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1353.【ハル視点】武器屋と防具屋
防具屋と武器屋の男たち二人の会話は、まだまだ続いている。
「パッと見ただけだが、あの鎧はきっとダンジョン産じゃないと思うんだよな」
「お前がそう思ったならそうなんじゃないか?」
俺は見てなかったから知らないがと、武器屋の男は明らかに適当に答えた。興味が無いのがたったあれだけの言葉で伝わってくるな。そんな武器屋の反応は綺麗に無視して、防具屋の男はぐっと拳を握りながら続けた。
「つまりそれは、誰かがあの素晴らしい鎧を作り上げたって事だろう?領主城に問い合わせたら、誰が作った鎧なのか教えて貰えたりはしねぇかなぁ…そうすればその鍛冶屋に弟子入りができるだろ?」
例え他国であっても俺は絶対に教えを乞いに行くぞと、防具屋の男は声高く叫んだ。
「作り手がいるならその手が使えるのか…俺が知りたいあの剣は、ダンジョン産なのは確定だからなぁ」
武器屋の男は残念そうに眉を下げながら、そう口にした。
「いや、だがそれならいったいどこのダンジョンから出た物なのかが知りたいな!それさえ分かれば、ダンジョン探索者に剣を売ってくれと依頼が出せる!少しでも似たものが手に入れば、分析はできるだろ?」
ついさっきまで残念そうだった武器屋は、そう考えると夢があるなと今は嬉しそうに笑っている。
ダンジョン産の武器を分析して作ろうとする、その考え方は嫌いじゃないな。
「よっしゃ。それじゃあもし無理でも仕方がないって割り切って、連名で問い合わせでもしてみるか!」
「ああ、そうだな。少なくともうちの領主様は、そんなくだらない事を聞くなって怒り出すようなお貴族様じゃねぇからな!」
ああ、まあそうだろうな。
わざわざ正規の手続きを経て問い合わせをしてきた相手になら、普通にどこの誰が作ったものだと答えるだろう。さすがに父さんが直接返答する時間は取れないかもしれないが、それでもボルト経由で情報ぐらいはくれると思う。
「ああ、領主様は最高だからな!」
「そうと決まれば、手紙の文面を考えねぇと!」
二人の男性は楽しそうに笑いながら、裏路地をすごい速度で駆け抜けて去って行った。最後まで賑やかなやつらだな。
「なんか…すごい人たちだったね…」
ぽつりとそう呟いたアキトに、俺は笑って頷いた。
「すごかったな。だがあの一瞬であそこまでの目利きが出来るなら、きっと腕は良いんだと思うよ」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「俺は知らない顔だったけど、もしかしたら有名店の店主とかなのかもしれないね」
他の領とは比べものにならないほどの数の武器屋や防具屋が、ここ辺境領にはある。
武器や防具の需要が高いのもあるが、ダンジョン産の素材を求めてこの街にやってくる職人もいるからな。
よく行く武器屋と防具屋以外の店主の顔は、俺も把握していない。ジルさんやウィル兄がいれば、顔を見ただけで店名まで分かったかもしれないな。
「あの人たちの作った武器や防具も見てみたいね」
ニコニコと笑うアキトにそうだねと返しつつ、俺はまたアキトの手を引いて歩き出した。
あの二人の賑やかなやりとりには、裏路地を通っていた他の人たちも注目していたらしい。気にしなくても耳に入ってくるぐらいの大騒ぎだったから、そうなるのも無理も無いか。
「木箱を積み上げたら、ここでも行進が見れたのか」
「えーいや、あの高さに登って見るのは…さすがに怖いだろ」
「あー確かに、お前はぐらついて落ちそうだし、周りを巻き込みそうだもんな」
「は?お前、失礼だな!」
俺達と同じ方向へ向かっている数人の冒険者たちは、そんな会話を交わしている。
「まったく。あいつら二人は、こんな時でも相変わらず賑やかだな」
「いつでも騒々しい二人だからな」
「でもあの木箱積み上げてたのはさすがに駄目だろ。衛兵やってる伴侶にバレたら確実に搾られそうだよなー?」
「さっき走ってった食堂の奴ら、たぶん衛兵詰所まで言いに行ったんじゃないか?」
「ああ、すごい笑顔だったもんな。あれはこの前の喧嘩で負けた憂さ晴らしだろうな…」
「例え憂さ晴らしだとしても、あれはかなり危なかったからなーちゃんと注意された方が良いだろー」
「真似する奴が出ても危険だしなぁ」
すれ違った商人の男性と、その人の護衛らしき背中に武器を背負った男たちは、そう言いながら笑い合っていた。
なるほど。俺がわざわざどこの誰なのかを調べて報告をしなくても、その伴侶がきちんと叱ってくれそうだな。これは良い情報だ。
「次はこっちだね」
周りの会話を興味深く聞きつつも、足は止めない。手を引いたまま狭い道をしばらく進んでいくと、少し大きめの道へと入った。
ずらりと並ぶ屋台を見て、俺はよしと笑みを浮かべる。ここまでは予定通りだな。
「ここからは、ウェルマ市場だよ」
