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1370.慣れ
ハグ付きの挨拶なんて、ここに来たばかりの頃の俺ならきっともっと動揺してただろうな。少なくともこんな風に、抱き着いたまま自然に受け答えしたりはできなかったと思う。
前にハルからも言われてたけど、ハルの家族って本当にスキンシップが好きなんだよね。
もちろんもし俺が本気で嫌がってたら、一切触れないようにしてくれてたんだと思うんだけど…動揺はしても別に嫌ってわけじゃないんだよね。
むしろ家族の触れ合いって感じで、実はかなり嬉しかったりする。
たぶんそういうのがバレてるんだろうな、そっと優しく頭を撫でられたり、事あるごとにハグをされたり、キースくんからはきゅっと抱き着いてもらったりもしたな。
そういう機会が頻繁にあったから、さすがにちょっと慣れたんだろうな。
そんな事を何となく考えている間に、今度は俺の前にファーガスさんが立った。
両手を広げてたファーガスさんに、俺も両手を広げて近づいていく。思いの他優しく抱きしめてくれたファーガスさんは、小さな声で俺の耳元で囁いた。
「アキトくん、ああ見えてマティは寂しがり屋なんだ。だからもし良ければ、俺が不在の間はマティを気にかけていてくれないか?」
えっと…これはいったいどう答えれば良いんだろう。
いやマチルダさんの事は尊敬してるし良い人だから、気にかける事自体は良いんだよ。でもさ、例えマチルダさんが寂しがり屋だとしても、そういう所を俺に見せてくれるとは限らないよね?
「あの、もしそういう面を、見せて貰えなかったらどうすれば良いんでしょう…?」
分からないなら聞いてしまえ。そう決めた俺は、申し訳ないけど質問に質問を返す事になった。ファーガスさんは怒るでもなく、ただたまに声をかけてくれれば良いからとそっと追加で囁いてきた。
「それはもちろん、俺に何が出来るか分からないけどマチルダさんとジルさんのお手伝いはキースくんと一緒にします」
「ありがとう」
「いってらっしゃい、ファーガスさん」
「ああ、いってきます」
晴れやかに笑ったファーガスさんに、周囲から悲鳴のようなキャーという声が漏れた。そういえば、ファーガスさんって普段はあんまり笑わない人なんだっけ。それにしてもすごい悲鳴だったな。
ファーガスさんがいそいそとキースくんの前に移動すると、後ろに立っていたウィリアムさんは何故かバッと腕を広げた。俺も真似して同じぐらいバッと腕を広げれば、ウィリアムさんは楽しそうに笑い出す。
「アキトくん最高」
「ありがとうございます」
「ファグ兄のもきっと伴侶がらみだと思うんだけど、俺も一個お願いがあるんだー良いかな?」
そう前置きするって事は、ジルさんの事かな。
「もちろんです」
「ジルが無理をし過ぎないように、限界だと思ったら止めて欲しいんだよねーいつもは俺が、無理しすぎだよーって仕事を奪ってるんだけど…」
なるほど。それは心配にもなるよね。ただ、俺にはジルさんの限界が分からないし、さすがに仕事を奪うまではできそうに無い。素直にそう答えれば、ウィリアムさんはそこはボルトが判断してくれるからと笑って答えた。
例え執事長のボルトさんが止めたとしても、ジルさんは絶対に無理を止めない。ウィリアムさんはそう断言した。
「でもキースとアキトくんが言えば、ジルは止めると思うんだー」
「止めてくれると良いんですけど…」
無理だったとしても責めたりしないから、お願いできない?と控え目に頼まれて、断れる人っているんだろうか。
「分かりました」
「ありがと、アキトくん」
「いってらっしゃい、ウィリアムさん」
「うん、いってきまーす。ちゃんとハルの事は見守っておくからね」
安心してと笑って続けたウィリアムさんに、俺はお願いしますと笑ってから腕を解いた。
ウィリアムさんの後ろにいるのは、予想通りハルだった。ケイリーさん、ファーガスさん、ウィリアムさんって来たんだから、参加者の年齢順だったんだろうな。
「アキト」
そっと両腕を開いたハルに、俺は思いっきり抱き着いた。他の人へのハグは本当に挨拶ぐらいの軽いものだったけど、伴侶候補だから少しぐらいは良いかなと思って。
頭の中で言い訳しながらぎゅーっと抱き着けば、腕の中のハルはふふと嬉しそうに笑い出した。
「ついさっきまではファーガス兄さんもウィル兄も、ちょっとハグが長すぎない?って思ってたんだけど、こんなに熱烈にアキトから抱きしめられたら、嫉妬も消えちゃったよ」
「あ、あの、二人は自分の伴侶の事で…俺にお願い事があっただけだよ?」
