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ティムの手紙 20

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Dear フレッド

元気でいるかい?
今僕は猛烈に反省している。
件の御仁が忙しくて趣味の冒険小説を読む暇もないと嘆いていらっしゃるのを聞いて思い当たったんだ。
落ち着いてみると僕は僕の事ばかりで、君の今を思いやれてなかった気がする。
君の事だから、とっくに夢を叶えて国の中枢で力を発揮しているんだろう?
そうすると今の戦後処理で寝る間も惜しんで働いているんじゃないかと心配になっているんだ。
君がまだ中枢にいないのなら、戦線に巻き込まれていなかったか心配するべきだったのだから、結局は僕が薄情だったというわけだ。
こんな薄情者の僕だが、君を思っていることだけは確かなので、怒るだけ怒って、許してくれるとありがたい。
そして、これからはいくらでも時間があるのだから友人である僕が持つ君を心配するという特権を大いに振るわせて欲しい。
じゃあまた。

君の安寧を願う友人 ティム

P.S. 御仁が僕を先生と呼ぶのはあの冒険小説の影響らしい。師にはなれないだろう僕だけど、またひとつ夢が叶ったとこれだけは喜ばせてくれ。
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