レベリング・マーダー 一週間に一回は人を殺さないと自分が死んでしまう。ならばいっそ勧善懲悪しよう。

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第112話 墓地の掃除

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朝ご飯を食べ終えた俺は昨日の感謝の意を込めて墓地の掃除を買って出た。
道端さんのおじいさんは墓地の管理を任されているのだそうだが、年々腰が悪くなっているらしく俺が掃除をすると言うと手を叩いて喜んでくれた。
そして今俺は道端さんにも手伝ってもらいながら墓地の掃き掃除をしているところだった。

「へー、鬼束さんって二十四歳なんですね。わたしと一つしか違わないんだ~」
「ん? もっとおじさんっぽく見える?」
「いえっ。おじさんっていうか大人っぽいっていう感じです。なんか落ち着いてるっていうか……」
「そう。ならよかった」
俺はどちらかというと自分のことを童顔だと思っていたので、大人っぽいと言われたことに少し気分をよくしていた。

「鬼束さんは群馬の人なんですか?」
「そうだよ。生まれも育ちも群馬。道端さんはこっちの生まれなんでしょ?」
「はい。でも大学は群馬県の大学に通っていたのでその流れで群馬県で就職したんです」
「ふーん、そうなんだ。じゃあもしかしたらどこかですれ違ってたこともあるかもしれないね」
「ええ。そう考えるとなんか不思議ですね」

道端さんと他愛もない会話をしつつ掃除をする手を動かす俺。
昨日ここで殺人者相手に殺し合いをしていたとはとても思えないほどゆっくりとした時間が流れていた。

「鬼束さん、もしよかったらお昼も食べていってくださいよ。お漬物とご飯とお味噌汁と、あとそうめんくらいしかありませんけど」
「うん、ありがとう」

俺と道端さんはしばらくの間、掃除をしながら会話に花を咲かせていた。


◇ ◇ ◇


「お友達ですか?」
「うん、まあね」
掃除が一段落して俺はスマホを確認していた。
何かあればLINEであきらから連絡があるはずだからだ。

するとそこには、

[ヤマトさん、なんかそっちにもう一人向かってるっぽい。気をつけてね。]

[向こうもヤマトさんのこと知ってるみたい。]

[今すぐ南部水族館ってところに行ってみて。]

[橋田典子。二十七歳、瘦せ型、髪にリボン。予知の呪文が使えるみたいだよ。]

と四つのLINEの文章が届いていた。


「ごめん、道端さん。やっぱり昼ご飯は食べられないかも、ちょっと急ぎの用が出来ちゃったから」
「そうですか……」
残念そうに道端さん。

「それでさ、南部水族館ってどこにあるかわかる?」
「南部水族館ですか? それならここを真っ直ぐのところにありますけど……」
「ほんとっ? ありがと、助かったよ」
俺はそう返すとすぐさま駆け出した。

「あっちょっと待ってくださいっ」
道端さんが何やら叫んでいるが、多分俺のリュックのことだろう。
持っていっても戦いの邪魔になるだけだし、あとで取りに戻ればいい。
最悪捨ててもらったって別に構わないしな。


◇ ◇ ◇


俺の目の前には大きな山が立ちはだかっていた。
道端さんの言う通りの道を通ってきたのだが行き止まりにぶち当たってしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ、だから、待ってくださいって、言ったのに……」
すると道端さんが息を荒げながら駆け寄ってきた。

「南部水族館、確かにこっちにありますけど……はぁ、はぁ。こっちからは大きな山があって行けないんです……ふぅ、行くなら車で大きく迂回しないと……」
「あ、なるほどそういうことか」
別に道が間違っていたわけではなかったのか。

「じゃあ、この山を越えれば南部水族館はすぐそこってことだね」
「はぁ、はぁ、えっと、まあそうですけど」
「それを聞いて安心したよ。じゃあ行ってくるっ」
「え? ちょ、ちょっと……!」

道端さんが驚きの声を上げる中、俺は一足飛びで山を颯爽と上り出すのだった。
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