レベリング・マーダー 一週間に一回は人を殺さないと自分が死んでしまう。ならばいっそ勧善懲悪しよう。

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第25話 人影

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「ふう、お腹いっぱいだー。おでんも本当においしかったし、ごちそうさま」
「そうですか。お母さんが聞いたら喜ぶと思います」

俺は立ち上がるとおでんの入っていた鍋を持ってキッチンへと向かう。

「それにしても清水さんまだ帰ってきてないのかな?」
「そうですね。ドアを開ける音がしないのでまだだと思います」
俺たちが住むアパートは壁が薄いので、隣の部屋の玄関ドアが閉まる音などは結構はっきりと聞こえるのだ。

「鬼束さん、ちょっとお手洗い借りてもいいですか?」
「ああ、どうぞどうぞ」

部屋の間取りは同じなので美紗ちゃんは迷うことなくトイレのドアを開け入っていく。
俺はその間に鍋を洗うことに。

スポンジに少量の洗剤を垂らし鍋の中に手を入れた、まさにその時だった。

「んっ……!?」

背筋にゾクゾクっと悪寒が走った。

この嫌な感覚には覚えがある。

「悪人を感知した……!?」

俺はスポンジをシンクに投げ置くと部屋を飛び出た。
外を見回し人の姿を探す。

時刻は夜七時。
辺りは完全に夜のとばりに包まれていて人影は見当たらない。

悪人感知の呪文の効果範囲は数百メートルくらいだと思うので、見渡せる範囲に誰かがいてもおかしくはないのだが。

「どこに……」
「あの、鬼束さん?」

後ろから声がして振り返ると美紗ちゃんが心配そうにみつめていた。

「どうかしたんですか? 外に何か?」
「あ、いや……」
別になんでもない、とはぐらかすことも出来ただろうが俺の存在を受け入れてくれている清水さん母娘に隠し事はしたくない。

なので。
「悪人感知の呪文を使ってるんだけど今反応があったんだよ。それで確かめてたんだ」
俺は正直に話す。

「誰もいなかったけどね」
「そうだったんですか……あ、ちょっと待ってくださいっ」
俺が部屋に戻ろうとすると美紗ちゃんが小さく声を上げた。

「ん? 何?」
「あそこの電信柱の陰に誰かいますっ」
「え」
言われて俺は目を凝らす。

「あっ本当だ」
たしかに通りの向かい側の電信柱の陰に隠れるようにして男が立っていた。
その男と目が合った瞬間寒気が一段と強くなり全身に鳥肌が立つ。

間違いない、あいつだ。

「美紗ちゃんは部屋に入ってて」
「えっ、鬼束さんはどうするんですか?」
「あの男と話してくる」
相手の出方次第では話すだけでは済まないかもしれないが。

「そんな、危ないですよっ。もしすごく悪い人だったら……」
「大丈夫だよ。行ってくる」

俺のレベルは4まで上がっているし相手の男は見た感じ背が低い。
俺はとりあえず美紗ちゃんを部屋に戻すと、靴を履きその男のもとへと歩を進めた。
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