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1345.【ハル視点】予想外の誉め言葉
アキトはうろうろとあちこちに視線を彷徨わせたかと思うと、何故かそっとその場でうつむいてしまった。じっと床を見つめているアキトに、俺は恐る恐る声をかける。
「アキト?」
「えっと…ごめん。ハルが格好良すぎてびっくりしただけ!」
不意打ちで告げられた予想すらしていなかった褒め言葉に、俺はパチパチと何度も瞬きを繰り返した。
予想外すぎて衝撃的な言葉の驚きが去っていくと、今度はじわじわと嬉しさがやって来る。
アキトはこちらを見ていないから、多分気づかれてはいないと思うんだが――驚くほど顔が熱い。きっといまの俺は、耳まで真っ赤になっているだろうな。
「さっき首を振ってたのは、着心地が悪いからじゃなくてその逆なんだ。走ったり戦ったりも出来そうだなーって考えちゃったんだけど、正装してるのにそんな事したら駄目だろうって思って…」
そうか、着心地が悪かったわけじゃないのは良かった。それと、例え正装していたとしても、走ろうが戦おうが問題は無いよ。
そう答えたかったんだが、どうしても言葉が出てこない。
着心地について話していたのに急に褒められる事になるとは、さすがに思わなかったからな。
早くこの顔の熱さを何とかしないと。そう考えて焦ってしまうと、なかなか落ち着かないものだ。
密かに慌てていると、不意にアキトがそーっとこちらを見た。全く返事を返さないから、おかしいと気づかれたみたいだ。
俺の顔が赤い事に気づいたアキトは一瞬だけ大きく目を見開いたが、何故か嬉しそうな顔をしながらまじまじと俺の顔を見つめてくる。
照れてる顔も可愛いとか、考えていそうな表情だな。
「ハル…?」
「不意打ちで格好良すぎてなんて言われたから、ちょっとびっくりしたんだ…でも、褒めてくれてありがとう」
照れ笑いを浮かべながら、何とかそう答えればアキトはにっこりと笑みを浮かべた。
「本当に格好良いよ」
「そうかな?騎士団の軍服に、ダンジョン産の胸当てだからちぐはぐじゃない?」
マティさんの目を疑っているわけでは無いが、この軍服とこの胸当てを合わせるのには少しだけ違和感がある。
というのも、正式なウェルマール騎士団の騎士たちは、全員が揃いの鎧を身に着けるからだ。
もちろん使う武器や戦い方によってその鎧の形は違っているが、あれは軍服と合わせる事を前提に作られた鎧だ。そっちの鎧に慣れてしまっているからこそ、違和感が拭えない。
「ううん、本当にすっごく似合ってるよ」
「アキトに褒められるのはやっぱり嬉しいね。ありがとう」
マティさんに後でお礼を言っておかないとな。
「アキトもその服、すごく似合ってるよ。濃い灰色は、アキトに似合うと思ったんだよね」
アキトの目と髪の色に絶対に合うと思って選んだ布なんだが、俺の想像なんて軽く超えてくるぐらいに似合っている。
正装には欠かせない細やかな刺繍が金色と紫色なのは、俺の色を身につけて欲しいという単純な独占欲だ。
呆れられても仕方ないぐらい分かりやすい牽制だが、アキトは嬉しそうにその刺繍を見つめていた。
「予想通りだ。よく似合ってる」
「うん、ありがと」
まだまだ二人でのんびりと見つめ合っていたい所だが、用意に戻るか。もう一度装備品をざっと点検してから、肩からかける形の黒い鞄を身に着ける。
「今日はいつもの鞄じゃないんだね?」
「ああ、これが全員に支給するって言ってた魔導収納鞄なんだ。一人だけいつもの鞄だと変に目立ってしまうからね。今日は置いていくよ」
ぽんぽんと黒い鞄を軽く手で叩けば、アキトは興味深そうに視線を鞄へと向けた。
そういえばアキトと一緒に荷物の確認をしたときは、まだこの鞄は手元に届いていなかったな。
まじまじと見つめていたアキトは、格好良いと嬉しそうに笑っている。この派手すぎない感じは、もしかしたらアキト好みなのかもしれないな。
「いつもの鞄は置いていくけど、事前に渡された物資以外も、必要になるかもしれないものはきちんと入れ替えてあるから準備は完璧だよ」
普段よりも更にポーション類は増やしてあるし、食料だって支給される分よりも多めの用意してある。今回は何があるか分からないからと、武器や投げナイフの予備まで用意して入れてある。
「いつもきっちり用意をしてるハルだから、そこは心配してないよ」
そう言ってくれたアキトは、うっすらと笑みを浮かべている。
「そう?俺の事を信じてくれてありがとう」
「どういたしまして…って返事はおかしいかな」
「いやおかしくは無いんじゃない?」
クスクスと笑い合いながら、俺たちは部屋の中をぐるりと見回した。
「忘れ物は無さそう?」
「ああ、大丈夫そうだ」
俺はもう一度周りを確認してから、こくりとひとつ頷いた。
アキトは自分の鞄を持つか悩んでいたが、見送りだけだからと置いていく事に決めたようだ。
