引きこもり令嬢の恋愛事情（改）【完結】

第１章 魔法学院（前期）

第24話 前期試験

　1日目の１科目目の試験が始まった。

　「私が、火魔法の初級講座の前期末考査を担当する。ヒナータです。
　私を初めて見る人も多いですが、よろしく。

　それでは、学籍番号をいいますので、その順番に席についてくださいね。

　20、9、29、1、6、8、24、12、16、3、22、15、23、26、5、19」

　私は、学籍番号がバラバラなので、少し驚いたわ。受験の公平性を考えて、ばらばらにしているらしいけど、少し、やりすぎよね。

　しかも、受験場所は、隣の教室になっており、試験内容が漏れないようにしているわ。

　「それでは、２０番の人、隣の教室に来てください」

　「はい、私です」

　いよいよ、私の番だわ。私は、係の人の後について、教室に入っていったの。

　「それでは、受験番号２０番、ユイカさんですね」

　「はい、そうです」

　「それでは、今から、私が行う魔法を真似てください」

　試験問題は、３問だったの。試験管が行った魔法と同じ魔法を起動できるか、どうかを判定しているだけ。これなら、試験で優劣がつけれないじゃないの。

　折角、しっかりと準備してきたのに、本当に、合否のみを判定しているわ。

　私は、ガッカリして、食堂に向かったわ。というのも、受験が終わった生徒は、食堂で待機することになっていたの。

　食堂では、多くの生徒が座っており、先ほど行われた試験内容について、お互いに確認しあっていたわ。どうも、同じ課題ではなかったようなの。

　生徒同士の話を聞く限り、難易度にかなり、差があるみたい。

　オリエが、カルと話をしているわ。

　「オリエ、どうだった？」

　「はい、大丈夫です。特に、難しいものはなかったです」

　「どんな課題だった？」

　「全部で、３問だったのですが、見たことがない魔法が１つ入っていました。見よう見まねで起動は出来たのですが、それで、良かったのか、自信がありません。残りは、授業で練習した物でした。これらは、完璧です」

　「そうなんだ。１問だけ、初めての魔法だったんだ」

　あれ、テルースもいるみたい。私は、急いで、テルースの傍に行こうとしたの。そしたら、テルースがここで、魔法を起動するみたいなの。ここは、食堂よ。何考えているの、早く、止めないと。でも、少し、遅かったみたい。

　「それじゃ、やってみるよ。
　炎嵐ファイア・ストーム」

　蒼白い炎が嵐のように降り注いでいるわ。こんなに人に居る食堂では、危険なのがわからないの。えっ、まだやるの。

　「それじゃ、次、行くよ。
　炎爆弾ファイア・ボム」
　
　蒼白い炎が爆発して、四方に飛び散っている。私は、思わず顔を背けてしまったわ。

　「いいよ。やってみるよ。
　炎弓ファイア・アロー」
　
　今度は、蒼白い炎が弓の形になったと思ったら、周りに炎をまき散らしながら飛んでいったわ。

　オリエとカルは、呆れ果てた顔で、テルースを見つめていた。

　私は、テルースを睨みつけてやったわ。何、バカなことをやっているの。大声で、叱ったやりたかった。