【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

文字の大きさ
28 / 59

第28話 思わぬ再会

しおりを挟む
「ではステータス画面を見せてください」

正面に座るスタッフが、俺に対してそう言った。
それを受け俺は、「ステータスオープン」と口にして、自分のステータス画面を表示させる。
そしてそれをスタッフに確認してもらった。

「……えっ!?」

スタッフは俺のステータスを目にして唖然とした表情になる。
だが、すぐにハッとなって、
「あ、も、申し訳ありませんっ。今すぐ全ステータスの合計数値を計算しますので、少々お待ちくださいっ」
と慌てた様子で手元のパソコンに何やら打ち込んでいく。

「はい、結構ですっ。で、では、お次の方どうぞっ」

俺は回れ右をすると、列から離れた。
とその矢先、俺の目に信じられない光景が飛び込んできた。

「……っ!?」

俺は一瞬意味が分からなくなり言葉を失ってしまう。
だが、俺のそんな反応も当然と言えよう。
なぜなら、俺の視線の先には、俺が元いたバイトの同僚である岸田さんがいたからだった。


◆ ◆ ◆


「き、岸田さん……? な、なんでこんなところに……?」

一人つぶやく俺。
すると向こうも俺に気付いたようで、無表情の岸田さんがこちらに歩いてくる。
よく見ると、岸田さんは魔法使いのような恰好をしていた。

「き、岸田さん。もしかして岸田さんもこの大会に参加するんですか……?」
「……」
岸田さんは無言で眠たそうな目をただ俺に向けてくる。

「あ、あの、岸田さん? 俺です俺。憶えてますよね? 同じバイトだった木崎賢吾です……あの?」
「……」
岸田さんは何も言葉を発さない。
それはまるで精巧に創られた人形のようだった。

「あのー、岸田さん?」

そこで俺は前にバイト先で聞いた岸田さんの発言を思い出す。
《わたしに敬語使うの止めてくれませんか?》
《店から一歩出たら普通に話してください。じゃないとこれからずっと無視しますからね》
たしかに岸田さんはそう言っていた。

なので俺は今度は敬語を使わずに再度話しかけてみた。
すると、
「はい。どうも木崎さん。お久しぶりです」
何事もなかったかのように岸田さんは返事をした。

「ど、どうもじゃないってば。なんで岸田さんがここにいるのっ? って言うかその恰好は何っ? ま、まさかだけど、岸田さんってダンジョン所有者なのっ?」

俺はあふれ出る疑問をぶつけていく。
それに対し岸田さんは、
「はい。わたしダンジョン所有してますから、今回の大会も参加しますよ」
淡々とした口調で返した。

俺はパニック寸前だった。
だってそうだろ。
同じバイト仲間として働いていた岸田さんは、俺がダンジョンを探しているということを知っていたんだ。
なのに自分がダンジョン所有者だということを近くにいながら黙っていたんだぞ。

「わ、わけがわからないって。なんで、なんで俺に黙ってたの? ダンジョン持ってるって。大体ダンジョン持ってたのにバイトしてたのってどうしてなのさ」
「それはですね、木崎さんが傷つくかもしれないと思って黙っていました。バイトに関してはわたしが好きだからしていることです」
「あ……そ、そう、だったんだ」
「すみませんでした。やっぱり話した方がよかったですか?」
「い、いや、別に……それならいいんだ、うん。なんかごめん」

話を聞いてみると岸田さんは俺のためを思って黙っていてくれたらしかった。
そうとわかるともうこれ以上追及は出来ない。
俺は話題を変えようと試みる。

「え、えっとさあ、ところで、岸田さんはなんでこのバトルトーナメントに参加しようと思ったの? やっぱり副賞の使い魔の卵が目当て?」
「そうですね。まあ、それもありますけど」
そう前置いてから岸田さんはおもむろにこう口にする。
「一番は自分の力試しです。わたし結構強いみたいなので、だったらどこまでいけるのか試してみたくなったんです」

「へー、そうなんだ……ふーん」
なんかバトル漫画の主人公みたいなことを言うなぁ。
俺は岸田さんと数年の付き合いがあるのだが、その性格をいまだつかめずにいた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

処理中です...