まなやままあやか (05/01/01/2:00)

更紗

文字の大きさ
1 / 6
あの子が耳を塞いだ時だけ現れる記録用紙

おでいさま

しおりを挟む
 冬季間(およそ12~2月)は、18時頃を過ぎてから町の各所で「おでいさま」と呼ばれる存在に遭遇することがあります。もし遭遇した場合、決して動きを止めずに一言挨拶をして通り過ぎて下さい。挨拶は、心芯から敬意を払ったものであればどのような言葉でも構いません。

↓おでいさま(写真左に写る腕)







【穴谷町における「おでいさま」】

 年に一度、二番作裏の林に顕れる家。木造の平屋建築。「竹を握って入ると出られなくなる」という伝承が有名。
 昔の穴谷町は他所に比べて特に男尊女卑の思想が強く根付いており、子を産む能を失くした女は竪谷(現:殻矛川)に棄てられていたが、林とは何の関連もない。





【守雨町における「おでいさま」】

 1700年頃より伝わる童話。各所から出版され続けている。ざっくり意訳すると「川でやたらにふざけると、二度と生まれ変わらなくなる」という話。
 話の中には「びしゃぬ」という怪奇存在が出てくるが、近年の絵本では何故か「さゆり」という女の幽霊に置き換わっている。





【竺真町における「おでいさま」】

 泥で形成された田圃の精霊。米の豊作に尽力し、田植えの時期には米農家に活力を分け与えるとされる。
 竺真町は農耕が盛んだが、何故か大根だけはどこの家でも栽培されていない。





【早良町における「おでいさま」】

 帰らなくなった人の総称。通夜や葬儀では、故人のことを「****御尼」と表現する。
 1978年に行われた、早良町4番地7の東 高彦さん(享年78)の葬儀では、塔婆に書かれていた戒名の末に『御泥』と書かれていた。その後の花向けの儀で棺を開けた際、高彦さんの口と顎が、胴に向かって著しく垂れており、右目が肥大化し、左目は消え入りそうなほどすぼまっていたという。また、口内には黄色をした潰瘍のようなものが10個ほど出来ていた。





【江良郡における「おでいさま」】

 女が13歳、15歳、21歳になる誕生日に顕れ、腹と陰部を食らうとされる怪異。おでいさまを退けるため、女はその日に純米酒を4度に分けて飲む習慣がある。
 2000年、横田家の次女である横田梨流(当時15)が、自室で                 状態で見つかったことから、江良郡では一層おでいさまの存在が信じられるようになった。





【寄納村における「おでいさま」】

 1948年に藪で殺された女。重度の虚言癖があった。





【玉木町における「おでいさま」】

 大食らいの人間を指す言葉。玉木町を含む南直市では食文化が多様化しており、蜂の揚げ焼きと蛇ダレ焼が地域の自慢となっている。





【鷹谷澪における「おでいさま」】

 成れの果て





穴谷町二番作(現:葉渡区)

撮影日時:2018/05/03
補項:これ以上近付けませんでした。













 以上は、新潟県生藁市に存在する口伝を、実際の内容と同様に解釈できる程度の体裁を保持したまま、出来る限りの脚色、誇張を加えたものです。


   遺書まで書かなくても、もう必要ないのに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。 2025/11/30:『かべにかおあり』の章を追加。2025/12/7の朝8時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...