失われた記憶を探す闇の魔法使い(The dark wizard searching for lost memories)

無似死可

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第1章 冒険者ルナ

第5話 謎のエルフ

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 ルナは、強くなった。でも、この不安は何だろう? おそらく、私が、ルナの前で、魔法を使いたくないから。

 第8階層の異変を回避する方法が浮かばないまま、とうとう、初級ダンジョンの入り口まで、来てしまった。

 ルナは、相変わらず、自分の力を過信しているようだ。

 「ルナ、危険だと思ったら、直ぐに、撤退してね」

 私は、最後の願いをルナに伝えた。しかし、ルナの頭の中は、強い魔物と戦いたいという思いだけのようだ。

 「もちろんよ。分かっているわ」

 仕方がない、いざという時は、私が、力を…。

 「ルナ、誰かがこちらを窺っているよ」

 私は、強い魔力を感じた。しかし、その魔力は直ぐに、小さな物になった。どうやら、魔力を隠しているようだ。

 「ねえ、私も一緒に連れて行ってくれない?」

 急に、声を掛けられて、ルナは、びっくりしたようだ。

 「だ、誰?」

 「ごめんなさいね。驚かしたかしら? 私は、リリアよ」

 「どうして、私達に付いてくるの?」

 ルナは、リリアに、尋ねた。初対面の相手に、声を掛けられること自体初めての経験だ。しかも、エルフに。

 「実は、冒険者登録をしたばかりなの。でも、早く、経験を積みたいから、どこかのパーティーに入りたいと思っていたの」

 「それなら、もっと、ランクが上のパーティーがあるでしょ。そっちに声を掛けた方がいいわ」

 「実は、昨日、冒険者ギルドでいくつかのパーティーに声を掛けたの。でも、すべてだめだったわ」

 「そうなの」

 ルナは、少し、リリアに同情したようだ。初心者の冒険者が疎まれるということは、十分ある。事実、私も、そうだったから。

 「分かったわ。それじゃ、一緒に行く?」

 「はい、お願いいたします」

 ルナは、私の方を窺った居る。

 「ねぇ、ラズは、どう思う?」

 「僕も、いいよ」

 反対する理由は、ない。このリリアは、見た目よりかなり強いはずだ。先ほど、強い魔力を感じたのは、このリリアだろう。しかし、何故、魔力量を隠しているのだろう。何か、企みがあり、近づいて来たように思われる。

 「でも、リリアなら、一人でも、ダンジョンに潜れるでしょ。強いから」

 「あら、ラズは、何を言っているのかしら。見ての通り、私は、魔法使いよ。でも、それほどの魔力量を持っていないわ。だから、一人で、ダンジョンに潜るなんて、考えられないわ」

 「そう? どちらが狙いなの?」

 「うっ、ど、どういう意味?」

 「まあ、いいわ」

 どうやら、このエルフは、私が狙いのようだ。でも、何処で、私を知ったのだろう。そして、私も、魔力量を隠しているが、知られてしまったのか?

 リリアがパーティーに参加することで、少しは、ルナのリスクが減ると思っていたが、却って、不安要素が増えたようだ。

 私達3人は、初級ダンジョンに潜り、順調に、階層を重ねて行った。そして、いよいよ、次が、異変が起こった第8階層だ。

 私は、それとなく、リリアに以前潜ったときの様子を伝えた。

 「そうですか。やはり、このダンジョンでも、異変があったのですね」

 「ルナは、自信満々なので、少し不安なの」

 「分かりました。私が、援護します。ラズは、見守っているだけでいいですよ」

 私は、黙って、頷いた。

 ルナが先頭で、第8階層に遣って来た。私は、スキル探索で、魔物の様子を探った。やはり、以前潜ったときと同じで、5カ所に魔物の群れがあり、それらはレベル50以上の魔物の群れだ。そして、それぞれの群れには、レベル65以上のリーダが存在している。今回は、リリアがいるので、隠れて、魔物のリーダーを倒すのは、難しい。

 「ルナ、群れを一つずつ潰していくわよ」

 「はい」

 ルナとリリアは、一番近くの群れに突っ込んで行った。リリアは、遠隔で、エリア魔法を連続で、放った。

 「火壁ファイア・ウォール

 「火壁ファイア・ウォール

 ルナも、負けずに、魔法を放っている。

 「火壁ファイア・ウォール
 
 群れの大半は、倒すことが出来たが、魔物のリーダーは、旨く、魔法を避けて、ルナに近づいて来た。私は、思わず、土魔法で、魔物のリーダーの足を拘束して、動けなくした。

 「火柱ファイア・ポール

 リリアが、動きを止めた魔物のリーダーに魔法を繰り出し、倒した。

 そして、私の方を見て、微笑んだ。

 私が、土魔法で、魔物のリーダーの動きを止めたことに気が付いているのだろう。何とか、一つの群れを倒すことが出来た。しかし、私は、もう、退却すべきだと考えていた。

 「ねえ、ルナ。今日は、これで、帰らない? 私、少し、疲れて来たみたい」

 「そうね。今日は、帰りましょうか。ラズも、それでいい?」

 「いいよ」

 リリアが、うまく、ルナに言ってくれた。私の思いを汲んでくれたようだ。リリアは、ルナに気付かれないように、私に近づいて来た。

 「ねえ、ラズ。本当の名前を教えてよ」

 「何を言っているの。私は、ラズだよ」

 「まあ、そんな姿だから、以前の名前を出したくないのは、わかるけどね」

 「リリアは、私の何を知っているんだ」

 「あれ? 私の事を忘れたの? 短い間だったけど、一緒に旅をしたでしょ」

 リリアは、私の顔を覗き込んで、演技をしているのかどうかを確かめているようだ。昔の私を知っていいるのか?
 それとも、何らかの計略をしているのか? 私は、何とか、思い出そうとして、リリアの顔を見直した。

 「そんなに見つめたら、恥ずかしいわ」

 リリアは、冗談ぽく言って、私から離れて行った。 
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