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第108話 寝起き
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夢を見た。
多分、いや間違いなく夢のはずだ。
なぜならそこには死んだはずの冴木と細谷さんがいたからだ。
二人は何かにとらわれているようだった。
そしてそこからしきりに俺に助けを求めているようだった。
だがなんて言っているのか俺には聞き取れない。
すると二人は俺からどんどん遠ざかっていく。
俺は思わず手を伸ばした。
「冴木っ! 細谷さんっ!」
◇ ◇ ◇
「あの……だ、大丈夫ですか?」
気付くと目の前には新幹線の椅子。
そして隣には道端恵と名乗っていた女性の顔があった。
「あの、誰かの名前を叫んでましたけど……」
「あ……ごめん」
どうやら俺は大きな声で寝言を言っていたようだ。……恥ずかしい。
周りにほかの乗客がいなかったことがせめてもの救いだな。
俺は照れ隠しもあってトイレに立つことに。
別車両にあるトイレまで歩いていきそこで用を足すともといた席へと戻っていく。
だがその途中で、
「そこのきみ、ちょっと待つんだ!」
車掌さんらしき人に声をかけられた。
振り向くと車掌さんの後ろにはさっき俺が腕を潰した男もいた。
男の腕には包帯が巻かれている。
「はい、なんですか?」
「きみ、この男性に暴力を振るったそうだが本当かっ?」
車掌さんは男に手を差し向けながら訊いてきた。
かなり高圧的な態度で接してくる。
「暴力? 暴力っていうか、胸ぐらを掴まれて脅されたので正当防衛のつもりだったんですけど」
「そんなことは聞いてないんだっ。きみがやったのは確かなんだな。だったら次の駅で降りてもらうぞっ。いいなっ!」
……おいおいなんだよそれ、勘弁してくれよ。
こちとら降りかかる火の粉を払っただけだぞ。
それなのになぜ、俺が悪者扱いなんだ……。
「なんだその目はっ! 文句あるのかっ!」
「あ、いや……」
なんだこの車掌は……偉そうに。
一方の意見しか聞かないで……それで正義のつもりか。
「きみ、ちょっと身体検査しようっ。何か危険な物を持っている可能性があるな、きみはっ!」
「は? いやいや、そんなもの持ってませんって……」
「うるさい、抵抗するなっ!」
そう言って車掌は俺を無理矢理トイレに押し込んだ。
トイレの中で俺を後ろ手にする車掌。
いくらなんでも荒っぽすぎるだろ、と思いながらも相手は車掌なのでとりあえず抵抗はしないことにした。
「おら、何か隠してるならさっさと出した方が身のためだぞっ!」
「何も隠してませんよ」
「じゃああの男の腕をどうやって潰したんだっ! 言ってみろっ!」
「だから、それは――」
「ほれ、言えないじゃないかっ!」
このやり取りをしている間、車掌は俺の体を叩いてくまなくチェックしていた。
そしてどんどんヒートアップしていく。
「今度は前を向け、前をっ! 徹底的に調べてやるからな、覚悟しろっ!」
だがそれと同時に俺も頭に血が上り始めていた。
というより、もうすでに頭に来ていた。
「いい加減にしてくれ」
「おっ、なんだ! 抵抗する気かっ!」
「チンカンニクア」
「なんだそれはっ! 今なんて言ったっ!」
気がつけば俺は悪人感知呪文を唱えていた。
目の前の車掌が悪人であればいいと願いつつ。
そして――
「お前、悪人だな」
俺の願いが天に届いたのか、俺の悪人感知レーダーが車掌にひっかかったので、
「何を言ってるんぱぎゃ……!」
――俺は今までにないほど、静かに素早く目の前の人間の首の骨を折ったのだった。
ててててってってってーん!
『鬼束ヤマトは犬童秀作を殺したことでレベルが1上がりました』
『最大HPが1、最大MPが0、ちからが1、まもりが1、すばやさが1上がりました』
◇ ◇ ◇
一人殺すも二人殺すも同じこと。
俺は「イタブ」と唱えると、トイレの外にいた男の腕を取り中に引きずり込んだ。
「なっ、や、やめてく――」
男が発せた言葉はそこまでだった。
なぜなら男の首はその時胴体から切り離されたからだ。
ててててってってってーん!
