53 / 59
第53話 ミノケンタウロスの最期
=================
NAME:木崎賢吾
LV:12047
HP:15287/15287
MP:8395/8395
攻撃力:14992
防御力:13641
素早さ:11898
運:999999
スキル:幸運値上昇、獲得経験値増、緊急脱出、ホーリーエッジ、グラビティハント、オーバーリリース
=================
「さてと、ここからがいよいよ本番だ」
俺は気合いを入れ直すと、黒いホイッスルを口に当て、息を吹き込んだ。
ピーッ。
と甲高い音が辺りに響き渡る。
直後、地面が揺れ始めた。
さらに足元には魔法陣が現れる。
全身がまばゆいばかりの光に包まれていき、光が最高潮に高まった瞬間、俺は裏ダンジョンへといざなわれた。
◆ ◆ ◆
久しぶりに見る石造りのダンジョン。
見上げれば、天井ははるか上の方にある。
感慨深い気分に浸っているとそこへ声を降らせてくる者がいた。
『貴様は、あの時の人間か?』
振り向くとそこにいたのは体長10メートルはあるモンスター、ミノケンタウロスだった。
『逃げたと思ったら、オレ様に殺されにわざわざ戻ってきたわけか? ふんっ、馬鹿な人間だ』
大きなヤリを手にしたミノケンタウロスが、嘲笑を浮かべ、こっちを見下ろしている。
「殺されに戻ってきたわけじゃないさ。今の俺はあの時の俺とは違うからな」
『ははははっ。どこが違うというんだ。どこも変わっていないではないか』
「そう見えるんなら、お前はその程度のモンスターってことだ」
『貴様、調子に乗っていると、あとで苦しむことになるぞっ』
ギロリとにらみつけてくるミノケンタウロス。
その目には明らかに殺意が宿って見えた。
そして次の瞬間、手に持っていた大きなヤリを俺めがけ一気に振り下ろしてきた。
あれ?
遅い……?
俺はその攻撃を横に移動して難なくかわす。
するとその俺の動きをとらえきれなかったようで、ミノケンタウロスは、
『な、なんだっ!? き、貴様、今どうやって避けたっ……?』
驚愕の表情を浮かべる。
そこで俺は気付いてしまった。
大幅なレベルアップにより、俺の身体能力はミノケンタウロスのそれよりはるか上を行くものになっている、と。
「おい、お前っ。悪いことは言わない。今の俺の動きが見えていなかったんなら、お前に勝ち目はない。さっさと逃げるんだな」
『な、なにをっ、人間の分際で偉そうにっ!』
ミノケンタウロスは歯茎をむき出しにして激怒する。
その様子を見つつ、俺は「はぁ」とため息をついた。
「一応忠告はしたぞ。それでもやるって言うなら容赦はしないからな」
『馬鹿な人間め、オレ様が今まで本気だったと思うのかっ。手加減してやっていたことにも気付かないくせに吠えおって! だが、もう許さんぞ! 貴様は跡形も残らないほど粉微塵にしてやるわっ!』
そう叫ぶとミノケンタウロスはヤリの連続攻撃を繰り出してくる。
その迫力はすさまじいものではあったが、俺の目には襲い来るヤリの動きがよく見えていた。
なので俺はそれらを最低限の動きでかわしつつ、ミノケンタウロスに近付いていく。
『く、くそがぁっ! なんで当たらねぇんだぁぁっ!!』
ミノケンタウロスの足元まで移動した俺は、地面を強く蹴りそこから真上にジャンプ。
そして、強烈なアッパーカットをミノケンタウロスのあごに命中させた。
『ぐがぁぁっ……!』
体長10メートルの巨体が仰向けにズドーンと倒れ、地面が大きく揺れる。
『……ぐ、くっ……』
勝負あった。
今の俺の一撃でミノケンタウロスはヤリを手放していて、目の焦点も定まってはいない。
足にも力が入らず、身動きが取れない状態に陥っていた。
もうしばらくすれば勝手に塵となって消えゆく運命だろう。
そんなミノケンタウロスの顔のそばまで近寄っていくと、俺はミノケンタウロスに話しかけた。
「なあ、お前。死んで消えていく前に俺にこの裏ダンジョンについて、お前が知っていることを教えてくれないか?」
『……ぅぐぐ……ま、前にも言ったが、が、骸骨のようなモンスターなど……し、知らない……』
最後の力を振り絞り俺の問いかけに反応するミノケンタウロス。
自分でも死期を悟っているようだった。
「じゃあこの裏ダンジョンには、お前のほかにどんなモンスターがいる? どんなアイテムがあるんだ?」
『……ふ、ふふっ……こ、ここは全部で、5つのフロアで成り立っている……モ、モンスターは、そのそれぞれの階層に、1体、ずつしかいない……このオレ様のようにな……』
息も絶え絶え口にする。
「全員人間の言葉を喋れるのか?」
『……そ、そうだ……い、言っておくが、そ、そいつらはおれより、ずっと、強いぜ……』
「アイテムは? どんなアイテムがあるんだ? ……ん? おい、聞いてるのか?」
『……ど、どうやら……こ、ここまでのよう……だ……に、人間よ、せいぜい……あ、あがくんだ……な……』
そう言い残すとミノケンタウロスは黒い粒子となって宙に舞い散った。
俺はただそれをじっと見届けていた。
あなたにおすすめの小説
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。