3 / 59
第3話 ゴールドメタルスライム
「な、なんだこのモンスター……話に聞いたことがないぞ……」
宙に浮かぶ金色のスライムを目の当たりにして、俺は戸惑っていた。
というのも俺は、ダンジョンに関する情報は常日頃からSNSなどを使って集めていたのだ。
なので自慢じゃないが、ダンジョンに出てくるアイテムもモンスターも網羅しているつもりでいた。
少なくとも、これまでに発見されたことのあるアイテムやモンスターはすべて把握しているはずだった。
しかしながら、今俺の目の前にいるスライムはまったく情報にない。
「なんだこのモンスター……一応、スライムだよな……?」
見た目こそスライムそのものだが、体は金色に光り輝いていて、ここがダンジョンの中だということも忘れるくらいに神々しい。
そして、頭の上には天使の輪のような物も浮かんでいる。
『ピューィ!』
「うおっ!?」
うかつにもそのスライムに見惚れていたところ、その金色のスライムは突然鳴き声を上げ飛び去っていってしまった。
数瞬したのち、
「……逃げられたっ」
ハッとなった俺はすぐさま追いかけ始める。
「待ってくれっ!」
だが相手はかなりの速度で飛んでいて、なかなか追いつけない。
俺が必死になって走っているうちに、その金色のスライムは俺からある程度離れた後、くるりと方向転換して戻ってきた。
「ん? なんだろう?」
と思ったら今度は急接近してくるではないか!
そしてそのまま俺に向かって体当たりを仕掛けてきた。
「ちょ、ちょっと、まっ……」
慌てて避けようとするが間に合わない。
俺はもろに体当たりを受けて後方へと吹っ飛んだ。
「ぐほっ!!」
勢いよく地面に叩きつけられ、俺はその場で悶絶する。
「い、痛いっ……」
なんとか体を起こして自分の体に怪我がないかどうか確認する。
幸いなことにどこからも血が出てはいなかった。
「くっ……今のはさすがに効いたぞ」
俺は痛みをこらえながら立ち上がると、再度金色のスライムを追いかける。
可愛い見た目にはもう惑わされないからな。
「おい、お前っ、待てよっ」
だがスライムは俺の言葉を理解しているかのように、一定の距離を保ったまま決して止まろうとはしなかった。
それどころか、俺が近づこうとするたびにスピードを上げて離れていく始末だ。
「くそっ、なんだよ、あいつ……」
俺はあきらめてその場に立ち止まる。
「はぁはぁ……まさかこんなに体力を奪われるなんて……」
日頃の運動不足のせいだろうか、それともこのダンジョンに入って緊張しっぱなしだったからだろうか。
いずれにせよ息切れが激しく、肩で呼吸をしている状態だった。
しばらくするとようやく落ち着いてきたため、俺はもう一度だけスライムに話しかけてみることにした。
もうこの時には、ほかのモンスターやアイテムのことなどまったく頭になかった。
「おーい。あの、さっきはごめん。いきなり襲ってきたものだからつい……」
俺は謝罪の意味を込めて手を差し出す。
「えっと、ほら、握手しよう。それで仲直りだ。な?」
『ピューィ?』
金色のスライムは不思議そうな顔を浮かべながら俺の手を見つめたあと、ゆっくりと近づいてきて差し出した手に自ら触れてきた。
「よし、これで許してくれるよな」
『ピューィ』
どうやら俺の言葉を理解している様子のスライムは、無防備な姿を俺に晒している。
それを見て決心が揺らぎそうになるも、相手はモンスターなんだ、と自分に言い聞かせ、
「隙ありっ!」
スライムを思いっきり殴りつけてやった。
話に聞いていた限りではスライムってのは、一撃で倒せるほど弱いモンスターらしかった。
なので俺もそのつもりでいた。
だがしかし、その金色のスライムは違った。
まるでゴムと金属を混ぜ合わせた合金のような感触がして、俺のこぶしの方が悲鳴を上げた。
「いってぇーっ……!」
こぶしにはうっすらと血がにじんでいる。
『ピューィ……ピューィ』
それでも多少はダメージを負わせたようで、スライムはふらふらっと体を揺らしていた。
それを見た俺はチャンスだと思い、今度はスライムを蹴り飛ばしてやった。
「おりゃあ!」
ドゴッという鈍い音とともにスライムは地面を転がる。
「まだまだっ」
俺はすかさず追撃を加えるべくスライムに歩み寄る。
「とどめだっ」
そして思いきり踏みつけた。
その瞬間――パアァン!
