引きこもり令嬢の恋愛事情(改)【完結】

無似死可

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第2章 魔法学院(夏休み)

第27話 イキシ魔法学院へ

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 いよいよ、今日は、魔法学院へ見学旅行の日よ。本当に嬉しくて、飛び跳ねたいくらいだったのに。何故か、私の大嫌いな教師も引率に来るの。

 誰って? 分かるでしょ。エイコよ。教師の癖に、いつも、私の嫌な事をするの。

 馬車の中では、カルとオリエとが居たの。もちろん、私は、テルースの隣に座ったわ。

 「ねえ、都市イキシって、どんな街か、知ってる?」

 オリエが、テルースに話しかけて来た。もう、オリエは、カルと話していればいいのに!

 「そうだね。ミーヤ国は、貿易が盛んな国なので、都市イキシには、色んな国の人が集まっているよ。食べ物も色んな国の物が食べられるよ」

 何故か、テルースは、色んな国の事情に詳しい。単なる魔法学院の生徒なのに! なんだか、不思議。

 「食べ物か、楽しみね」

 オリエは、どんな食事ができるのか、頭の中で、空想しているようだ。とっても、幸せそう。でも、隣のカルは、全く興味がなさそうで、外の景色ばかり見ている。

 「ユイカは、どんな物が食べたい?」

 テルースが、私に訊いて来た。そうだわ。一緒に食事に出かけるなんて、素敵ね。

 「そうね。テルースが連れて行ってくれるの?」

 「いいよ。食べたい物を言ってね。いい店を探しておくよ」

 「甘い物がいいわ。それと、2人きりになれる所がいいなぁ」

 「そうか、個室がいいのか?」

 テルースは、何か、具体的な店を思い浮かべているようだ。でも、私には、内緒にしておくみたい。

 暫くすると、ヤガータ国を抜けて、ミーヤ国に入ったようだ。道路が、綺麗に舗装されて、馬車の揺れも、ほとんどなくなった。海を見ると、海岸沿いに多くの船が行き来している。

 テルースが言ったように、色んな国の旗が、船に掲げられている。旗は、見慣れたものだけど、それが、どんな国か、私には、全く想像がつかなかった。テルースに訊いたら、教えてくれそうだけど、何も知らないと思われるのは、癪だから、聞かないことにしたわ。

 「ねぇ、テルースは、どんな物が食べたいの?」

 私は、隣に座っているテルースの顔を覗き込んで、小声で、聞いた。

 「そうだね。僕は、チーズが、たっぷり掛かっている物がいいな」

 「そう。テルースは、チーズが好きなのね」

 「うん。チーズは、好きだね。それに、チョコレートも大好物だよ」

 「私も、チョコレート、大好き。一緒だね」

 テルースの好みが一緒なの。思わず、笑みがこぼれてしまったわ。

 いつの間にか、窓の外の景色は、街並みに変わっていた。もう、少しで、都市イキシに着きそうだわ。

 「ねぇ、今日の予定は、聞いている?」

 また、オリエが、テルースに声を掛けて来た。何故、隣のカルに訊かないの。私のテルースに訊くなんて。

 「僕は、知らないよ」

 テルースは、興味なさそうに答えた。もともと、テルースは、教師の話なんか聞こうとしないのだから、予定なんて、知っているわけないわ。

 「そう。ユイカは、知っている?」

 もちろん、私は、知っているわ。すべて、頭の中に入れている。でも、オリエ、貴方には、言いたくないわ!

 「ごめんなさい。よく覚えていないの」

 「そう」

 オリエは、話が続かないことにガッカリしているようだ。多分、オリエも、後の予定は知っているのだろう。それなのに、テルースに訊くなんて、しかも、私が横に座っているのに、邪魔よ。

 私達は、話で、盛り上がることなく、今日泊る予定のホテルに到着した。

 「さあ、素早く、荷物を降ろして、部屋に移動しなさい」

 先に到着していた教師が、ホテルの前で、指示をしていた。今回の引率は、上級教師のユリ―マ先生と嫌いな人。

 ユリーマ先生は、水魔法の授業を担当していて、私も、テルースも教えて貰っているの。光魔法の嫌な先生とは、大違いで、とても、優しいの。

 私は、テルースの部屋を確認しながら、自分の部屋に荷物を入れた。私の左怒鳴りの部屋は、オリエの部屋で、右隣の部屋は、何故か、私の大嫌いな先生。いつもなら、教師の部屋は、別の階なのに、今回は、何故か、私の隣の部屋になっている。ユリーマ先生の部屋は、何故か、一つ上の階になっている。

 「荷物を置いたら、また、玄関先に集合よ」

 ユリーマ先生が、一つずつ、部屋を回って、声掛けをしている。私も、アイテムボックスを置くだけなので、すぐに、ホテル前に行くことが出来た。でも、下に降りると嫌な教師が待ち構えているの。それで、集合場所には、直ぐには、行かずに、誰かが、来るのを待って居たの。そしたら、テルースが、私の後に降りて来たの。

 「ユイカ、どうしたの?」

 「誰か来るのを待って居たの」

 「そう。それじゃ、一緒に行こう」

 私は、テルースの後ろに隠れるようにして、集合場所に向かった。暫くして、カルとオリエも降りて来た。

 「全員揃ったわね。それでは、イキシ魔法学院に行きます」

 ユリーマ先生の声で、馬車が、動き出した。イキシ魔法学院までは、そんなに時間が掛からなかった。テルースに話しかける暇もないほど、あっと、言う間に着いてしまった。

 「さぁ、下りてきなさい」

 馬車を下りると、イキシ魔法学院の教師が3人、私達を出迎えてくれた。

 「本日は、お世話になります」

 「遠路、ご苦労様です」

 イキシ魔法学院の代表の教師が、ユリーマ先生と挨拶を交わして、私達を校舎に案内した。イキシ魔法学院の建物は、とても立派で、私達の魔法学院の3倍以上ある大きな物だった。建物だけで、私は、圧倒されてしまったわ。 
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