【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第3話 無人島?(三ヶ月前)

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――

――――? 潮の香り……?

「……ねぇ、ねぇってば、大丈夫? 怪我してない?」

女性の声が降ってくると同時に俺の肩が優しく叩かれた。

「ほら、起きてよ」
「……ぅん」
俺はその声にいざなわれるようにして目を覚ます。

「よかった。なんともないみたいね」

俺は体を起き上がらせると、
「……あれ? きみはたしか……」
「うん。入学式の時、隣に座ってた」
起こしてくれた女性が入学式で地震の最中に俺に話しかけてきた女子学生だと気付く。

「ええっと……ここは?」
辺りを見回すとどこぞの砂浜に俺はいた。
正面には海が広がっている。
「さあ? わたしにもわかんないわ」
と女子学生。

「すごい揺れがきたとこまでは憶えてるけど、そこから先は全然」
「そっか……」
「わたしの近くにあなたが倒れてたから起こしたってわけ」
「ああ、ありがとう」
「別にいいわよ」

女子学生は海水を吸って濡れたスカートを雑巾でも絞るかのようにぎゅぅっと両手で握り締めてからひねる。
すると海水がポタポタと地面に滴り落ちた。

「わたし、北原奏美。あなたは?」
「あ、えっと、俺は柴木善」
「柴木くんね。それで、これからどうする柴木くん」
北原奏美と名乗った女子学生は湿った前髪を耳にかけながら訊いてくる。

「どうするって言われても。ここがどこかわからないし、なんでこんなところにいるのかもわからないしな……」
なんとも頼りないセリフだがほかに言葉がない。

「じゃあとりあえず、わたしたちのほかに人がいないか探してみましょうよ。歩いてたらここがどこかわかるかもしれないし」
「ああ、そうだな」
「じゃ早速行きましょ」
そう言うと北原は俺を置いて颯爽と歩き出した。


☆ ☆ ☆


北原と二人で海沿いを歩くこと三十分、疲れた甲斐もなく俺たちは誰にも出会うことが出来なかった。
そんな無駄骨に終わった三十分間の移動中、北原は積極的に俺に話しかけてきていた。
出身はどこかとか、兄弟はいるのかとか、好きな映画はとか、とにかく延々とだ。
沈黙を嫌っての行動なのか、それとも単なる話し好きなのかはわからないが、俺とはだいぶ性格が違うようだ。

北原奏美。北海道で生まれ育ったという彼女はどことなく今のこの現状を楽しんでいるようにも見えた。
常に笑顔で明るくはきはきと喋る姿に加え、ショートカットの髪形が活発な印象を感じさせているからそう見えるのかもしれない。

「ねぇちょっと、柴木くん聞いてるっ?」
先を歩いていた北原が振り返った。

「え、ああ、うん……ごめん、なんだっけ?」
「やっぱり聞いてなかったじゃん」
と頬を膨らます。

「ごめんごめん。それで何?」
「だから、一つだけ無人島に持っていくとしたら何にするっ?」
「え? うーん、なんだろ……スマホとか」
「あ、わたしもおんなじっ」
何が嬉しいのか満面の笑みを見せてくる。
その笑顔につられてつい俺も笑顔を返すが、きっとそれはぎこちないものになっているに違いない。
これもまたコミュ障の弊害だ。
ちなみに俺と北原のスマホは海水によって完全に壊れていたが、捨てる気にはなれなかったので一応まだ持っている。

「っていうかさぁ、ここってもしかして無人島だったりしないかな?」
「うーん、どうだろな」
「だとしたらわたしたち二人っきりじゃんね」
「ははは、そうだな」
気の利いた返しも出来ずつまらない相槌に終始する俺。
きっと北原もつまらないと感じているだろう。

心の中で自分を卑下していると、
「おおーっ! おい、あれ見ろよ、おれら以外にも人いたぞっ!」
「マジだっ!」
若い男性の大きな声が二つ、前方から飛んできた。

「ほんとっ!?」
「ヤバっ。超嬉しいんだけど~っ」
さらにその後ろから若い女性の声も二つ届いてくる。

「柴木くん、見てっ。あそこに人がいるよっ。よかったー、ここ無人島じゃないみたいね」
北原は声のした方に人影をみつけ、指差してから嬉しそうに微笑んだ。

俺は、
「ああ、そうみたいだな」
と返事をするが、彼らが発した言葉が引っ掛かる。
俺たちを見て喜ぶ様は、まるで遭難者が救助隊員をみつけた時のような反応だったからだ。
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