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プロローグ
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「綺麗な夜空だなぁ。星があんなに煌めいている」
私は、地面に横たわり、夜空を見上げていた。満点の星空は、まるで宝石箱をひっくり返したようだった。しかし、その美しさに目を奪われることもなく、私はただ痛みと疲労に耐えていた。
私は、瞼をゆっくりと押し上げて、周りを見渡した。身体は、疲れ切って、全く動かすことが出来ない。
全身が鈍痛に包まれ、まるで針で刺されているような感覚があった。腕や脚は自由に動かせず、指先さえも微かに震えるのがやっとだった。
「ここは、どこだ?」
ぼんやりとしていた頭が、少しはすっきりしてきた。何か、暖かな物が身体の中に流れ込んで来た。それと共に、少しずつ、体力が戻って来たようだ。先ほどよりは、少し、身体も、動かせるようになってきた。
「うっ、まだ、手足は、動かせないようだ」
私の身体は、疲れて動けないだけではないようだ。身体全体の骨が砕かれて、筋肉が全て、切れてしまったかのように、全身が悲鳴をあげている。
「何か、身体の中に、不思議な力が流れ込んでいる」
痛みも少しずつだが、和らいでいく。
また、何かが、身体の中に流れ込んで来た。それと共に、痛みも少しずつだが、和らいでいく。
太陽の光が強くなり、肌が熱く刺されるような感覚に襲われた。どれくらい時間が経ったのか分からないが、いつの間にか私は眠りに落ちていた。
「眩しい」
私は、もう一度、周りにある暖かな物を思いっきり身体の中に流し込んだ。それを何度も繰り返した。そして、それは、もう、意識せずに行えるようになっていた。本当に、息をするように、行えるようになった。
ゆっくりであれば、身体を動かせるまでに、回復したようだ。そして、身体の中にあの暖かな物を一気に取り込むことが出来た。まるで、深呼吸をして、周りの空気を吸い込んでいるようだ。それと共に、気力が漲って行くのを感じる。そして、骨や筋肉が、くっ付き始めているようだ。
(この力は、何なんだ?)
(何か、食べたいなぁ)
私は、起き上がり、少し、歩き始めた。どこに行けばいいのかも、分からないが、取り敢えず、この大きな穴の中から、抜け出したかった。
(ここは、異世界なのか?)
何とか、穴から抜け出した私は、周りを見渡した。すると、遥か彼方の動物たちを感じることが出来た。そして、自分と同じ動物も感じることが出来た。まるで、目の前にいるかのように、それらを感じることが出来た。
(これは、どういうことなんだ?)
しかし、何故か、同類の者たちの方には、行きたくなかった。何故か、分からないが、小さな動物がいる方に歩き始めていた。
(私の目的は、何なんだ?)
いつの間にか、地面には、草が生え、樹が茂っていた。森の中に入って、小さな動物を捕まえて、噛り付いた。1匹では、物足りない。気が付くと、10匹ほどの死骸が、足元に転がっていた。
(私は、これから、どうすればいいんだ?)
草木の葉音を振り分ける音が聞こえた。誰かがこちらに近づいてくる気配を感じた。私は警戒しながら立ち上がった。
(誰かが、こちらにやってくる)
私と同類の者が近づいてくる。でも、厭な感じはしない。その者が現れるまで、私は、その場で、じっと、待つことにした。
(この人物は、敵なのか、味方なのか?)
暫くして、その者は、現れた。
「こんにちは!」
明るい声で、私に話しかけた者は、赤い髪を靡かせる少女だった。たった一人で、森の中に入って来たようだ。
(この少女は、何者なんだ?)
「誰?」
私は、少女に訊き返した。
「私は、これでも、冒険者なの。狩りと薬草を取りに、此処まで来たの。あなたは?」
(私は、一体、誰なんだ?)
「腹が減っていた」
「わぁ、生のまま食べたの。火を起こせばいいのに」
「…」
「それに、服がぼろぼろよ。魔物にでも、襲われたの?」
「分からない」
「私は、ルナよ。あなたは?」
「分からない」
名前をルナに訊かれたが、思い出せない。私は、誰で、何をしていたのか。思い出せない。
「分かったわ。私に付いて来て」
ルナについて歩いて行くと、小さな山小屋に着いた。そこには、数人の大人たちが、動いていた。
「やぁ、ルナ。早かったな」
「そいつは、誰だ?」
大人たちは、ルナに声を掛けてくる。
「よく分からないの? でも、悪い人では、無いと思うの」
「ルナ、大丈夫か?」
「大丈夫よ」
ルナは、私を連れて、小屋の中に入って行った。そして、自分の古着を私に渡して、着替えさせた。
「少し、大きいかもしれないけど、我慢してね」
「ありがとう」
「遠慮しなくていいのよ」
「まだ、名前は思い出せない?」
「何も、覚えていない」
「そうか。親の事も、分からない? これまで、誰と暮らしていたの?」
「分からない」
「名前なしでは、困るね。そうだ、私がつけてあげるよ。何が、いいかな? ラズはどう?」
「分からない」
「決めた! 貴方は、これから、ラズよ。いいわね」
「わかった。私は、ラズ」
ルナに付けて貰った名前は、悪くはない。これからは、私は、ラズだ。
「暫くは、私が面倒を見るわ。その内に、思い出すのよ。いい!」
「はい」
