【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

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第37話 ミノケンタウロス

死を予感した俺はその身を反転させ、逃げ出した。

『あ、こら人間待ちやがれぇっ!』

ミノケンタウロスが声を上げながら追いかけてくる。
だが、当然待つはずもなく、俺は一心不乱にダンジョン内を駆け抜けた。

幸運なことにダンジョンの内部は広い空間もあれば狭い通路もあったので、ミノケンタウロスが通れそうもない狭い通路にあえて逃げ込んだ。

「卑怯だぞこらぁっ! 戻ってきやがれっ!!」

後ろからミノケンタウロスの怒りに満ちた声が飛んでくるが、俺はそんなのお構いなしにひたすら走った。

その結果――
「はぁはぁはぁっ……に、逃げ切れたか……」
俺はミノケンタウロスから逃げ切ることに成功したようだった。

「ふぅ……危ねー。マジで死ぬかと思った」
俺は安堵の息を漏らす。
だが、なぜか気分が高揚しているのも感じていた。

「ふっ……はははっ」

死に直面しておかしくなってしまったのかとも思ったが、多分違う。
俺は強くなりすぎていたことによって、知らず知らずのうちに自分よりもさらに強大なモンスターをこころのどこかで待ち望んでいたんだと思う。
だから、殺されていたかもしれないというのに、俺は自然と笑みがこぼれてしまっていた。


◆ ◆ ◆


しばらく休憩をとったのち俺は一旦家に帰ることにした。
ミノケンタウロスから受けたダメージもあるし、疲れもたまっていたし、さらに空腹でもあったためだ。

だがそこでふと、
「ん? これってどうやったらもとの白金の大迷宮に戻れるんだろうな」
と疑問がわく。

「あれかな? ホイッスルをもう一度吹けば戻れるかな?」
そう思い、俺はポケットからホイッスルを取り出すとそれを口に当てた。
しかしその時、とあるアイテムが俺の視界に飛び込んできた。

そのアイテムはエリクサーによく似ていた。
俺は近寄っていき、それを拾い上げる。
「これはエリクサー……じゃ、ないか?」
ボトルの形はエリクサーそのものだが、中に入っている液体の色が微妙に違っていた。

「うーん、なんだこのアイテム。見たことないぞ」

またしても俺の知らない存在との出会いだった。
やはり、この裏ダンジョンとやらに出現するモンスターもアイテムもすべて、未知のものであるようだった。

「とりあえず持って帰るか。どんなアイテムかわからないけど、多分かなり高額で買い取ってもらえるだろうしな」
俺はそう考えると、エリクサーによく似たアイテムを持ったまま再度、ホイッスルを吹いた。

するとその瞬間、俺の目の前にブオオ――ンと穴が開いた。
よく見るとその穴の向こう側には白金の大迷宮の見知った光景が確認できた。

「おおっ。この中に入ればもといた場所に戻れそうだぞ」

俺は人一人がやっと通れそうなその穴に手を伸ばそうとして――

『逃がすか人間っ!!』

その刹那、背後から何かが俺の背中に直撃し、俺は前方へと飛ばされてしまう。
地面を転がる俺。
なんとか体勢を立て直し、振り返るとそこには大きな石の欠片が落ちていて、それが俺の背中にぶつかったのだとわかった。
そしてその先には、たった今振り切ってきたはずのミノケンタウロスの姿があった。

「……し、しつこい奴だな……」
『逃がさんぞぉーっ!』
ミノケンタウロスは咆哮を上げながら向かってくる。
俺がふっ飛ばされたことにより、白金の大迷宮へとつながっている穴がミノケンタウロスと俺のちょうど中間地点に存在する形となっていた。

「くそっ……グラビティハントっ!」

俺はスキルを使用し、ミノケンタウロスの動きを一瞬でも遅くする。
それにより俺の方がわずかだが穴へと先にたどり着ける。
そう思った刹那、俺の目の前には大きなヤリの先端が迫って見えた。

どうやら俺がグラビティハントを使った直後にミノケンタウロスは自分の持っていたヤリを投げ放っていたようだった。

よ、避けられない……死ぬっ。

瞬時にそう悟った俺はすかさず、
「き、緊急脱出っ!」
そう声を上げていた。
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