正装にも似合う魔導収納鞄は、今度俺からの贈り物として渡させてもらおう。
「アキト?」
「えっと…ごめん。ハルが格好良すぎてびっくりしただけ!」
不意打ちで告げられた予想すらしていなかった褒め言葉に、俺はパチパチと何度も瞬きを繰り返した。
予想外すぎて衝撃的な言葉の驚きが去っていくと、今度はじわじわと嬉しさがやって来る。
アキトはこちらを見ていないから、多分気づかれてはいないと思うんだが――驚くほど顔が熱い。きっといまの俺は、耳まで真っ赤になっているだろうな。
「さっき首を振ってたのは、着心地が悪いからじゃなくてその逆なんだ。走ったり戦ったりも出来そうだなーって考えちゃったんだけど、正装してるのにそんな事したら駄目だろうって思って…」
そうか、着心地が悪かったわけじゃないのは良かった。それと、例え正装していたとしても、走ろうが戦おうが問題は無いよ。
そう答えたかったんだが、どうしても言葉が出てこない。
着心地について話していたのに急に褒められる事になるとは、さすがに思わなかったからな。
早くこの顔の熱さを何とかしないと。そう考えて焦ってしまうと、なかなか落ち着かないものだ。
密かに慌てていると、不意にアキトがそーっとこちらを見た。全く返事を返さないから、おかしいと気づかれたみたいだ。
俺の顔が赤い事に気づいたアキトは一瞬だけ大きく目を見開いたが、何故か嬉しそうな顔をしながらまじまじと俺の顔を見つめてくる。
照れてる顔も可愛いとか、考えていそうな表情だな。
「ハル…?」
「不意打ちで格好良すぎてなんて言われたから、ちょっとびっくりしたんだ…でも、褒めてくれてありがとう」
照れ笑いを浮かべながら、何とかそう答えればアキトはにっこりと笑みを浮かべた。
「本当に格好良いよ」
「そうかな?騎士団の軍服に、ダンジョン産の胸当てだからちぐはぐじゃない?」
マティさんの目を疑っているわけでは無いが、この軍服とこの胸当てを合わせるのには少しだけ違和感がある。
というのも、正式なウェルマール騎士団の騎士たちは、全員が揃いの鎧を身に着けるからだ。
もちろん使う武器や戦い方によってその鎧の形は違っているが、あれは軍服と合わせる事を前提に作られた鎧だ。そっちの鎧に慣れてしまっているからこそ、違和感が拭えない。
「ううん、本当にすっごく似合ってるよ」
「アキトに褒められるのはやっぱり嬉しいね。ありがとう」
マティさんに後でお礼を言っておかないとな。
「アキトもその服、すごく似合ってるよ。濃い灰色は、アキトに似合うと思ったんだよね」
アキトの目と髪の色に絶対に合うと思って選んだ布なんだが、俺の想像なんて軽く超えてくるぐらいに似合っている。
正装には欠かせない細やかな刺繍が金色と紫色なのは、俺の色を身につけて欲しいという単純な独占欲だ。
呆れられても仕方ないぐらい分かりやすい牽制だが、アキトは嬉しそうにその刺繍を見つめていた。
「予想通りだ。よく似合ってる」
「うん、ありがと」
まだまだ二人でのんびりと見つめ合っていたい所だが、用意に戻るか。もう一度装備品をざっと点検してから、肩からかける形の黒い鞄を身に着ける。
「今日はいつもの鞄じゃないんだね?」
「ああ、これが全員に支給するって言ってた魔導収納鞄なんだ。一人だけいつもの鞄だと変に目立ってしまうからね。今日は置いていくよ」
ぽんぽんと黒い鞄を軽く手で叩けば、アキトは興味深そうに視線を鞄へと向けた。
そういえばアキトと一緒に荷物の確認をしたときは、まだこの鞄は手元に届いていなかったな。
まじまじと見つめていたアキトは、格好良いと嬉しそうに笑っている。この派手すぎない感じは、もしかしたらアキト好みなのかもしれないな。
「いつもの鞄は置いていくけど、事前に渡された物資以外も、必要になるかもしれないものはきちんと入れ替えてあるから準備は完璧だよ」
普段よりも更にポーション類は増やしてあるし、食料だって支給される分よりも多めの用意してある。今回は何があるか分からないからと、武器や投げナイフの予備まで用意して入れてある。
「いつもきっちり用意をしてるハルだから、そこは心配してないよ」
そう言ってくれたアキトは、うっすらと笑みを浮かべている。
「そう?俺の事を信じてくれてありがとう」
「どういたしまして…って返事はおかしいかな」
「いやおかしくは無いんじゃない?」
クスクスと笑い合いながら、俺たちは部屋の中をぐるりと見回した。
「忘れ物は無さそう?」
「ああ、大丈夫そうだ」
俺はもう一度周りを確認してから、こくりとひとつ頷いた。
アキトは自分の鞄を持つか悩んでいたが、見送りだけだからと置いていく事に決めたようだ。
正装にも似合う魔導収納鞄は、今度俺からの贈り物として渡させてもらおう。
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