私は、ルナに面倒を見て貰うことにした。一人でも、生きていけそうだけど。ルナといると、少し、安心できる。
私は、地面に横たわり、夜空を見上げていた。満点の星空は、まるで宝石箱をひっくり返したようだった。しかし、その美しさに目を奪われることもなく、私はただ痛みと疲労に耐えていた。
私は、瞼をゆっくりと押し上げて、周りを見渡した。身体は、疲れ切って、全く動かすことが出来ない。
全身が鈍痛に包まれ、まるで針で刺されているような感覚があった。腕や脚は自由に動かせず、指先さえも微かに震えるのがやっとだった。
「ここは、どこだ?」
ぼんやりとしていた頭が、少しはすっきりしてきた。何か、暖かな物が身体の中に流れ込んで来た。それと共に、少しずつ、体力が戻って来たようだ。先ほどよりは、少し、身体も、動かせるようになってきた。
「うっ、まだ、手足は、動かせないようだ」
私の身体は、疲れて動けないだけではないようだ。身体全体の骨が砕かれて、筋肉が全て、切れてしまったかのように、全身が悲鳴をあげている。
「何か、身体の中に、不思議な力が流れ込んでいる」
痛みも少しずつだが、和らいでいく。
また、何かが、身体の中に流れ込んで来た。それと共に、痛みも少しずつだが、和らいでいく。
太陽の光が強くなり、肌が熱く刺されるような感覚に襲われた。どれくらい時間が経ったのか分からないが、いつの間にか私は眠りに落ちていた。
「眩しい」
私は、もう一度、周りにある暖かな物を思いっきり身体の中に流し込んだ。それを何度も繰り返した。そして、それは、もう、意識せずに行えるようになっていた。本当に、息をするように、行えるようになった。
ゆっくりであれば、身体を動かせるまでに、回復したようだ。そして、身体の中にあの暖かな物を一気に取り込むことが出来た。まるで、深呼吸をして、周りの空気を吸い込んでいるようだ。それと共に、気力が漲って行くのを感じる。そして、骨や筋肉が、くっ付き始めているようだ。
(この力は、何なんだ?)
(何か、食べたいなぁ)
私は、起き上がり、少し、歩き始めた。どこに行けばいいのかも、分からないが、取り敢えず、この大きな穴の中から、抜け出したかった。
(ここは、異世界なのか?)
何とか、穴から抜け出した私は、周りを見渡した。すると、遥か彼方の動物たちを感じることが出来た。そして、自分と同じ動物も感じることが出来た。まるで、目の前にいるかのように、それらを感じることが出来た。
(これは、どういうことなんだ?)
しかし、何故か、同類の者たちの方には、行きたくなかった。何故か、分からないが、小さな動物がいる方に歩き始めていた。
(私の目的は、何なんだ?)
いつの間にか、地面には、草が生え、樹が茂っていた。森の中に入って、小さな動物を捕まえて、噛り付いた。1匹では、物足りない。気が付くと、10匹ほどの死骸が、足元に転がっていた。
(私は、これから、どうすればいいんだ?)
草木の葉音を振り分ける音が聞こえた。誰かがこちらに近づいてくる気配を感じた。私は警戒しながら立ち上がった。
(誰かが、こちらにやってくる)
私と同類の者が近づいてくる。でも、厭な感じはしない。その者が現れるまで、私は、その場で、じっと、待つことにした。
(この人物は、敵なのか、味方なのか?)
暫くして、その者は、現れた。
「こんにちは!」
明るい声で、私に話しかけた者は、赤い髪を靡かせる少女だった。たった一人で、森の中に入って来たようだ。
(この少女は、何者なんだ?)
「誰?」
私は、少女に訊き返した。
「私は、これでも、冒険者なの。狩りと薬草を取りに、此処まで来たの。あなたは?」
(私は、一体、誰なんだ?)
「腹が減っていた」
「わぁ、生のまま食べたの。火を起こせばいいのに」
「…」
「それに、服がぼろぼろよ。魔物にでも、襲われたの?」
「分からない」
「私は、ルナよ。あなたは?」
「分からない」
名前をルナに訊かれたが、思い出せない。私は、誰で、何をしていたのか。思い出せない。
「分かったわ。私に付いて来て」
ルナについて歩いて行くと、小さな山小屋に着いた。そこには、数人の大人たちが、動いていた。
「やぁ、ルナ。早かったな」
「そいつは、誰だ?」
大人たちは、ルナに声を掛けてくる。
「よく分からないの? でも、悪い人では、無いと思うの」
「ルナ、大丈夫か?」
「大丈夫よ」
ルナは、私を連れて、小屋の中に入って行った。そして、自分の古着を私に渡して、着替えさせた。
「少し、大きいかもしれないけど、我慢してね」
「ありがとう」
「遠慮しなくていいのよ」
「まだ、名前は思い出せない?」
「何も、覚えていない」
「そうか。親の事も、分からない? これまで、誰と暮らしていたの?」
「分からない」
「名前なしでは、困るね。そうだ、私がつけてあげるよ。何が、いいかな? ラズはどう?」
「分からない」
「決めた! 貴方は、これから、ラズよ。いいわね」
「わかった。私は、ラズ」
ルナに付けて貰った名前は、悪くはない。これからは、私は、ラズだ。
「暫くは、私が面倒を見るわ。その内に、思い出すのよ。いい!」
「はい」
私は、ルナに面倒を見て貰うことにした。一人でも、生きていけそうだけど。ルナといると、少し、安心できる。
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