生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1336.【ハル視点】会議と誘い

 本隊の出発を明日に控えた日の昼過ぎから、俺は父さんとファーガス兄さん、ウィル兄さんと共に会議に参加していた。

 その他の参加者は進行役を務める執事長のボルト、そして騎士たちを束ねる立場である騎士団の隊長たちだった。

 会議の内容は、全体的に細かい事の確認が多かった。

 参加人数の変更に伴う物資の追加分についての説明や、その物資をどう配分して持たせるか、増えた人員をどこに何人配置するべきか、移動時の隊列をどのように組みなおすべきか。

 そんな細々とした確認事項が、山のようにあった。

 もし進行役を務めるボルトの腕と、ジルさんの作ってくれた会議用の資料が無かったらと考えると、背筋が寒くなってくる。

 だが何とか確認も方向も無事に終わり、手元の資料ももう最後のページだ。

「よし。これだけ決まっていれば、後はその場で決めても問題は無いだろう。もし変更があれば、私かファーガスから指示を出す」
「そうですね」
「分かりました」
「そうしよう」

 口々に同意を返された父さんは、うんとひとつ頷いた。

「よし、では本日の会議はこれで終了とする。明日のために、各自ゆっくりと体を休めてくれ」

 そんな呼びかけに、騎士団の隊長たちはさっと敬礼を返すとすぐに部屋から出ていった。

 無言のまま最後の一人が出ていくなり、パタンとドアを閉じたのはボルトだった。

「はー終わったー!」

 室内にいるのが身内だけになったのを確認してから、ウィル兄は大きな声でそう叫んだ。

 ボルトは身内認定だから素を出してもまあ問題は無いんだが、ぐったりと机に上半身を預けてその場で寝ようとするのはどうかと思う。

 もしここにジルさんがいたら、すぐさま説教されるだろうだらしない体勢だ。

「ああ、終わったな」

 同意を返すファーガス兄さんは、優しい目でそんなウィル兄を見つめている。どうやらその態度を注意するつもりは無いみたいだな。

「思ったよりは早く終わった方だと思うんだが…」
「そうだな、おかげで早く帰れそうで何よりだよ」

 父さんの言葉にそう返した俺は、すぐにすっと立ち上がった。アキトが待っているからな。

「ああ、ハル。部屋に戻る前にすこしだけ良いか?」
「もちろん、どうかしたか?」 
「あー…そのな、ハル、ファーガス、ウィル。急で悪いんだが、明日の朝、出発前に家族全員で朝食を取れないかと思っているんだが…どうだろう?」

 珍しく歯切れ悪くそう尋ねた父さんは、俺達三人の顔を順に見つめた。

「あーそれは良いねーきっとジルも喜ぶよ!」
「ああ、俺も賛成だ。マチルダは絶対に拒否しないと思うからな!」

 あっさりと頷いた二人は、お前はどうするんだと言いたげにじっと俺を見つめてくる。父さんが口にした家族の中には、当然アキトも含まれているんだろうな。

「分かった。部屋に帰ったら、アキトにも聞いてみるよ」
「ああ、もちろんそうしてくれ。侍従かメイドに、参加か不参加を伝えてもらえると助かる」

 ただし無理強いしたいわけじゃないから、無理はしなくて良い。そこはきちんとハルが見極めてくれと続けた父さんに、俺は心から笑って頷いた。

「そっか。うん、俺も、ちゃんとジルに確認しておくよ」
「そうだな。俺もマチルダにきちんと聞いてみよう」
「それじゃあ、また明日」



 部屋に戻った俺は、出迎えてくれたアキトにすぐにその話をした。扉を入った所で突然切り出したので驚かせてしまったが、部屋の外には侍従がついてきて返答待ちをしているからな。

「…それって聞いてみるよって返事で、大丈夫だったの?」

 どうやらアキトはそっちの方が気になったらしい。

「ああ、何も問題は無いよ。無理はしなくて良いと言っていたし、ファーガス兄さんとウィル兄も俺達もちゃんと確認しようって言ってたよ」
「そっか…それなら良かった」
「それで…アキトはどうしたい?みんなと一緒に食べる?」

 もう一度訪ねてみれば、アキトは少しも悩まずにすぐに答えた。

「みんなと一緒にご飯を食べれるのはすごく嬉しいから、参加したいな!」
「分かった。じゃあアキトと俺も参加するって伝えておくね」

 ドアを開けて二人とも参加すると声をかければ、侍従は微笑みながらかしこまりましたと頷いた。
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