これから遠征に行くのに、こんな事で揉めて欲しくない。そう思って慌てて口を開けば、ハルは分かってるよとあっさりと答えた。
「分かってても妬いちゃっただけ」
前にハルからも言われてたけど、ハルの家族って本当にスキンシップが好きなんだよね。
もちろんもし俺が本気で嫌がってたら、一切触れないようにしてくれてたんだと思うんだけど…動揺はしても別に嫌ってわけじゃないんだよね。
むしろ家族の触れ合いって感じで、実はかなり嬉しかったりする。
たぶんそういうのがバレてるんだろうな、そっと優しく頭を撫でられたり、事あるごとにハグをされたり、キースくんからはきゅっと抱き着いてもらったりもしたな。
そういう機会が頻繁にあったから、さすがにちょっと慣れたんだろうな。
そんな事を何となく考えている間に、今度は俺の前にファーガスさんが立った。
両手を広げてたファーガスさんに、俺も両手を広げて近づいていく。思いの他優しく抱きしめてくれたファーガスさんは、小さな声で俺の耳元で囁いた。
「アキトくん、ああ見えてマティは寂しがり屋なんだ。だからもし良ければ、俺が不在の間はマティを気にかけていてくれないか?」
えっと…これはいったいどう答えれば良いんだろう。
いやマチルダさんの事は尊敬してるし良い人だから、気にかける事自体は良いんだよ。でもさ、例えマチルダさんが寂しがり屋だとしても、そういう所を俺に見せてくれるとは限らないよね?
「あの、もしそういう面を、見せて貰えなかったらどうすれば良いんでしょう…?」
分からないなら聞いてしまえ。そう決めた俺は、申し訳ないけど質問に質問を返す事になった。ファーガスさんは怒るでもなく、ただたまに声をかけてくれれば良いからとそっと追加で囁いてきた。
「それはもちろん、俺に何が出来るか分からないけどマチルダさんとジルさんのお手伝いはキースくんと一緒にします」
「ありがとう」
「いってらっしゃい、ファーガスさん」
「ああ、いってきます」
晴れやかに笑ったファーガスさんに、周囲から悲鳴のようなキャーという声が漏れた。そういえば、ファーガスさんって普段はあんまり笑わない人なんだっけ。それにしてもすごい悲鳴だったな。
ファーガスさんがいそいそとキースくんの前に移動すると、後ろに立っていたウィリアムさんは何故かバッと腕を広げた。俺も真似して同じぐらいバッと腕を広げれば、ウィリアムさんは楽しそうに笑い出す。
「アキトくん最高」
「ありがとうございます」
「ファグ兄のもきっと伴侶がらみだと思うんだけど、俺も一個お願いがあるんだー良いかな?」
そう前置きするって事は、ジルさんの事かな。
「もちろんです」
「ジルが無理をし過ぎないように、限界だと思ったら止めて欲しいんだよねーいつもは俺が、無理しすぎだよーって仕事を奪ってるんだけど…」
なるほど。それは心配にもなるよね。ただ、俺にはジルさんの限界が分からないし、さすがに仕事を奪うまではできそうに無い。素直にそう答えれば、ウィリアムさんはそこはボルトが判断してくれるからと笑って答えた。
例え執事長のボルトさんが止めたとしても、ジルさんは絶対に無理を止めない。ウィリアムさんはそう断言した。
「でもキースとアキトくんが言えば、ジルは止めると思うんだー」
「止めてくれると良いんですけど…」
無理だったとしても責めたりしないから、お願いできない?と控え目に頼まれて、断れる人っているんだろうか。
「分かりました」
「ありがと、アキトくん」
「いってらっしゃい、ウィリアムさん」
「うん、いってきまーす。ちゃんとハルの事は見守っておくからね」
安心してと笑って続けたウィリアムさんに、俺はお願いしますと笑ってから腕を解いた。
ウィリアムさんの後ろにいるのは、予想通りハルだった。ケイリーさん、ファーガスさん、ウィリアムさんって来たんだから、参加者の年齢順だったんだろうな。
「アキト」
そっと両腕を開いたハルに、俺は思いっきり抱き着いた。他の人へのハグは本当に挨拶ぐらいの軽いものだったけど、伴侶候補だから少しぐらいは良いかなと思って。
頭の中で言い訳しながらぎゅーっと抱き着けば、腕の中のハルはふふと嬉しそうに笑い出した。
「ついさっきまではファーガス兄さんもウィル兄も、ちょっとハグが長すぎない?って思ってたんだけど、こんなに熱烈にアキトから抱きしめられたら、嫉妬も消えちゃったよ」
「あ、あの、二人は自分の伴侶の事で…俺にお願い事があっただけだよ?」
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