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四章 ミートパイ事件
マトリア草発見
魔法やジョブの相性は悪くても、レイはやはり天才だった。
次々と出てくるモンスターを一人で退治していく。トシキはその後ろにただついて行くだけで良かった。
(……天才魔導師か)
トシキは活き活きと戦闘しているレイの横顔を見ながら思う。
(魔力量はもしかしたら俺と同じか……いや、それ以上かも。土属性――特に攻撃魔法に関しちゃ完璧。問題は……)
「おい不細工! ちゃんとついて来い!」
「この性格だな。うん、それが一番厄介な問題でもある」
「何ぶつぶつ言ってんだ? 気持ち悪ぃ」
「あぁ、悪い。お前の事を考えていた」
「俺の事……?」
「うん。どうしてそんなに性格が悪いのかと」
「っ~~~テメェはほんっとうにむかつく奴だなぁ!!」
「お互い様だっつーの!」
再び喧嘩になろうとしていた時、トシキは視界の隅にそれを見つけた。
「あっ! おい、レイ!!」
「あん? ってか気安く名前を呼ぶんじゃねーよ」
「んなのどうでもいいだろうが。それよりアレ……もしかしてマトリア草じゃねーか?」
「っ!? なんだと……!」
レイとトシキはその草の傍に駆け寄った。
「間違いねぇ……これはマトリア草だな」
「やった! でも、どうやらこの近くにはこれしか生えてなさそうだ」
「倒れた生徒は200人以上……全然数が足りねぇな」
その時、トシキの腕の中からミュウが飛び出した。
『みゃっ!』
「ミュウ?」
ミュウはマトリア草の匂いを嗅ぐと尻尾を振ってとある方向に走り出した。
『みゃぁっ!』
「もしかしてこっちの方向にあるのか?」
『みゃぁ~~~!』
「行ってみるか?」
「んー……そうだな。ミュウを信じるか」
レイとアーサーを間違えてしまったばかりなので、トシキはあまり期待していなかったようだが、他に当てがないのでとりあえずミュウを信じて行ってみる事にした。
歩き始めてから三十分後。広く開けた場所に出た。そこには辺り一面にマトリア草が生えていた。
「やった! これだけあれば、皆助かる!!」
「でかしたミュウ! お手柄だぞ!」
『みゃぁっ~~~~!』
トシキに誉められて、よしよしと撫でられたミュウもとても嬉しそうだった。
トシキとレイは早速手分けして沢山のマトリア草をかき集めた。
「よしっと……これくらいで足りるかな」
「充分だろ。早速転送魔法で学校に届けよう」
レイがそういうのでトシキは指を鳴らして転送魔法を発動させようとした。
しかし、レイが地面に魔法陣を描き出したのでそちらが気になってしまった。
「何してんだ?」
「あ? 転送魔法だよ。これくらい大きいとでかい魔法陣が必要だろ?」
「……そんなもん?」
「しらねぇのかよ。これだからE組の落ちこぼれは」
レイが呆れたように言うので、トシキは苦笑いを浮かべるしか無かった。まさか今までどんな大きさでも指パチンで転送出来ていたとは言えない。
「よし! 完成だ」
「おぉっ! 綺麗だな」
出来あがった魔法陣はお手本のように完璧で、トシキは思わず感嘆した。
「まぁ、俺様にかかればこんなもんよ」
レイは誉められて満更ではない様子で転送魔法を発動させた。大きな袋ごとマトリア草は学校に転送された。
「さて目的は達成したな。シアンとテメェのダチを探して、とっととずらかるぞ。もうすぐ二時だ。急がねぇと」
「そうだな。ミュウ、もう一仕事頼むな」
『みゃ!』
トシキはもう一度、アーサー探しをミュウに頼む。ミュウは元気よく頷いて歩きだした。
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