「あ、やっぱりそうなんだ」
屋台を見てもしかしてと思っていたんだと笑顔で教えてくれたアキトは、周りの様子をキョロキョロと見回した。
「パッと見ただけだが、あの鎧はきっとダンジョン産じゃないと思うんだよな」
「お前がそう思ったならそうなんじゃないか?」
俺は見てなかったから知らないがと、武器屋の男は明らかに適当に答えた。興味が無いのがたったあれだけの言葉で伝わってくるな。そんな武器屋の反応は綺麗に無視して、防具屋の男はぐっと拳を握りながら続けた。
「つまりそれは、誰かがあの素晴らしい鎧を作り上げたって事だろう?領主城に問い合わせたら、誰が作った鎧なのか教えて貰えたりはしねぇかなぁ…そうすればその鍛冶屋に弟子入りができるだろ?」
例え他国であっても俺は絶対に教えを乞いに行くぞと、防具屋の男は声高く叫んだ。
「作り手がいるならその手が使えるのか…俺が知りたいあの剣は、ダンジョン産なのは確定だからなぁ」
武器屋の男は残念そうに眉を下げながら、そう口にした。
「いや、だがそれならいったいどこのダンジョンから出た物なのかが知りたいな!それさえ分かれば、ダンジョン探索者に剣を売ってくれと依頼が出せる!少しでも似たものが手に入れば、分析はできるだろ?」
ついさっきまで残念そうだった武器屋は、そう考えると夢があるなと今は嬉しそうに笑っている。
ダンジョン産の武器を分析して作ろうとする、その考え方は嫌いじゃないな。
「よっしゃ。それじゃあもし無理でも仕方がないって割り切って、連名で問い合わせでもしてみるか!」
「ああ、そうだな。少なくともうちの領主様は、そんなくだらない事を聞くなって怒り出すようなお貴族様じゃねぇからな!」
ああ、まあそうだろうな。
わざわざ正規の手続きを経て問い合わせをしてきた相手になら、普通にどこの誰が作ったものだと答えるだろう。さすがに父さんが直接返答する時間は取れないかもしれないが、それでもボルト経由で情報ぐらいはくれると思う。
「ああ、領主様は最高だからな!」
「そうと決まれば、手紙の文面を考えねぇと!」
二人の男性は楽しそうに笑いながら、裏路地をすごい速度で駆け抜けて去って行った。最後まで賑やかなやつらだな。
「なんか…すごい人たちだったね…」
ぽつりとそう呟いたアキトに、俺は笑って頷いた。
「すごかったな。だがあの一瞬であそこまでの目利きが出来るなら、きっと腕は良いんだと思うよ」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「俺は知らない顔だったけど、もしかしたら有名店の店主とかなのかもしれないね」
他の領とは比べものにならないほどの数の武器屋や防具屋が、ここ辺境領にはある。
武器や防具の需要が高いのもあるが、ダンジョン産の素材を求めてこの街にやってくる職人もいるからな。
よく行く武器屋と防具屋以外の店主の顔は、俺も把握していない。ジルさんやウィル兄がいれば、顔を見ただけで店名まで分かったかもしれないな。
「あの人たちの作った武器や防具も見てみたいね」
ニコニコと笑うアキトにそうだねと返しつつ、俺はまたアキトの手を引いて歩き出した。
あの二人の賑やかなやりとりには、裏路地を通っていた他の人たちも注目していたらしい。気にしなくても耳に入ってくるぐらいの大騒ぎだったから、そうなるのも無理も無いか。
「木箱を積み上げたら、ここでも行進が見れたのか」
「えーいや、あの高さに登って見るのは…さすがに怖いだろ」
「あー確かに、お前はぐらついて落ちそうだし、周りを巻き込みそうだもんな」
「は?お前、失礼だな!」
俺達と同じ方向へ向かっている数人の冒険者たちは、そんな会話を交わしている。
「まったく。あいつら二人は、こんな時でも相変わらず賑やかだな」
「いつでも騒々しい二人だからな」
「でもあの木箱積み上げてたのはさすがに駄目だろ。衛兵やってる伴侶にバレたら確実に搾られそうだよなー?」
「さっき走ってった食堂の奴ら、たぶん衛兵詰所まで言いに行ったんじゃないか?」
「ああ、すごい笑顔だったもんな。あれはこの前の喧嘩で負けた憂さ晴らしだろうな…」
「例え憂さ晴らしだとしても、あれはかなり危なかったからなーちゃんと注意された方が良いだろー」
「真似する奴が出ても危険だしなぁ」
すれ違った商人の男性と、その人の護衛らしき背中に武器を背負った男たちは、そう言いながら笑い合っていた。
なるほど。俺がわざわざどこの誰なのかを調べて報告をしなくても、その伴侶がきちんと叱ってくれそうだな。これは良い情報だ。
「次はこっちだね」
周りの会話を興味深く聞きつつも、足は止めない。手を引いたまま狭い道をしばらく進んでいくと、少し大きめの道へと入った。
ずらりと並ぶ屋台を見て、俺はよしと笑みを浮かべる。ここまでは予定通りだな。
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