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1359.【ハル視点】信頼にこたえて
俺はてっきり信じてもらえるまでに、もっと色々なやり取りがあるだろうと思っていた。
ウルとネスはまだ幼いから、届けてくれるならと飛びつくかもしれない。だが店主が反対するだろうと思っていたんだ。
家族を大事にしている店主の、大事な娘と息子が作った特別なお守りだ。初対面の相手に、ぽんと預けるような物では無いだろう。
そう考えていたからこそ、あっさりと受け入れられてしまった事に困ってしまった。
俺はそっとアキトに視線を向けた。本当に預かって良いと思うか?と視線だけで問いかける。今の俺はきっと、明らかに困った顔をしているだろうな。
ぱちりと視線が合ったアキトは、すぐにニッコリと笑みを浮かべながら口を開いた。
「おじさんに信じてもらえて良かったね、ハル」
不意に見せられた優しい笑みにはすこしだけ驚いてしまったが、すぐにふうと息を吐いた。
そうだな。預けてくれると言うなら、信じてもらえて良かったと思うべきだな。
「ああ、そうだな。信じてもらえたのは良い事だ」
そんな簡単な事に気付けなかった自分に苦笑した俺は、すぐに周りに視線を巡らせた。
よし、行進を見るために集まってきた人たちは既にほぼいないな。市場の中に見える人の数は、かなり少ない。今は近くを通っている人もいなさそうだ。
それだけを確認した俺は、店主たちに向き直った。
無条件で信じてくれたこの家族に、すこしでも安心してもらいたいからな。
「どうかしたのか、兄さん?」
「いや、信じてもらえたのは嬉しいんだが、一応これは証拠として見せておこうかなと思ってね」
俺はそう言うと、ウルとネスに目線の高さを合わせるためにそっと片膝をついてしゃがみこんだ。
「ん?これ?これってなんだ?」
屋台の店主は意味が分からないと言いたげな不思議そうな表情でそう呟いたが、俺と同じように片膝をついて子どもたちの後ろにしゃがみこんでくれた。
俺は三人との距離が近づいたのを確認してから、そっとマントの紐をほどいた。ここでマントを脱いでしまえば目立つのは確実だ。だから俺は少しだけマントを開いて、中の服を見せる事にした。
「…え…?」
よっぽど驚いたのか、ウルは大きく目を見開いて絶句している。
「あんた、その服…!あ、いや…あなたのその服は…!」
ぽんっと口から飛び出した言葉を、ネスは慌てて訂正した。冒険者ならあんたどころか、てめぇとかお前と呼ばれる事もあるから気にしなくて良いんだが。
「まさか兄さん…今回の遠征に参加する騎士なのか?」
店主はまじまじと軍服を見つめながら、小さな声でそう尋ねてきた。思ったよりも冷静な反応だな。
「ああ、今回の遠征の参加者ではあるよ。ただし残念ながら、今はここの騎士では無いんだ。昔は所属していた事もあるんだが…」
嘘を吐きたくなくてそう説明すれば、店主の男はそこは気にしなくて良いだろうと笑って答えた。
「今も作戦に参加する資格がある人なら、ここの騎士かどうかは問題じゃねぇから気にするな」
「そうか、ありがとう」
「いや、こっちこそ明かしてくれてありがとな」
店主はそこで、ちらりとこどもたちに視線を向けた。一緒にそちらに視線を向けてみれば、二人ともキラキラと輝く尊敬の眼差しで俺を見つめていた。
これは…照れくさくなるぐらいに純粋な気持ちだな。
「おかげでこいつらも嬉しそうだ」
「喜んでもらえたなら良かった」
「あーそれにしても…行進に参加しないやつがこっそり隠れて移動してると、聞いた事はあるが…出逢ったのは初めてだよ」
店主はそう言ってから、俺達に話しても良かったのか?と直球で尋ねてきた。
「ああ。この服で歩くと、移動に時間がかかってしまうから隠してるだけだからな」
「まあそうだろうな…時間が無いのに、届け物なんて頼んで良いのか?」
「大丈夫だ」
そう言いきれば、そっとウルがお守りを差し出してきた。
「あの、これ…おねがいします」
「俺からも、お願いします!」
さっきまでは自然体だった兄妹は、今はすこし緊張した様子で俺を見上げている。俺も参加者だと知って、少しだけ態度がぎこちなくなったな。
「まかせてくれ」
受け取ったお守りを、俺はそっと鞄の中にしまった。
