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第46話 岸田さん所有のダンジョン
岸田さんと約束した日の朝。
俺はいつになくスマホのアラームを使わずに早起きすることが出来た。
というより、目が冴えてしまって、あまりよく眠れなかったという方が正確かもしれないが……。
まあ、とにかくだ。
今日は岸田さんの所有するダンジョンに一緒に潜ってみる日だ。
俺は机の上に置いておいたダンジョン通行証をポケットの中に押し込むと、
「さて、行くか」
メロンパンを食べ切ってから部屋を出た。
◆ ◆ ◆
「お待たせ、岸田さん」
「どうも、木崎さん。おはようございます」
木崎さんは魔法使い風の恰好でダンジョンの入り口の前に立っていた。
俺が声をかけると、とんがり帽子を手で押さえつつ、頭を下げる。
「これが岸田さんの持っているダンジョンなんだね」
「はい」
俺はダンジョンの入り口を眺めながら、白金の大迷宮に通じる入り口よりだいぶ小さいなと素直に思った。
今俺たちがいるのは長野県と群馬県の県境にある山の中である。
そこにひっそりと目立たぬように岸田さんのダンジョンは存在していた。
「早速入ってみてください」
眠そうな目をした岸田さんが俺に顔を向ける。
「俺が先でいいの?」
「はい。どうぞ」
「じゃあ、入ってみるよ」
俺はダンジョン通行証の効力を信じて、ダンジョンへと足を一歩踏み入れた。
◆ ◆ ◆
そこはダンジョンの中だった。
土で覆われた壁や天井、坑道のような造りの通路。
松明があちこちに置かれていて、薄暗いながらも、それなりに遠くは見通せる。
そしてすぐ目の前には地下へと続く階段もあった。
「おお、このダンジョンはワンフロアじゃないのか」
「はい。そうです」
俺のつぶやきに岸田さんが声を返してきた。
振り返ると、岸田さんもダンジョン内に入ってきていた。
「わたしの確認している限りでは、このダンジョンは地下48階まではあります」
「へー、そうなんだ」
「多分もっと深く続いてるんでしょうけど、それ以上はモンスターが強すぎて今のわたしには無理なんです」
「ふーん」
岸田さんはそれなりに強いはずだけど、そんな岸田さんでもきついのか。
それは興味があるな。
「でもバイトしながら地下48階も潜ってたら時間がいくらあっても足りないんじゃないの? っていうか、地上に戻るだけでも倍の時間がかかるでしょ」
気になって訊ねると、
「いえ、それは大丈夫です」
と岸田さん。
「このアイテムがありますから」
そう言って俺に見せてきたのはガラケーのような物体だった。
俺はそれを直接見たことはなかったが、知識としては知っていた。
「あ、それって帰還テレホンでしょっ?」
「はい、そうです。これがあればどこからでもすぐ地上に戻れますから」
「へー、便利なアイテム持ってるんだね」
帰還テレホンとは、電源を入れるとその途端に、使用者の半径1メートル以内の者をダンジョン外へ脱出させることが出来るというかなり便利なアイテムなのだった。
俺のスキルである緊急脱出とは違って、所持アイテムもなくならない。
しかも何度でも使用可能というダンジョン探索者にとっては欠かすことの出来ないアイテムでもある。
そのためそのアイテム一つで7000万円というかなり高額な売値がついている。
残念なことに白金の大迷宮では一度もお目にかかれてはいない、俺にとっては幻のアイテムでもあった。
「これからどうします? もう出ますか? それとも少し探索していきますか?」
「そうだなぁ……せっかく来たんだし見ていってもいいかな?」
そう問いかける俺に、岸田さんはこころよく、
「はい、もちろんです」
とうなずいてくれた。
俺はいつになくスマホのアラームを使わずに早起きすることが出来た。
というより、目が冴えてしまって、あまりよく眠れなかったという方が正確かもしれないが……。
まあ、とにかくだ。
今日は岸田さんの所有するダンジョンに一緒に潜ってみる日だ。
俺は机の上に置いておいたダンジョン通行証をポケットの中に押し込むと、
「さて、行くか」
メロンパンを食べ切ってから部屋を出た。
◆ ◆ ◆
「お待たせ、岸田さん」
「どうも、木崎さん。おはようございます」
木崎さんは魔法使い風の恰好でダンジョンの入り口の前に立っていた。
俺が声をかけると、とんがり帽子を手で押さえつつ、頭を下げる。
「これが岸田さんの持っているダンジョンなんだね」
「はい」
俺はダンジョンの入り口を眺めながら、白金の大迷宮に通じる入り口よりだいぶ小さいなと素直に思った。
今俺たちがいるのは長野県と群馬県の県境にある山の中である。
そこにひっそりと目立たぬように岸田さんのダンジョンは存在していた。
「早速入ってみてください」
眠そうな目をした岸田さんが俺に顔を向ける。
「俺が先でいいの?」
「はい。どうぞ」
「じゃあ、入ってみるよ」
俺はダンジョン通行証の効力を信じて、ダンジョンへと足を一歩踏み入れた。
◆ ◆ ◆
そこはダンジョンの中だった。
土で覆われた壁や天井、坑道のような造りの通路。
松明があちこちに置かれていて、薄暗いながらも、それなりに遠くは見通せる。
そしてすぐ目の前には地下へと続く階段もあった。
「おお、このダンジョンはワンフロアじゃないのか」
「はい。そうです」
俺のつぶやきに岸田さんが声を返してきた。
振り返ると、岸田さんもダンジョン内に入ってきていた。
「わたしの確認している限りでは、このダンジョンは地下48階まではあります」
「へー、そうなんだ」
「多分もっと深く続いてるんでしょうけど、それ以上はモンスターが強すぎて今のわたしには無理なんです」
「ふーん」
岸田さんはそれなりに強いはずだけど、そんな岸田さんでもきついのか。
それは興味があるな。
「でもバイトしながら地下48階も潜ってたら時間がいくらあっても足りないんじゃないの? っていうか、地上に戻るだけでも倍の時間がかかるでしょ」
気になって訊ねると、
「いえ、それは大丈夫です」
と岸田さん。
「このアイテムがありますから」
そう言って俺に見せてきたのはガラケーのような物体だった。
俺はそれを直接見たことはなかったが、知識としては知っていた。
「あ、それって帰還テレホンでしょっ?」
「はい、そうです。これがあればどこからでもすぐ地上に戻れますから」
「へー、便利なアイテム持ってるんだね」
帰還テレホンとは、電源を入れるとその途端に、使用者の半径1メートル以内の者をダンジョン外へ脱出させることが出来るというかなり便利なアイテムなのだった。
俺のスキルである緊急脱出とは違って、所持アイテムもなくならない。
しかも何度でも使用可能というダンジョン探索者にとっては欠かすことの出来ないアイテムでもある。
そのためそのアイテム一つで7000万円というかなり高額な売値がついている。
残念なことに白金の大迷宮では一度もお目にかかれてはいない、俺にとっては幻のアイテムでもあった。
「これからどうします? もう出ますか? それとも少し探索していきますか?」
「そうだなぁ……せっかく来たんだし見ていってもいいかな?」
そう問いかける俺に、岸田さんはこころよく、
「はい、もちろんです」
とうなずいてくれた。
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