異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

文字の大きさ
34 / 56

第34話 トラップ

しおりを挟む
地下十六階でエーテルと爆弾石と石化薬を拾った俺たちはその足で地下十七階へと急いだ。

ちなみに爆弾石は投げてぶつけると大きな爆発を起こすアイテムで、石化薬は投げ当てると当たったものを石化させるというアイテムだった。

その後、地下十七階でアイテムをさらに二つ手に入れ、地下十八階で多くのモンスターを相手にし、地下十九階で一旦休憩を挟んだのち落ちていたエリクサーとハイポーションを【マジックボックス】にしまって地下二十階へと向かった。

地下二十階に下り立つと微妙な空気の変化に気付く。
それは新木も同じだったようで、
「結城、もしかしたらここが最深階かもしれないな」
と俺と同じ思いを吐露した。

俺たちはこれまでの経験からなんとなくだが最深階の雰囲気というものがわかるようになっている。
もちろん当たらない場合も多々あるのでそこはなんとも言えないのだが。

俺と新木は少しだけ緊張感を持って先へと進む。
しばらく通路を歩いていると道が複雑に入れ乱れた場所に行き着いた。
まるで迷路のようだった。

「面倒くせぇな。こんな壁なんて結城のファイナルソードで壊しちまえよ」
言葉通り面倒くさげな顔をしながら新木が言ってくる。
たしかに迷路のような通路を普通に進んでいくのは時間がかかりそうだが、だからといって【ファイナルソード】を使うのはいかがなものか。
大体ついさっき、ダンジョン内では【ファイナルソード】を使うなと注意してきたのは新木の方だったはずだ。
気分屋の新木のことだから先ほどの自分の発言などすっかりなかったことにしているのだろうな。

「面倒だけど地道に歩くしかないだろ」
「ちっ。くそがっ……」
と新木が舌打ちをした。
どうでもいいが口が悪いな。


☆ ☆ ☆


結局迷路のような通路の出口にたどり着くまでに二時間もかかった。
俺と新木は肉体というより精神が疲労していた。
地上に戻る時、また同じ通路を通らなければならないと思うと気が滅入ってくる。

「結城、あそこが出口だろ。さっさと行こう」
「ああ、そうだな」
やっと見えた出口に新木と俺は自然と足を速める。
と新木が足を一歩踏み出した瞬間だった。
フッ!
と新木の姿が俺の目の前から一瞬にして消えた。

俺は何が起こったのかわからなかったがすぐに気を取り直し、新木が踏みしめたであろう地面を確認した。
するとそこには地面の色に紛れて気付きにくかったが、たしかにトラップのボタンが埋まっていた。

「マジか……」

俺は固まってしまう。
異世界のダンジョンにもトラップというものは存在していたが、確率的にはダンジョンに百回潜って一つあるかないかくらいでしかなかったので、トラップの有無を調べるという行為については完全に頭から抜け落ちていた。

この足元にあるトラップは場所移動系のトラップに違いない。
問題はどこに飛ばされたかだ。
この迷路のような通路内なのか、それともこのフロア内なのか、はたまたこのダンジョン内なのか。
まさか地上まで飛ばされたということはないと思うが……。

ダンジョン内ではスマホのアンテナは圏外なので連絡の取りようがない。
【ゲート】もダンジョン内では使用できないし。

「どうしよ……」

俺が頭を悩ませていた時だった。

「きゃあぁっ!」
新木の悲鳴がダンジョン内に響き渡った。

おかげでこのフロア内に新木がいることは確認が取れたが、悲鳴が聞こえたのは気がかりだ。
俺はすぐさま迷路のような通路の出口を抜け出ると、新木の声のした方へと駆け出した。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる

枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。 艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。 誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。

処理中です...