【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

文字の大きさ
2 / 59

第2話 何かいる

しおりを挟む
俺の目の前にはぽっかりと大きく口を開けたダンジョンの入り口があった。

「す、すごい、ダンジョンだっ……で、でもなんでこんなところに……?」

興奮を抑えきれないが、それでもなんとか冷静になって頭を回転させる。
この公園にダンジョンなどなかったはず。
少なくとも今朝この辺りを通った時は気付かなかった。

周りを見渡すが俺のほかには誰もいない。
このダンジョンの存在に気付いているのは俺だけだ。

ダンジョンは早い者勝ちがルール。
なので俺は考えるのをやめ、誰かが来ないうちに早速ダンジョン内部へと足を踏み入れることにした。

「よ、よしっ」

自分の頬を叩いて一旦気を引き締めてから、ダンジョンの入り口をおそるおそる通過する。
やはり俺が一番最初だったようで、難なくダンジョンの中に入ることが出来た。

薄暗い中、奥へと続く階段を一歩一歩下りていく。
するとやや開けた空間に出た。

そこは坑道のような造りになっていて、壁にはいくつもの松明がかけられていた。
そのおかげで遠くの方までぼんやりとではあるが見通すことも出来る。

「は、ははっ。俺は今ダンジョンの中にいるんだっ。やったぞっ」

長年思い描いていたことが現実となり、否が応にも胸の鼓動が高鳴る。
とはいえ俺のレベルは当然のことながら1だ。
ダンジョンに入ったことがないのだから当たり前だ。

ダンジョン内にはアイテムもあるが同時にモンスターも存在しているはず。
なので俺はごくりと唾を飲み込むと、両手を胸の前に構えて、やったこともないのにボクシングのポーズをとってみせる。

「……モンスターよ、来るなら来い」

でも出来れば弱いモンスターにしてくれ。
頼むからいきなりミノタウロスとかはやめてくれよ。

ダンジョンの中にはミノタウロスというモンスターがいるらしく、そのミノタウロスの推奨討伐レベルは話に聞いた限りでは100だった。
現在レベル1の俺がそいつに出遭ってしまえば、まず勝ち目はない。
逃げることが出来なければそこで俺の人生はジ・エンドだ。

「ふぅ、緊張する……」

特段暑いわけでもないが、俺は額に汗をにじませていた。
それくらい気を張って周囲を警戒していたのだ。

とそんな時だった。

『ピューィ!』

鳥の鳴き声かそれとも口笛かというような音が前方から聞こえてきた。
一瞬ビクッとなりながらも、俺は音のした方へ顔を向け目を凝らす。

『ピューィ!』

また聞こえた。
だが音の出所がはっきりしない。

松明の明かり程度では、やはり遠くを見通すには限界があるか……。
そう思った俺は前へ前へと歩を進めていく。


『ピューィ!』

そんな矢先、視界に一瞬だけだが光る物をとらえた気がした。
それは金色の光を残しつつ、かなりのスピードで空中を移動しているようだった。

「何かいる……」

俺はその場に足を止め、周りを見回す。

『ピューィ!』

しばらくそうしていると、暗さに目が慣れてきたのか、それとも高速飛行する光る物体の速さに目が追いついてきたのか、俺はその物の輪郭をとらえ始める。

さらに次の瞬間、運のいいことにそのモンスターが高速飛行をやめて俺の正面でぴたっと止まった。
そのおかげで俺はそのモンスターをはっきりと見ることが出来た。

そのモンスターの正体とは――

「……ス、スライムっ……?」

頭の上に天使の輪を乗せた金色に光り輝くスライムだった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

処理中です...