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第4話 石神あきらという少年
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「お前、いつからいた? どこから出てきた? 今、殺人者って言ったか?」
俺は石神あきらと名乗った少年に訊ねる。
努めて冷静に大人の余裕を持ってだ。
子ども相手になめられるわけにはいかない。
「ふふっ、お兄さん名前は?」
「俺が質問しているんだ。先にお前が答えろ」
得体のしれない奴に素性を明かすわけがない。
この少年は殺人という言葉を口にした、俺の犯行を見ていた目撃者の可能性もある。
「僕がお兄さんの犯行を目撃していたら僕のことも殺すの?」
少年は笑みを浮かべながら訊き返す。
「!」
くそ……やはりこの少年は俺の殺人を目撃していたようだ。
仕方ない……かくなる上は。
バッと俺が両手を上げると一瞬少年が身構えたように見えたが、俺はそのままの流れで少年に土下座をした。
「頼むっ、見逃してくれっ!」
「え? ……何それ?」
「お前が見たのは正当防衛なんだっ! だから頼むっ、黙っていてくれっ、この通りだっ!」
全社員の前で土下座したんだ、今更子ども一人の前で土下座するくらいもうどうでもいい。
「あれ? 僕はお兄さんの殺人現場を目撃したんだよ、殺さないの?」
「当たり前だっ、誰が子どもを殺すかっ」
俺は子どもを殺す趣味などない。
大体前二件も不可抗力だ。
「ふ~ん……なんか予想と違ったけど、それならまあ、一応合格でいいかな」
そのようなことを言うと少年は傘を差し出して俺を自分の傘の中に入れた。
「ご、合格……?」
俺は少年を見上げる。
「うん、合格……お兄さんはさっきの女の人を含めてこれまでに二人殺してるんだよね。ってことはレベルは3か、呪文はいくつ覚えてる?」
「え? な、なんでお前、レベルのこと知ってるんだ?」
「なんでって、だって僕もお兄さんと同じ殺人者だからね」
「殺人者……」
この少年はさっきもそんな言葉を口にしていた。
「大丈夫、安心していいよ。僕はお兄さんのことを警察に話したりしないから」
「そ、そうなのか」
「うん」
子どもらしく大きくうなずく。
俺は立ち上がり、
「なあ、お前の言う殺人者って――」
「僕の名前はあきらだよ」
にこにこして言うが目の奥は笑っていないように見えた。
「あ、ああ……あきらの言う殺人者ってなんなんだ? 俺とあきらが同じってどういうことだ?」
俺の問いにあきらは人差し指を突き立てた。
「この世界には人を一人殺すごとにレベルが1上がる神様に選ばれた人間がいるんだよ。その人間のことを殺人者って呼ぶんだ。つまり僕とかお兄さんのことね」
「……あ、ああ」
「殺人者に殺された人の死体はさっき見た通り消えてなくなるから証拠も残らないんだよ」
「……そう、か」
だから男の死体も女の死体も消えたのか。
「じ、じゃあ……あきらも人を殺したことがあるのか?」
「あるよ」
訊きづらい質問だったがあきらは躊躇なく答える。
「ねえ、そんなことより僕がした質問憶えてる?」
人殺しの経験をそんなこととにこやかに流すあきら。
「質問? あー、使える呪文だったな。俺は二つだ」
後藤田真一とさっきの女を殺した時に一つずつ覚えたはずだからな。
「ふふっ、そんな大事なこと今会ったばかりの僕に教えちゃっていいの?」
「そっちが訊いたんだろうが。それにレベル3なんだから普通に考えて二つだろ」
1レベルにつき一つの呪文を覚えるのだろうからな。
「誤解しているみたいだから言うけど呪文は完全にランダムだよ。レベルが上がって覚える時もあれば覚えない時もあるしお兄さんの使える呪文を僕が使えないことだってあるからね」
「そうなのか?」
「うん。お兄さんが教えてくれたから僕も少し教えるけど、僕の使える呪文の中には透明になったり足音を消したり殺人者の居場所を感知したり相手の心を読んだりするものもあるんだ」
「心を読めるのか?」
……じゃあ今まさに俺の心も読んでいるのだろうか?
「ふふっ。まあね」
とだけ言うとあきらは子どものくせに大人びたウインクをしてみせた。
マセガキめ。
おっと、これも読まれてるんだったな。
「お兄さん面白いね……ステータスオープンって言ってみてよ」
「なんだいきなり」
「いいから騙されたと思ってさ」
十二歳の子どもに騙されたくなどないが。
「いいから早くっ」
「わかったよ……ステータスオープン」
俺がそう口に出した途端、
ぴこーん!
