レベリング・マーダー 一週間に一回は人を殺さないと自分が死んでしまう。ならばいっそ勧善懲悪しよう。

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第51話 仙道アキオ

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二日後、俺は依頼主である仙道アキオさんに会うために東京の港区にやってきていた。
銀行口座にお金を振り込んでもらうとお金の流れがわかってしまうので、依頼料を直接受け取る必要があるのだった。

「確かこの辺りのはずなんだけど……」

俺はスマホに表示された地図を頼りに待ち合わせ場所に向かって歩いていた。
すると、
「おっ、あれかな?」
前方に公園を発見する。
仙道さんと待ち合わせの約束をしている公園だ。

俺はその公園に入っていくと辺りを見回した。
やはり東京、平日の昼間なのに人が多い。
そして広い。俺の地元の公園とはわけが違う。

まいったな、こんなに人が多いならもっと具体的な場所を決めておくべきだったか……。
俺は少し反省しながらも事前に聞いていた通り、身長百八十センチくらいで上下スーツ姿の今大人気の若手イケメン俳優にそっくりな男性を探した。

公園内には老人や小さい子供連れの女性が多くいた。
メールの情報では仙道さんは二十六歳ということなので、俺は目線を動かしながらそれらしい男性をチェックしつつ園内を練り歩く。

とその時前のベンチに腰かけている一人の大柄な男性が目に入った。
上下スーツ姿でスマホを操作している。
よく見るとメールで送られてきた近藤千春の写真に写り込んでいた男性とよく似ている。かなりのイケメンだ。

あの人が仙道さんかな……?
そう思って俺は近寄っていくとその男性の隣に座った。

正面を向いたまま、
「……仙道アキオさんですか?」
問いかける。

「あ? あ、ああ。そうだ」
男性は少し驚いた様子でそう答えた。

「あんたがdevilか、オレより若く見えるな」
「ではまず前金を――」
「ちょっと待ってくれ、その前に確認したい……あんた警察とかじゃないよな?」
疑り深い目で俺を見てくる。

「日本は殺人依頼のおとり捜査なんてやっていませんよ。それに今回の依頼は呪いによる殺人ですから法律の範囲外です」
「そ、そうか。ならいいんだ」
安心したのか仙道さんは小さくうなずいた。

「前金いいですか?」
「ああ。待ってろ、今払うから」
そう言うと仙道さんはジーンズのポケットからよれよれになった茶封筒を取り出して「ほらよ」と俺に差し出す。
俺はそれを左手で受け取ると、中身をちらっと確認してからすぐに上着のポケットにしまい込んだ。

「では失礼します」
俺は立ちあがった。
と、
「おい待てよ。オレは百万払ったんだ。あんたがちゃんと仕事をするのか見届けたい」
仙道さんは俺の腕を掴んでくる。

「見届ける?」
「ああ。あんたにこのままバックレられたくないんでな」
「そんなことしませんよ」
「オレは用心深いんだ。悪いな」
俺の腕を掴む手には遠慮というものが感じられない。

「それとも何か。オレが見ていちゃまずいことでもあるのか?」

面倒くさい男だ。
茶封筒を突き返して帰ってやろうか。

一瞬そんな思いに駆られたがこっちはわざわざ東京まで出てきたんだ、手ぶらで帰れるか。
そう思い直し、
「……わかりました。では今回は特別に依頼料は後払いでいいです。それでどうですか?」
言うと俺はお金を一旦返すことにした。

「おう。まあ、それならいいぜ」
俺の提案に納得したようで、仙道さんは茶封筒を俺の手から奪うようにして取り上げると自分のジーンズのポケットにぐいっとねじ込む。

そして、
「じゃあオレは結婚式の準備があるからもう行くな。しっかり頼んだぜ」
そう言い残すと仙道さんは立ち去っていった。


俺はそんな仙道さんの後ろ姿を眺めながら、
「……気に入らないな」
実際に会って感じた印象を自然と口に出していた。
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