ウルとネスはまだ幼いから、届けてくれるならと飛びつくかもしれない。だが店主が反対するだろうと思っていたんだ。
家族を大事にしている店主の、大事な娘と息子が作った特別なお守りだ。初対面の相手に、ぽんと預けるような物では無いだろう。
そう考えていたからこそ、あっさりと受け入れられてしまった事に困ってしまった。
俺はそっとアキトに視線を向けた。本当に預かって良いと思うか?と視線だけで問いかける。今の俺はきっと、明らかに困った顔をしているだろうな。
ぱちりと視線が合ったアキトは、すぐにニッコリと笑みを浮かべながら口を開いた。
「おじさんに信じてもらえて良かったね、ハル」
不意に見せられた優しい笑みにはすこしだけ驚いてしまったが、すぐにふうと息を吐いた。
そうだな。預けてくれると言うなら、信じてもらえて良かったと思うべきだな。
「ああ、そうだな。信じてもらえたのは良い事だ」
そんな簡単な事に気付けなかった自分に苦笑した俺は、すぐに周りに視線を巡らせた。
よし、行進を見るために集まってきた人たちは既にほぼいないな。市場の中に見える人の数は、かなり少ない。今は近くを通っている人もいなさそうだ。
それだけを確認した俺は、店主たちに向き直った。
無条件で信じてくれたこの家族に、すこしでも安心してもらいたいからな。
「どうかしたのか、兄さん?」
「いや、信じてもらえたのは嬉しいんだが、一応これは証拠として見せておこうかなと思ってね」
俺はそう言うと、ウルとネスに目線の高さを合わせるためにそっと片膝をついてしゃがみこんだ。
「ん?これ?これってなんだ?」
屋台の店主は意味が分からないと言いたげな不思議そうな表情でそう呟いたが、俺と同じように片膝をついて子どもたちの後ろにしゃがみこんでくれた。
俺は三人との距離が近づいたのを確認してから、そっとマントの紐をほどいた。ここでマントを脱いでしまえば目立つのは確実だ。だから俺は少しだけマントを開いて、中の服を見せる事にした。
「…え…?」
よっぽど驚いたのか、ウルは大きく目を見開いて絶句している。
「あんた、その服…!あ、いや…あなたのその服は…!」
ぽんっと口から飛び出した言葉を、ネスは慌てて訂正した。冒険者ならあんたどころか、てめぇとかお前と呼ばれる事もあるから気にしなくて良いんだが。
「まさか兄さん…今回の遠征に参加する騎士なのか?」
店主はまじまじと軍服を見つめながら、小さな声でそう尋ねてきた。思ったよりも冷静な反応だな。
「ああ、今回の遠征の参加者ではあるよ。ただし残念ながら、今はここの騎士では無いんだ。昔は所属していた事もあるんだが…」
嘘を吐きたくなくてそう説明すれば、店主の男はそこは気にしなくて良いだろうと笑って答えた。
「今も作戦に参加する資格がある人なら、ここの騎士かどうかは問題じゃねぇから気にするな」
「そうか、ありがとう」
「いや、こっちこそ明かしてくれてありがとな」
店主はそこで、ちらりとこどもたちに視線を向けた。一緒にそちらに視線を向けてみれば、二人ともキラキラと輝く尊敬の眼差しで俺を見つめていた。
これは…照れくさくなるぐらいに純粋な気持ちだな。
「おかげでこいつらも嬉しそうだ」
「喜んでもらえたなら良かった」
「あーそれにしても…行進に参加しないやつがこっそり隠れて移動してると、聞いた事はあるが…出逢ったのは初めてだよ」
店主はそう言ってから、俺達に話しても良かったのか?と直球で尋ねてきた。
「ああ。この服で歩くと、移動に時間がかかってしまうから隠してるだけだからな」
「まあそうだろうな…時間が無いのに、届け物なんて頼んで良いのか?」
「大丈夫だ」
そう言いきれば、そっとウルがお守りを差し出してきた。
「あの、これ…おねがいします」
「俺からも、お願いします!」
さっきまでは自然体だった兄妹は、今はすこし緊張した様子で俺を見上げている。俺も参加者だと知って、少しだけ態度がぎこちなくなったな。
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受け取ったお守りを、俺はそっと鞄の中にしまった。
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