電子音が鳴ると俺の目の前に文字や数字が浮かび上がった。
俺は石神あきらと名乗った少年に訊ねる。
努めて冷静に大人の余裕を持ってだ。
子ども相手になめられるわけにはいかない。
「ふふっ、お兄さん名前は?」
「俺が質問しているんだ。先にお前が答えろ」
得体のしれない奴に素性を明かすわけがない。
この少年は殺人という言葉を口にした、俺の犯行を見ていた目撃者の可能性もある。
「僕がお兄さんの犯行を目撃していたら僕のことも殺すの?」
少年は笑みを浮かべながら訊き返す。
「!」
くそ……やはりこの少年は俺の殺人を目撃していたようだ。
仕方ない……かくなる上は。
バッと俺が両手を上げると一瞬少年が身構えたように見えたが、俺はそのままの流れで少年に土下座をした。
「頼むっ、見逃してくれっ!」
「え? ……何それ?」
「お前が見たのは正当防衛なんだっ! だから頼むっ、黙っていてくれっ、この通りだっ!」
全社員の前で土下座したんだ、今更子ども一人の前で土下座するくらいもうどうでもいい。
「あれ? 僕はお兄さんの殺人現場を目撃したんだよ、殺さないの?」
「当たり前だっ、誰が子どもを殺すかっ」
俺は子どもを殺す趣味などない。
大体前二件も不可抗力だ。
「ふ~ん……なんか予想と違ったけど、それならまあ、一応合格でいいかな」
そのようなことを言うと少年は傘を差し出して俺を自分の傘の中に入れた。
「ご、合格……?」
俺は少年を見上げる。
「うん、合格……お兄さんはさっきの女の人を含めてこれまでに二人殺してるんだよね。ってことはレベルは3か、呪文はいくつ覚えてる?」
「え? な、なんでお前、レベルのこと知ってるんだ?」
「なんでって、だって僕もお兄さんと同じ殺人者だからね」
「殺人者……」
この少年はさっきもそんな言葉を口にしていた。
「大丈夫、安心していいよ。僕はお兄さんのことを警察に話したりしないから」
「そ、そうなのか」
「うん」
子どもらしく大きくうなずく。
俺は立ち上がり、
「なあ、お前の言う殺人者って――」
「僕の名前はあきらだよ」
にこにこして言うが目の奥は笑っていないように見えた。
「あ、ああ……あきらの言う殺人者ってなんなんだ? 俺とあきらが同じってどういうことだ?」
俺の問いにあきらは人差し指を突き立てた。
「この世界には人を一人殺すごとにレベルが1上がる神様に選ばれた人間がいるんだよ。その人間のことを殺人者って呼ぶんだ。つまり僕とかお兄さんのことね」
「……あ、ああ」
「殺人者に殺された人の死体はさっき見た通り消えてなくなるから証拠も残らないんだよ」
「……そう、か」
だから男の死体も女の死体も消えたのか。
「じ、じゃあ……あきらも人を殺したことがあるのか?」
「あるよ」
訊きづらい質問だったがあきらは躊躇なく答える。
「ねえ、そんなことより僕がした質問憶えてる?」
人殺しの経験をそんなこととにこやかに流すあきら。
「質問? あー、使える呪文だったな。俺は二つだ」
後藤田真一とさっきの女を殺した時に一つずつ覚えたはずだからな。
「ふふっ、そんな大事なこと今会ったばかりの僕に教えちゃっていいの?」
「そっちが訊いたんだろうが。それにレベル3なんだから普通に考えて二つだろ」
1レベルにつき一つの呪文を覚えるのだろうからな。
「誤解しているみたいだから言うけど呪文は完全にランダムだよ。レベルが上がって覚える時もあれば覚えない時もあるしお兄さんの使える呪文を僕が使えないことだってあるからね」
「そうなのか?」
「うん。お兄さんが教えてくれたから僕も少し教えるけど、僕の使える呪文の中には透明になったり足音を消したり殺人者の居場所を感知したり相手の心を読んだりするものもあるんだ」
「心を読めるのか?」
……じゃあ今まさに俺の心も読んでいるのだろうか?
「ふふっ。まあね」
とだけ言うとあきらは子どものくせに大人びたウインクをしてみせた。
マセガキめ。
おっと、これも読まれてるんだったな。
「お兄さん面白いね……ステータスオープンって言ってみてよ」
「なんだいきなり」
「いいから騙されたと思ってさ」
十二歳の子どもに騙されたくなどないが。
「いいから早くっ」
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俺がそう口に出した途端、
ぴこーん!
電子音が鳴ると俺の目の前に文字や数字が浮かび上がった。
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