何かが弾けるような音がしたかと思うと、俺の足元に金色の粒子が舞い飛んだ。
するとその直後、
『ゴールドメタルスライム撃破! 木崎賢吾のレベルが164に上がりました!』
無機質な機械音声が突如として俺の頭の中に鳴り響いたのだった。
宙に浮かぶ金色のスライムを目の当たりにして、俺は戸惑っていた。
というのも俺は、ダンジョンに関する情報は常日頃からSNSなどを使って集めていたのだ。
なので自慢じゃないが、ダンジョンに出てくるアイテムもモンスターも網羅しているつもりでいた。
少なくとも、これまでに発見されたことのあるアイテムやモンスターはすべて把握しているはずだった。
しかしながら、今俺の目の前にいるスライムはまったく情報にない。
「なんだこのモンスター……一応、スライムだよな……?」
見た目こそスライムそのものだが、体は金色に光り輝いていて、ここがダンジョンの中だということも忘れるくらいに神々しい。
そして、頭の上には天使の輪のような物も浮かんでいる。
『ピューィ!』
「うおっ!?」
うかつにもそのスライムに見惚れていたところ、その金色のスライムは突然鳴き声を上げ飛び去っていってしまった。
数瞬したのち、
「……逃げられたっ」
ハッとなった俺はすぐさま追いかけ始める。
「待ってくれっ!」
だが相手はかなりの速度で飛んでいて、なかなか追いつけない。
俺が必死になって走っているうちに、その金色のスライムは俺からある程度離れた後、くるりと方向転換して戻ってきた。
「ん? なんだろう?」
と思ったら今度は急接近してくるではないか!
そしてそのまま俺に向かって体当たりを仕掛けてきた。
「ちょ、ちょっと、まっ……」
慌てて避けようとするが間に合わない。
俺はもろに体当たりを受けて後方へと吹っ飛んだ。
「ぐほっ!!」
勢いよく地面に叩きつけられ、俺はその場で悶絶する。
「い、痛いっ……」
なんとか体を起こして自分の体に怪我がないかどうか確認する。
幸いなことにどこからも血が出てはいなかった。
「くっ……今のはさすがに効いたぞ」
俺は痛みをこらえながら立ち上がると、再度金色のスライムを追いかける。
可愛い見た目にはもう惑わされないからな。
「おい、お前っ、待てよっ」
だがスライムは俺の言葉を理解しているかのように、一定の距離を保ったまま決して止まろうとはしなかった。
それどころか、俺が近づこうとするたびにスピードを上げて離れていく始末だ。
「くそっ、なんだよ、あいつ……」
俺はあきらめてその場に立ち止まる。
「はぁはぁ……まさかこんなに体力を奪われるなんて……」
日頃の運動不足のせいだろうか、それともこのダンジョンに入って緊張しっぱなしだったからだろうか。
いずれにせよ息切れが激しく、肩で呼吸をしている状態だった。
しばらくするとようやく落ち着いてきたため、俺はもう一度だけスライムに話しかけてみることにした。
もうこの時には、ほかのモンスターやアイテムのことなどまったく頭になかった。
「おーい。あの、さっきはごめん。いきなり襲ってきたものだからつい……」
俺は謝罪の意味を込めて手を差し出す。
「えっと、ほら、握手しよう。それで仲直りだ。な?」
『ピューィ?』
金色のスライムは不思議そうな顔を浮かべながら俺の手を見つめたあと、ゆっくりと近づいてきて差し出した手に自ら触れてきた。
「よし、これで許してくれるよな」
『ピューィ』
どうやら俺の言葉を理解している様子のスライムは、無防備な姿を俺に晒している。
それを見て決心が揺らぎそうになるも、相手はモンスターなんだ、と自分に言い聞かせ、
「隙ありっ!」
スライムを思いっきり殴りつけてやった。
話に聞いていた限りではスライムってのは、一撃で倒せるほど弱いモンスターらしかった。
なので俺もそのつもりでいた。
だがしかし、その金色のスライムは違った。
まるでゴムと金属を混ぜ合わせた合金のような感触がして、俺のこぶしの方が悲鳴を上げた。
「いってぇーっ……!」
こぶしにはうっすらと血がにじんでいる。
『ピューィ……ピューィ』
それでも多少はダメージを負わせたようで、スライムはふらふらっと体を揺らしていた。
それを見た俺はチャンスだと思い、今度はスライムを蹴り飛ばしてやった。
「おりゃあ!」
ドゴッという鈍い音とともにスライムは地面を転がる。
「まだまだっ」
俺はすかさず追撃を加えるべくスライムに歩み寄る。
「とどめだっ」
そして思いきり踏みつけた。
その瞬間――パアァン!
何かが弾けるような音がしたかと思うと、俺の足元に金色の粒子が舞い飛んだ。
するとその直後、
『ゴールドメタルスライム撃破! 木崎賢吾のレベルが164に上がりました!』
無機質な機械音声が突如として俺の頭の中に鳴り響いたのだった。
あなたにおすすめの小説
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。