生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1375.手紙の内容は

 予想以上だと嬉しそうに続けたマチルダさんの隣で、ジルさんが不意に口を開いた。

「そういえば…この前の会議の時に、トライプールのストファー魔道具店の方とご友人なんだとハルさんが教えてくれましたね」

 ああ、たしかここの支部のストファー魔道具店の魔道具技師さんが、今回の遠征に参加してくれてるんだよね。

 俺はその会議には参加してなかったけど、クリスさんの弟に会ったんだーってすっごく嬉しそうなハルが教えてくれたからちゃんと知ってる。

 たしかマルクさん…だったかな。

 パッって見ただけでもしかしてって思ったらしいから、俺も機会があればぜひ会ってみたいなーと思ってる相手だ。

「え、そうなの?」

 同じくその会議に参加していなかったキースくんは、好奇心にキラキラした目をしながらハル兄のともだちなの?と尋ねてきた。

「うん、そうだよ。店主のクリスさんがハルの友達でね、その伴侶のカーディは俺の友達なんだ」
「ああ、たしかハルもそう言っていたな」
「へーハル兄とアキトくんのともだちなんだ」

 どんな人なの?と興味深そうに聞いてきたキースくんに、俺は笑顔でクリスさんとカーディの事を説明した。

 依頼を受けたのがきっかけで知り合った事、クリスさんがすごい魔道具技師な事、カーディがそんなクリスさんを支えている事、元冒険者なカーディの事、そして二人の仲の良さ。

 話す事はたくさんある。あ、でも魔石に夢中になってご飯を食べるのを忘れるクリスさんの事は、ちゃんと言わなかったよ。

「そのお友達から…うちの家に届いた贈り物なの?」

 キースくんの質問に、マチルダさんがすぐにそうなんだと頷いた。

「ただ、その贈り物はずっと保管室にしまわれていたんだ」

 困り顔で教えてくれたマチルダさんの横から、ジルさんが補足してくれた。

「その対応は、うちの規則にのっとったものですよ。基本的に我が家に送られてきた贈り物は一度保管室に集められるんですが、その後で誰からの贈り物か、どんな目的で贈られたものなのかを確認するんです」

 一方的に贈り物をしておいて、その見返りを求めてくる。そんな事が過去に起こった事があったらしいよ。貴族って大変なんだなぁ。

「だが、何といってもトライプールは遠いだろう?調査もそうそう進まないからずっと保管されていたんだ」

 そっか、俺達は転移魔法陣を使ったからすぐだったけど、本当ならすごい日数をかけて移動するぐらいの距離だもんな。

「手紙も付いてはいたんだが、それも調査のために部下が回収していたから読んでいなくてな。ハルの友人だと聞いて、慌てて手紙をこちらに回してもらったんだ」

 責めるつもりなんてかけらも無いけど、その手紙の内容はちょっと気になるな。でもこれ、俺が聞いても良いんだろうか?

 そわそわしていると、手紙には何が書かれていたの?とキースくんが聞いてくれた。ありがとう、キースくん。すごく助かったよ。

「なかなかに面白い内容だったぞ。何ならそのまま王族にでも送れそうなぐらいの、綺麗で洗練された文章と文字だった」
「…マチルダさんが、そこまで褒めるのは珍しいですね?」
「あれはジルもきっと感心するぞ?」

 へぇ、それってクリスさんが書いたのかな?それともカーディ?

 いやでももしかしたら文章はクリスさんが考えて、文字を書くのはカーディとか分担してやってる可能性もあるか。

「面白い内容ってどんなの?」

 待ちきれないと言いたげなキースくんの質問に、マチルダさんはふふと笑ってから続けた。

「まず書かれていたのは、ストファー魔道具店では新しく魔導収納の技術を応用した素晴らしい馬車を開発したという話だな」

 あ、もしかして、使ってお試ししてみてくださいって事だったのかな?規模はすごいけど、サンプルを配るみたいな感じ?

「このすごい馬車の事だよね?僕も気に入ったよ」
「ああ、そうだな。私も気に入った」

 ニコニコと笑ったマチルダさんは、その笑顔のままで続けた。

「そちらに帰ったハルと伴侶として同行しているアキトは、ストファー魔道具店にとってとても大事な存在だと書かれていたよ」
「え…?」

 なんでそんな事をわざわざ?と思ったけど、ジルさんはなるほどとあっさりと頷いた。

「牽制ですか」
「ああ、二人を大事に扱わないなら、うちの領にはこの魔道具型の馬車は購入させないぞって意味だろうな」

 え?えっと…貴族を捕まえてそんな事を言って…良いの?
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