落ちこぼれ同盟

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7章 リサイア大会 ペア戦予選編

憧れの人

 その剣は普段使っている愛剣ガラバットや因縁深きエクスカリバーよりも重かった。クレイモアの大きな特徴である刃に向かって大きく張り出した鍔と四つ葉の飾輪には小さな宝石がついている。
 鞘を抜いてみると広刃は眩い程美しかった。使っていないとは言っていたが、大事にしていなかった訳ではなく、シアンの手によって定期的にきちんと手入れをされているのがわかる。

 アーサーは手にした剣を両手でしっかり持ち、勢いよく振り下ろす。

「とてもいい剣ですね」
「手に馴染むには少し時間がかかりそうですかね?」

言葉にはしていないのにまるで心の内を読んだかのように的確な指摘をしたシアンに、アーサーは苦笑いを浮かべる。

「……ばれましたか」
「いつもは片手剣ばかりでしょう?」
「はい。でも実は両手剣好きなんですよ。おれの憧れの人が使っていたのも、両手剣でした。だから、いつかは使ってみたいと思っていたんです」

アーサーはそう答えながら剣を鞘に収めた。

「やはり、あなたには一流の剣がとてもよく似合いますね。それなのに、こんな木の棒で行こうとしていたなんて……」

剣を備えたアーサーを見て満足げな笑みを浮かべたシアンは、それまでアーサーが手にしていた木剣を掴んで顔を顰めた。

「えっと……そろそろ時間ですので、おれ達は行きますね」

その視線から逃れよう様にアーサーは話題を変えた。

「はい。御武運をお祈りしております」

シアンのその言葉にアーサーは頷いてガーネットと共に退室した。

試合会場までアーサーはガーネットと並んで歩く。

「……一つ、聞いてもいいですか?」
「なんだ?」

誰もいない事を確かめて話しかけて来たガーネットにアーサーが小さく言葉を促す。

「先程、憧れの人と言っていましたが……その男。もしかしておれと同じ剣を使っていましたか?」
「そうだ」

アーサーがあっさりそう答えるとガーネットは思いっきり顔を顰めた。

「あの人は、滅多にこの剣は使わなかったそうですよ。死地に追い込まれると専らデカイ斧を振り回していたとか」

「確かに剣の型は上手くなかったな……ジョンの方が綺麗だった」

でも、とアーサーは笑みを浮かべながら答える。

「おれが憧れたのは豪快に敵を薙ぎ払うオーランドの姿だったから」
「…………」

それを聞いたガーネットは考え込むように無言になった。

「どうした?」
「…………いえ、なんでもないです」

長い沈黙の後、ガーネットは堅い表情ままそう答えた。

「そうか」
「……ただ、少し燃えてきました」

「は?」


ガーネットのその言葉の意味をアーサーが理解するのは、試合が始まってからだった。
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