが、防護服に覆われて、こちらに向かった来ている。

 「思ったより、早かったね」

 「できるだけ、急ぎました。何から、始めればいいですか?」

 「まずは、患者を分類して、隔離して貰えるかな?」

 「はい。分かりました」

 アンジは、素早く、部下に指示をして、私の指示を伝えていった。

 「ムーン、それから?」

 「アンジ達は治療用に神具を使えるのかな?」

 「はい、大丈夫です。リンダから、話を聞いているので、神具を使える者を連れてきています」

 「それでは、治療を始めてくれ。それから、リンダに他の国のテラ・ワールドの支店の状況をまとめるように、連絡を入れておいてくれ」

 「はい、分りました」

 私は、アンジと別れて、再度、街の中を調査することにした。最初にもう一度、冒険者ギルドに行って、冒険者の様子を確認することにした。私は、転移魔法で、冒険者ギルドの裏手に移動してから、冒険者ギルドに入って行った。前に、冒険者をベッドに寝かしたのだが、もう、起き上がっているようだ。ベッドには、誰も寝ていなかった。

 「こんにちは! 誰かいませんか?」

 「誰だ! 何の用だ!」

 2階から、誰かが怒鳴っている。どうも、2階には、大勢の冒険者が集まっているようだ。

 「私は、ムーンと言います。今回の病気は、黒死病が原因です。私は、黒死病を治療師に来ました」

 「ムーンと言ったか。直ぐに、2階へ上がってきてくれ」

 「はい」

 私は、言われたまま2階へと駆け上がって行った。底には、大勢の冒険者が集まって、会議をしているようだ。少なくとも、20人は、いるだろう。

 「もう一度、何しに来たかを説明してくれ。私は、この街の冒険者ギルド長のシーシオという」

 「私は、ムーンといいます。先日まで、ミヤーコ王国で黒死病の対応をしていました。このアータキ国からは、正式に依頼はなかったのですが、様子を見に来たら、既に、感染が広がっていることを知りました。そこで、治療を開始していたところです」

 「すると、この国でもアータキ国と同様に、対処できるのか?」

 「はい、大丈夫です。既に、テラ・ワールドの支店の協力を得て、治療を開始しています」

 「そうか、有難い。我々も、協力させて貰う。何をしたらいいのか、教えてくれ」

 私は、大急ぎで、黒死病の特徴と、その感染を防ぐために基礎的な知識を冒険者達に説明した。そして、患者の隔離が必要だということを理解して貰い、その手助けをして貰うことにした。

 私は、リンダに思念伝達で、連絡を取って、必要な物資を至急送って貰うことにした。そして、それらを冒険者達にテラ・ワールドの支店まで、取りに行って貰うことにした。

 「それでは、シーシオ、後は頼みました」

 「分かった。ムーンも、無事でな」

 「はい」

 私は、冒険者ギルドを出て、下水道の処置に掛かることにした。下水道対策チームが派遣されるのは、もう少し掛かりそうだから、その手助けの為に、少しでも、処理しておこうと思った。

 「ムーン、私よ。ガーベラよ」

 ガーベラが思念伝達で、連絡を入れて来た。

 「どうした? 何か、あったのか?」

 「実は、ムーンに言われたように、他の国の様子を調べてたの。すると、イーデン王国、フークシ国、ミーヤ国も黒死病に感染しているみたいなの」

 「やはり、そうだと思った。それで、ヤガータ国は大丈夫なのか?」

 「それは、当然でしょ。とっくの昔に下水道の工事が完了しているもの」

 「それは、良かった。それでは、それらの国々を直ぐに訪れるようにするよ」

 「お願いね。また、その都度、連絡を頂戴ね」

 「分かった」

 私は、ガーベラとの思念伝達を切って、ヤガータ国に向かった。そこで、協力者を集めて、手伝って貰うことにした。
 
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