『鬼束ヤマトは的井蓮司を殺したことでレベルが1上がりました』
『最大HPが0、最大MPが2、ちからが1、まもりが0、すばやさが1上がりました』
『鬼束ヤマトはシンアの呪文を覚えました』
◇ ◇ ◇
*************************************
鬼束ヤマト:レベル42
HP:73/74
MP:62/70
ちから:67
まもり:65
すばやさ:64
呪文:クフイカ(2)
:クドゲ(1)
:チンカンニクア(3)
:シアビノシ(4)
:ンガリンセ(6)
:ンシクド(5)
:インテ(10)
:ヨキウヨシクオキ(25)
:マダズミ(10)
:イタブ(3)
:シンア(3)
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多分、いや間違いなく夢のはずだ。
なぜならそこには死んだはずの冴木と細谷さんがいたからだ。
二人は何かにとらわれているようだった。
そしてそこからしきりに俺に助けを求めているようだった。
だがなんて言っているのか俺には聞き取れない。
すると二人は俺からどんどん遠ざかっていく。
俺は思わず手を伸ばした。
「冴木っ! 細谷さんっ!」
◇ ◇ ◇
「あの……だ、大丈夫ですか?」
気付くと目の前には新幹線の椅子。
そして隣には道端恵と名乗っていた女性の顔があった。
「あの、誰かの名前を叫んでましたけど……」
「あ……ごめん」
どうやら俺は大きな声で寝言を言っていたようだ。……恥ずかしい。
周りにほかの乗客がいなかったことがせめてもの救いだな。
俺は照れ隠しもあってトイレに立つことに。
別車両にあるトイレまで歩いていきそこで用を足すともといた席へと戻っていく。
だがその途中で、
「そこのきみ、ちょっと待つんだ!」
車掌さんらしき人に声をかけられた。
振り向くと車掌さんの後ろにはさっき俺が腕を潰した男もいた。
男の腕には包帯が巻かれている。
「はい、なんですか?」
「きみ、この男性に暴力を振るったそうだが本当かっ?」
車掌さんは男に手を差し向けながら訊いてきた。
かなり高圧的な態度で接してくる。
「暴力? 暴力っていうか、胸ぐらを掴まれて脅されたので正当防衛のつもりだったんですけど」
「そんなことは聞いてないんだっ。きみがやったのは確かなんだな。だったら次の駅で降りてもらうぞっ。いいなっ!」
……おいおいなんだよそれ、勘弁してくれよ。
こちとら降りかかる火の粉を払っただけだぞ。
それなのになぜ、俺が悪者扱いなんだ……。
「なんだその目はっ! 文句あるのかっ!」
「あ、いや……」
なんだこの車掌は……偉そうに。
一方の意見しか聞かないで……それで正義のつもりか。
「きみ、ちょっと身体検査しようっ。何か危険な物を持っている可能性があるな、きみはっ!」
「は? いやいや、そんなもの持ってませんって……」
「うるさい、抵抗するなっ!」
そう言って車掌は俺を無理矢理トイレに押し込んだ。
トイレの中で俺を後ろ手にする車掌。
いくらなんでも荒っぽすぎるだろ、と思いながらも相手は車掌なのでとりあえず抵抗はしないことにした。
「おら、何か隠してるならさっさと出した方が身のためだぞっ!」
「何も隠してませんよ」
「じゃああの男の腕をどうやって潰したんだっ! 言ってみろっ!」
「だから、それは――」
「ほれ、言えないじゃないかっ!」
このやり取りをしている間、車掌は俺の体を叩いてくまなくチェックしていた。
そしてどんどんヒートアップしていく。
「今度は前を向け、前をっ! 徹底的に調べてやるからな、覚悟しろっ!」
だがそれと同時に俺も頭に血が上り始めていた。
というより、もうすでに頭に来ていた。
「いい加減にしてくれ」
「おっ、なんだ! 抵抗する気かっ!」
「チンカンニクア」
「なんだそれはっ! 今なんて言ったっ!」
気がつけば俺は悪人感知呪文を唱えていた。
目の前の車掌が悪人であればいいと願いつつ。
そして――
「お前、悪人だな」
俺の願いが天に届いたのか、俺の悪人感知レーダーが車掌にひっかかったので、
「何を言ってるんぱぎゃ……!」
――俺は今までにないほど、静かに素早く目の前の人間の首の骨を折ったのだった。
ててててってってってーん!
『鬼束ヤマトは犬童秀作を殺したことでレベルが1上がりました』
『最大HPが1、最大MPが0、ちからが1、まもりが1、すばやさが1上がりました』
◇ ◇ ◇
一人殺すも二人殺すも同じこと。
俺は「イタブ」と唱えると、トイレの外にいた男の腕を取り中に引きずり込んだ。
「なっ、や、やめてく――」
男が発せた言葉はそこまでだった。
なぜなら男の首はその時胴体から切り離されたからだ。
ててててってってってーん!
『鬼束ヤマトは的井蓮司を殺したことでレベルが1上がりました』
『最大HPが0、最大MPが2、ちからが1、まもりが0、すばやさが1上がりました』
『鬼束ヤマトはシンアの呪文を覚えました』
◇ ◇ ◇
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鬼束ヤマト:レベル42
HP:73/74
MP:62/70
ちから:67
まもり:65
すばやさ:64
呪文:クフイカ(2)
:クドゲ(1)
:チンカンニクア(3)
:シアビノシ(4)
:ンガリンセ(6)
:ンシクド(5)
:インテ(10)
:ヨキウヨシクオキ(25)
:マダズミ(10)
:イタブ(3)
:シンア(3)
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