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小柄な女の子
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婚約から11年の時が経ちました。私は17歳、マシュー様は20歳になりました。
マシュー様の騎士団への所属は、お父様が将軍の地位にいるからだなんて声も最初はあったようです。ですが、王都近くで行われた大型魔物討伐作戦での活躍を認められ、今では一部隊を率いる隊長まで務めていらっしゃいます。さすがマシュー様ですね。
ある日、マシュー様から思いがけないお話を聞きました。
「リナ、剣の講師として学園にいくことになったんだ」
学園に所属する貴族の剣の指導には、第一騎士団員があたるという不文律があります。ですから騎士団員が来るのは知っていました。でも、それがマシュー様だなんて、思ってもみませんでした。
「まあ、特に優秀な方が指導にあたると聞いていますわ」
剣の授業はさすがに受けられませんが、学校内でもお姿が見れるかもしれないなんて、ワクワクします。お話を聞いた時は心から祝福させて頂きました。
「さすがマシュー様ですわ」
「…ありがとう」
誉められた時の照れたお顔は、普段の格好良さとの差がすごくて、思わず叫んでしまいそうでした。
マシュー様と仲は順調でした…あの日までは。
卒業まで残すところ後1ケ月程だったあの日、私は学園内を移動中でした。ふと視線が流れた中庭のベンチに、並んで座る人影を見つけてしまったのです。
ちらりと見える後ろ姿は間違いなくマシュー様のもので、その腕には小柄な女性が抱き着いています。横顔しか見えませんが、淡いミルクティー色の髪をした可愛らしい女性でした。
「ねえ、私のこと可愛いと思う?」
「ああ、可愛い…な」
「キャッ、マシュー様ったら!エミリー嬉しい!」
ああ、彼女がエミリーさんですか。
平民出身の彼女は、最近の学園では一躍話題の人です。婚約者がいても恋人がいても関係なしで近づいて行く彼女は、見かねて注意した人に対して、自分が好きな人を好きと言って何が悪いのと言い放った強者です。
恐ろしい事に、彼女にたぶらかされた人はどんどん増えているとは聞いていました。聞いてはいましたが、自分には関係ないことだと思っていました。マシュー様に限ってそんなことにはならないと。
「本当に可愛いよ」
「ありがとう!」
私は思わず息を呑みました。可愛いなんて私は言われたことがありません。
マシュー様はいつも優しい目で私を見つめて話を聞いて下さるけれど、そういうはっきりとした誉め言葉は、頂いたことがないのです。
その言葉を、エミリーさんには言うんですね。
私の髪の毛は派手な金髪で、目の色は冴えない茶色です。つり目だからか、黙っていると怒っているのではと心配された事もあります。背も高くて、女性にしてはかなり高身長の部類に入ります。
淡いミルクティーの髪に、小柄で華奢なエミリーさんとは似ても似つきません。
仮にも婚約者ですから、そんな言葉を他の人に言わないでと文句を言いにいっても許されるとは思います。でも、それで私は可愛くないからなんて言われてしまったらどうすれば良いのでしょう。これ以上傷つきたくないと思ってしまった私は、黙ってその場を立ち去ることを選びました。
それから私は、何も知らないふりをしてマシュー様に接しました。ひと月程仕事が忙しくなるとおっしゃっていたけれど、それが本当かどうか疑いながらも怖くて何も言えませんでした。
マシュー様の騎士団への所属は、お父様が将軍の地位にいるからだなんて声も最初はあったようです。ですが、王都近くで行われた大型魔物討伐作戦での活躍を認められ、今では一部隊を率いる隊長まで務めていらっしゃいます。さすがマシュー様ですね。
ある日、マシュー様から思いがけないお話を聞きました。
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「本当に可愛いよ」
「ありがとう!」
私は思わず息を呑みました。可愛いなんて私は言われたことがありません。
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その言葉を、エミリーさんには言うんですね。
私の髪の毛は派手な金髪で、目の色は冴えない茶色です。つり目だからか、黙っていると怒っているのではと心配された事もあります。背も高くて、女性にしてはかなり高身長の部類に入ります。
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それから私は、何も知らないふりをしてマシュー様に接しました。ひと月程仕事が忙しくなるとおっしゃっていたけれど、それが本当かどうか疑いながらも怖くて何も言えませんでした。
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